無理して本来とは違う自分を演じていませんか? 「面白くなくても大丈夫です」/頑張りすぎずに、気楽に②

暮らし

公開日:2021/2/11

日韓累計145万部のベストセラー『私は私のままで生きることにした』の著者最新刊、待望の日本語版! 人間関係に悩みのない人なんて、いない。しかし、誰しも、一人じゃ生きられない。だから、自分が心地よいと思える他者とのバランスを見つけよう。自分らしく、幸せに生きるためのヒントをお届けします。

頑張りすぎずに、気楽に
『頑張りすぎずに、気楽に – お互いが幸せに生きるためのバランスを探して -』(キム・スヒョン:著、岡崎暢子:訳/ワニブックス)

面白くなくても大丈夫です

私はさばさばしているタイプのわりに、人見知りをする方だ。

そのせいで相手には、口数の少ない、おとなしい人なんだという
普段の姿とはかけ離れた印象をもたれてしまう。

そんな私に対する第一印象を崩すことが難しくて
毎回、しばらくは居心地の悪い思いをすることになる。

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努力の甲斐あって今はそれほどでもないけれど
人見知りで悩む人たちにコツを伝授するならば
意識的に「緊張していないふりをする」ことがおすすめだ。

 

たとえば、初対面の状況を思い浮かべながら挨拶の練習をしたり、
慣れないところへ出掛ける前には
「緊張しないで堂々と行動しよう!」と、心に言い聞かせたり。

練習するうちに、だんだんそれが板についてきて
私は人見知りを克服することができたのだ(ジャジャーン!)。

 

ところが、ある人が私と同じように実践してみたところ
まわりの人たちから、「無理して明るい人を演じているようで
こっちが疲れる」と言われたという。

何が違っていたのだろうか。

 

人見知りするというのは、慣れない状況に物怖じして
本来の自分が発揮できないということだ。だから、
プレゼンや面接の練習を繰り返せばうまくなるのと同じように、
トレーニングを積むことで改善が可能というわけだ。

しかし、元々おとなしい人が無理に明るく振る舞っても、
本当の自分の姿とはかけ離れた人物を装うことになる。

いくらメソッド演技法みたいに、なりきって演じたところで
自分も相手も気疲れしてしまうだけだ。

 

かく言う私も以前、人前で講師をすることが決まったとき、
藁をもすがる思いで、スター講師の講義を参考にしたことがある。

彼らの講義はとても楽しくて愉快で、
「ああ、私もこんなふうにやらなくちゃ」と思った。

だけどいくら私が無理して面白くしようと頑張ってみたところで、
不自然で、どこかぎこちなかった。

そんなとき、偶然ある作家の講演を聞く機会があった。

 

終始真面目で、
笑いが起こるような話も飛び出さなかったその講演は
多くの聴衆に穏やかな感動を与えていた。

そのときに気がついた。

「そうか、すべての講師が面白くなくてもいいんだ」

「誰も私の講演に、笑いなんて期待していないよね」

 

思い起こしてみれば、
復学した先輩が乱発する最新流行語が、どれだけ痛々しかったか。

若者言葉を使ってみる部長への対応にも、ずいぶんと困ったっけ。

それ以降、私は、等身大の自分でいることを心掛け、
励ましと共感を得られる話を、精一杯伝えようと
私なりの表現方法を探すように心がけた。

すると、肩の力の抜けた自然な講演になったし
雰囲気も以前よりずっとよくなった。

 

私たちはいつでも、愉快で面白い人になりたいと思いがちだけれど、
誰かが愛される理由が必ずしも面白いからとは限らない。

誰かは温かいねぎらいの言葉をかけ、
誰かはきちんと聞いてくれて、
誰かは楽しく笑い、
誰かはいつでもそばにいてくれる。

 

別人の真似をして苦労しなくても、
あなたが愛される理由はたくさんある。

だから、自分とかけ離れた姿を取り繕うのはやめよう。

その代わりに、緊張をほどいて真実をさらけ出し
リラックスした自分の姿で接するべきだ。

それこそが、飾らない関係を結ぶ第一歩となる。

あなたは、あなたらしいときがいちばん素敵だ。

 

あなたらしく、リラックスして。

頑張りすぎずに、気楽に - お互いが幸せに生きるためのバランスを探して -

太鼓でもチャンゴでも、あんたが好きなようにたたけば
リズムに合わせたい人たちがやってきて踊るもんさ
──(70代のYouTuber)パク・マンレおばあさん

<第3回に続く>