もとは毒味のためだった!? 乾杯でグラスをぶつける意外な理由/毎日雑学

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更新日:2021/1/3

もとは毒味のためだった!? 乾杯でグラスをぶつける意外な理由とは?/毎日雑学

 今回は「乾杯の由来・意味」など、乾杯にまつわる雑学を紹介します。

 乾杯の際にはグラスをぶつけますが、これはかなり古くからある風習で、昔はその場を盛り上げる目的だけではなかったそうです。

 

乾杯の由来・意味

 それではさっそく乾杯の由来や意味について解説していきましょう。

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 現在ではおめでたい時などに乾杯しますが、昔は現代では考えられないような物騒な理由で乾杯をしていたそうです。

毒が入っていないのを確認するため

 昔は、なんと毒が入っていないかを確認するためにグラスをぶつけて乾杯をしていたそうです。お酒の席はどうしても気が緩んで警戒心も解けてしまうことから、当時はお酒の席での暗殺が横行しました。そこで、グラスを勢いよく当てることによって飲み物を飛ばし、それをお互い飲むことによって毒が入っていないことを確認し合っていたのです。また、客を招いた主人が、乾杯をして客と同時に飲み干すことによって、客に出したお酒に毒が入っていないことを証明する意味合いもあったそうです。

 そのため、昔は乾杯と言えば毒見としての意味合いが強く、これが由来となって乾杯の時にグラスをぶつけるようになったのです。グラスをぶつけ合ってお酒を飲むことは「あなたを信頼していますよ」という意思表示になりますし、お酒も入れば楽しくなってコミュニケーションも円滑になります。時代が過ぎて毒殺という物騒なことがなくなってくると、それに従って乾杯も現在のような楽しい風習やコミュニケーションのひとつとして変化していったとされています。

もとは毒味のためだった!? 乾杯でグラスをぶつける意外な理由とは?/毎日雑学

 

悪魔祓いの儀式だった

 更に歴史をさかのぼると、乾杯の歴史はもっと古く、宗教的な意味合いから始まったとする説もあります。

 現代でも神様にお酒を捧げる文化が残っているように、古代ヨーロッパでは神様に捧げたり、死者を弔う意味でお酒を飲む文化がありました。宗教的な儀式でお酒が振舞われることも多かったそうです。

 そして、中世ヨーロッパの時代には、人間を狂わせるお酒には悪魔が宿っていると考えられていました。急性アルコール中毒という診断がなかった当時の人にとって、お酒を飲んだことが原因で死んでしまう人は、悪魔に憑りつかれたと考える人も多かったのかもしれません。そのため、お酒をそのまま飲むことは危険と考えるようになり、グラスを合わせて音を立てることで、悪魔を追い払おうと考えたのです。この悪魔祓いの意味合いを込めたグラスをぶつける行為が、現代の乾杯の由来になったとされています。

 

日本の乾杯はいつ始まった?

 日本で乾杯が行われるようになったのは、世界の歴史に比べると比較的最近のことです。

 1854年に日本はイギリスと「日英和親条約」を結ぶことになり、その後はイギリスのエルギン伯を通じて外交を行うことになりました。その際、日本は外交のスペシャリストである井上清直がその後の条約の交渉窓口などを担当しました。「日英和親条約」の交渉の話し合いが終わった後に晩餐会が開かれたのですが、この席で日本で初めての乾杯が行わたとされています。

 晩餐会では、エルギン伯から「イギリスでは国王の健康をお祝いして杯を交わす習慣があるのでやりましょう」と乾杯の提案がありました。しかし、当時は乾杯の文化がなかったことから、井上清直は戸惑いました。ですが、場が静かになったところで急に井上清直が「乾杯!」と叫んで立ち上がったのです。周囲はあっけにとられてしまったようですが、イギリスの要人たちには大うけだったようで、これが日本の乾杯の始まりとなりました。

 以上が、「乾杯の由来・意味」「グラスをぶつける理由」についての雑学でした。

 

まとめ

 乾杯はもともとは毒見の意味合いで行われていた。

 グラスをぶつけてお互いのグラスに入った飲み物を飛ばし、お互いがそれを飲み干すことで、毒が入っていないことや信頼関係を確かめたことが乾杯の由来。

 古くは宗教的な儀式や悪魔祓いのために行われていたのが乾杯の由来とされる。

 日本では「日英和親条約」の締結後の晩餐会で、イギリス側の提案で乾杯をしたのが始まり。

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