恋愛の必要性/巴奎依の社会不適号⑧

アニメ

公開日:2020/11/20

巴奎依
撮影=山口宏之

恋愛って、そんなに必要なものなのでしょうか?

少子化問題とか、孤独死とか。
そういった論理的な問題はさておき。

一応、なんとなく理解はしているんです。
恋愛の必要性について。

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理解はしている……のですが、こう、大きな声で「恋愛っていいよね!」「恋愛こそ人生の楽しみ!」みたいに言われてしまうと、どんどん遠ざかっていってしまう自分がいます。

私は絶対に恋愛映画を観ません。
登場人物みんなが恋愛をしたいと思っていて、必ず誰かが誰かを好きで…という当たり前が、私にとっては当たり前じゃなかったんです。

好きな人より、嫌いな人ならすぐ思い浮かぶんですけど。
嫌いな人の方がたくさんいるものではないんですか?

そういうふうに大声で恋愛の良さみたいなものを叫ばれるから、どうしても視界の端にチラチラと映ってしまって、より苦手になっていってしまう。

思えば学生の頃は、恋愛至上主義なクラスメイトに違和感を感じながら、俯いて漫画を読んでいた気がします。

そこが、友達ができるか否かのボーダーラインだったのかもしれません…。

恋愛を嫌いになる理由は、あげればキリがないほどあげられます。

例えば、髪を切ったら失恋だと噂される。
趣味が変わったら、恋人の影響だと噂される。
猫を飼えば、恋人と別れたと噂される。

そもそも噂話というもの自体、品性がないなと思うのですが
さらにすべてを恋愛に繋げる思考は、とても浅はかだなと思うんです。

その中でもNo. 1に嫌いな理由は、
大抵の人が恋愛は絶対的にするものだと思っているから、恋愛嫌いの心に気付かず踏み込んでくるところです。

気付けないのが悪いのか、恋愛嫌いなのが悪いのか、メディアが悪いのか、難しい問題ですが
これを見極めることってめちゃくちゃ大切だと思うんです。

恋愛に必要性を見出せない人と恋愛しようとしたって、できるわけないじゃないですか。
小麦アレルギーの人は小麦が食べられないわけですから。

恋愛に対して一定層そういう人種がいるという事実は、もっと広まるべきだと思うんです。
様々なタイプがいるとは思いますが、もはや恋愛モードを感じるのも嫌だったり。

私の大きな目標に「搾取されるな」というのがあります。

金銭はもちろん、愛情や信用、すべて引っくるめて、自分を搾取されるな、という目標。

恋愛に必要性をあまり感じていないのは、そこからきているんだと思います。

どんな関係にも無償の愛なんて無くて、この世はすべてギブ&テイクだと思っているので、
搾取されそうだと感じたときに、めちゃくちゃエラーが出てしまうんです。
心の中の恋愛と搾取のシーソーが、人と少し違うのかもしれません。

ともえ・けい
1月5日、東京都出身。2012年よりA応P(アニメ“勝手に”応援プロジェクト)のメンバーとして活動をスタート。2020年8月2日に、A応Pを卒業。「DJサブカルクソ女」としても活動中。社会不適合者(自称)。