自分のご機嫌取り/巴奎依の社会不適号㉒

アニメ

公開日:2021/3/5

巴奎依
撮影=山口宏之

分かりやすく文系な性格をしている私ですが、育ってきた環境は意外と体育会系だったりします。

これといった部活に入ったこともなく、スポーツに触れたこともないので、本当の体育会系の方に怒られてしまうかもしれませんが、
4歳からクラシックバレエを始め、週5〜6のレッスン、年に3回のコンクール出場、1年に1回の発表会。これを10年ほど続けていました。

クラシックバレエを知らない人からすると
クラシックバレエといえば品があって美しくて、それこそ紅茶を嗜むような人達が通る道のように思えますが、
私はバレエの先生で優しい人にはあまり出会ったことがなく、
クラシック音楽がかかってはいるものの、手に竹刀のようなものを持ちながら怒るときは床を叩く、そんな先生が多かったように思います。

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レッスンでは竹刀を持っている先生に怒られるし、体重管理も厳しくて、
当時は小学生にもかかわらずひと月で3キロ痩せるようなダイエットに勤しんでいました。

上下関係もまた、中々厳しくはあったのですが、今思い返すとひとつだけときめくポイントがあって、
先輩のレッスン生のことは、「◯◯お姉さん」と呼ばなくてはいけないしきたりでした。

そして何故か、「お姉さん」ひとりにつき後輩のひとりが、その「お姉さん」にめちゃくちゃ憧れていたりして……なんだかとてもアニメっぽい雰囲気があったんです。

当時は何も知らずに「お姉さん」と呼んでいましたが、アニメや漫画に詳しくなった今思うと、すごくときめいてしまうしきたりがありました。

クラシックバレエを辞めてからは比較的すぐに芸能活動を始めたのですが、芸能活動もまた、根性が大切な体育会系のイメージがあります。
「分からない」「出来ない」は言っちゃいけなくて、出来ないことがあっても、それを悟られないように本番までに出来るようにしておく。
そんな環境で育ってきたと思っています。

昨今はそんな風潮とは真逆で、もう少し和やかな雰囲気を感じていますが、時代の進化なのでしょうか。

だからなのか、頭ごなしに怒ったり、怒鳴ったりしている人を見ると「あぁ、体育会系世代なのも」なんて思ってしまうことがあります。

怒る・叱るはともかく、怒鳴るという行為は、なんだか己の不機嫌が感情に乗ってしまっているのでは……と思うことが多いです。
自分のご機嫌取りを出来ていない中での出来事なのかなと。

でもそれって八つ当たりですから、私にとっては大嫌いな搾取に当たります。
平穏の搾取。散々当たり散らして、こっちにはなんの利益も収穫もないですから。

私は自分のご機嫌取りを大切にしています。

嫌なことがあったら、時間は置かずにすぐにご機嫌取り。
甘いものを食べたり、何かを買ったり。

頑張った日にも、落ち込んだ日にも、絶対にプラスを作るようにしています。
自分へのご褒美が多すぎる、とも言えますが。

自分のご機嫌取りを自分ですることが出来ず、
泣いて、怒鳴って、他人に機嫌をとってもらおうとする赤ちゃんのような大人はとても多いですが、
他人にどうにかしてもらおうなんていう、情けない大人にはなりたくないですね。

ともえ・けい
2012年よりA応P(アニメ“勝手に”応援プロジェクト)のメンバーとして活動をスタート。2020年8月2日に、A応Pを卒業。現在、インターFMにて毎週土曜28:30〜「DJサブカルクソ女の音楽解体新書」にてDJ番組を担当、DJCD「A応P BEST DJCD PRODUCED by DJサブカルクソ女」をリリースするなど、「DJサブカルクソ女」としても活動中。社会不適合者(自称)。
公式Twitter:@kei_tomoe
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