僕は「仮面をかぶっていない」仮面をかぶっている/『バチェロレッテ』杉田陽平の妄想力が世界を変える⑥

文芸・カルチャー

公開日:2020/12/26

『バチェロレッテ・ジャパン』から一躍注目を浴びている杉田陽平さん。その理由のひとつには、彼の萌子さんとも男性陣とも信頼関係を築けているそのコミュニケーション能力がありました。しかし、杉田さんは「自分は決してコミュニケーションがうまいわけではない」と語ります。

 むしろコミュ障だった、ともいう幼少期に遡り、杉田陽平さんの人格形成の源についてお話を聞きました。

人付き合いは苦手で壁ばかり作っていた

「子どもの頃から人見知りで、相手の頭の中を想像しては『たぶんこの人はこういう人なんだろう』って勝手に想像して壁を作ってしまって、どちらかというとコミュ障でした。それはいまもあまり変わっていなくて、コミュニケーションが得意とかそういうわけでは全くないんです。ただ、今は『バチェロレッテ』という番組で僕のことを知ってくれて、好意をもってくれている状態で話しかけてくれる人が圧倒的に多いので話すのがちょっと楽になったかもしれない。」

 他人に対して壁を作ってしまう理由は?

「自分に自信がないっていうわけでもないんです。タイミングさえよければ仲良くなれるだろうなと思いつつ、日常生活で他人と顔を突き合わせて何時間も話すことってないじゃないですか。正直、僕の良さってパッと見ただけだとおそらくわかりにくいと思うんです。むしろ偏見をもたれるだろうな、と思っている。時間がかかるけど、みんなそんなに時間があるわけじゃないから、ちょっと挨拶を交わすだけで終わる。いつも、わかってもらえないよな、勘違いされて当然だよなと思っていましたね」

僕だって仮面はかぶっている

 そんな杉田さんは、それでも自分の印象を良くするために見栄を張ったり、自分を偽ったりするようなそぶりは見せない。そのことに対して、「僕だって、仮面はかぶりますよ。ただ、『さらけ出している』風の仮面をかぶっているんです」と話す。なぜその仮面をかぶるようになったのでしょうか?

「いまはだいぶよくなりましたが、昔はひどいアトピー性皮膚炎だったんです。顔とかも真っ赤で、海とか旅行にも行けないようなレベルだった。そういう状態だと、自分でもわかるんですよ。周りが気を使っているな、って。

 プールとかに行っても、みんなに体は大丈夫かと言われてしまう。一緒に騒ごうと混ざっても気にされてしまう。気にさせるのが悪いから混ざらない。気を遣わせたくないから、みんなが外で遊んでいるときに、自分は家で漫画を読んだりしていて、どんどん内向的になっていった。大人になるにつれて症状は軽くなりましたけど、表面に対する人の目というのはめちゃくちゃ気にするようになったし、気にした結果、今みたいなスタイルになったんです。

 要は、さらけ出していて、いじりやすいようなポジション。そうすることで下手に気を遣わせることもないし、適度な距離感を保てる。子どもの頃からずっとそういうところを探していた気がします。だから、もしかしたら番組では自分が表面上威張ったり演じたりせずに不器用さをさらけ出しているキャラクターのように見えていたかもしれないけど、それは半分当たっていて、半分間違っているというか。僕だってめちゃくちゃ人目は気にするし、よく思われたいから格好つける。ただ、それが僕なりの格好の付け方ってだけなんでしょうね」

<第7回につづく>