恋愛番組で見い出された“才能”。杉ちゃんが目指すアーティスト像とは?/『バチェロレッテ』杉田陽平の妄想力が世界を変える⑩

文芸・カルチャー

公開日:2021/2/9

 杉田陽平さんは今でこそ『バチェロレッテ・ジャパン』で幅広い層から注目を集めていますが、もともとプロとして活躍する現代アーティスト。旅を経てアーティストとしての変化はあったのでしょうか。

 第10回では、杉田さんに今後の野望を伺いました。

今までの日本のアート業界は閉鎖的だった

 杉田さんは「今って作品で注目されてフォロワーが増えているわけではなくて、この番組で際立って興味をもたれた状態なんですよね」と言いながらも、そこをあまりネガティブには捉えていません。

「僕はむしろ前向きに捉えています。今回増えたフォロワーさんには、今までアートに興味がなかったけど、僕を通じてアートってもしかしたら楽しめるかもと言ってくれる人が多いんです。

 日本のアート業界って今まで、わかる人に向けてやるコンテンツだったんですよね。わからない人はそもそもセンスがないんだ、みたいな。いわば閉鎖的な世界。今はよく知らないけど、もしかしたらアートを楽しめるかもしれない、という層を無視してきたんです。でも今回、僕は、たまたま縁がなくてアートを楽しめなかった人たちが、もしかしたら楽しいかもしれないと、アートのファンになる可能性をもたらすことができました。それってすごく嬉しいしありがたいことです。」

ポピュラリティも作品のすごさも、どちらも欲しい

「自分は決して意図的にそうしたわけではないけど、結果的にアートに興味をもつ人を増やすことができました。これで僕がダサい作品を描いていたら終わってしまうけど、そこで同業者にもアート初心者の方々にもすごいと思ってもらえるような作品をちゃんと作れたら、自分が想像したこともないような領域までいける気がしています。

 ポピュラリティもあって作品もすごいというのは、難しいところなのですが、でもそれは僕が今までずっと目指して頑張ってきた部分でもあります。今は、勘違いしないようにしないといけないし、不安もあるのですが、どちらかというとワクワクしている気持ちの方が優っている状態です。ひとりじゃなくて、ファンの方から勇気をもらっている。それがよりよい作品を作るガソリンになっていると思います。

 ただただアートと違うところで注目されて終わるのではなくて、いつか『こんなすごい作品を描いている作家がいるんだ』と思ってもらえるようなアーティストになりたい。『きっかけは恋愛番組だったんだ』ということが後付けになっているほどに作家として認められている位置にいきたい。アート業界のパイオニアになって、『きっかけは違うところで注目されて、奇跡的にあぶり出されちゃったらしいですよ』と言われるようになりたいし、そのために精進していきたいですね」

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