家族全員が高校生!? “磯兵衛”作者が描く新青春ギャグ『高校生家族』/マンガPOP横丁㊿

マンガ

公開日:2021/3/12

『高校生家族』(仲間りょう/集英社)
『高校生家族』(仲間りょう/集英社)

 おかげさまで『マンガPOP横丁』は、無事50回目を迎えました!自分すごい。褒めて!さらにもうすぐ連載1周年。ということもあり、ここでは長々と喜んだり振り返ったりしません。また改めて歓喜させていただきます。

 さて、その記念すべき50回目。このタイミングにこの作家さんの新作が紹介できるとは嬉しいばかり。実にはりまらしい50回記念だと思う。これは決して50回目に合わせて選ばれたわけではなく本当に偶然。作家さんは、仲間りょう先生。「少年ジャンプご乱心!」の強烈インパクトのキャッチコピーや「アイツ…頭高くない?」「処す?処す?」などの名言でマンガ界を“イイ感じ”に荒らしに荒らした、浮世絵系江戸男子ギャグ『磯部磯兵衛物語〜浮世はつらいよ〜』(集英社)の作者だ。コーナーのプロフィールにあるように、はりまは今まで2万枚のPOPを書いてきた。その中でも1巻から最終16巻の全てにPOPを書いた数少ない作品。それだけ好きだったし、他のたくさんの人に読んでほしいと思っている。その仲間先生の新作ということで、このたび紹介となった。

 今回の作品は現代劇で、家族+ネコものの高校生活ギャグ。どれも欠けてはいけない3つの要素。“ネコ”は、ある意味ハズせないということを先に書かせていただく。さぁ始まります。仲間りょう先生の新作、そのタイトルは……『高校生家族』(集英社)だ!

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 4人家族の長男・家谷光太郎は、今日から通う目出鯛高校(めでたいこうこう)の入学式を控えていた。新生活にワクワクが止まらない光太郎。いざ学校へ……と部屋のドアを開けたら、父の一郎が立っていた。そして衝撃の一言を放つ。

「今日から父さんも高校生だ」

 状況が飲み込めず動揺する光太郎。すると一郎が合格通知書を見せ、一緒に受験したことを告白、

「家谷一郎高校生になります…!」

 と宣言してきたのだ。ここから光太郎へのサプライズが次々と発動する。なんと、小学3年生の妹と母も高校の合格通知書を光太郎へ見せてくるではないか。そう、父の一郎と同様、妹と母も光太郎に内緒で受験して合格したのだ。さらにいつのまにか高校の制服を着用している飼いネコのゴメスまでも(※ちゃんとネコサイズの制服)! ということで、家族全員が同じ高校に“同級生”として入学する事実がわかり、まさかの“一家総出”で入学式に臨むことに。この入学式でも光太郎は驚愕の事実を知るのだが……。かくして前代未聞となる、光太郎の波瀾万丈必至の高校生活が始まる。

 あらすじの時点でツッコミ満載、規格外の展開で進んでいくのがおわかりになるだろう。前作は、浮世絵タッチのキャラクターのギャグ漫画というのが斬新だったが、今作もイイ感じに常識をぶっ壊した内容で楽しい。実は中卒だった両親、超飛び級の妹、未知数の飼いネコ……っていうかネコって! ネコ用の制服が用意できる高校も高校だ。さてこの物語は、光太郎の報われなさから笑いが発動することが特徴。つまり、身内が目立ちすぎるということ! 結果的に光太郎は普通キャラになってしまうという悲劇。とはいえそりゃそうだと納得してしまう自分がいた。

 肝心の高校生活だが……意外にも全員溶け込んでいく。妹は友達ができるし、ネコのゴメスに至っては体育の授業を受けている。そんな家谷一家は、光太郎を除いて高校生活を謳歌。特に父の一郎は群を抜いており、改めて青春を満喫したいという情熱がスゴい。そのためか、彼のはしゃぎっぷりや、時たま見せるサラリーマン時代のスキルを発揮する姿に注目していただきたい。

 作品には、たくさん笑いどころがちりばめられている。家谷一家それぞれのキャラクターもしっかり立っている。果たして光太郎の高校生活の行方は……。これからも誕生するであろう、家谷一家によるクセの強い3年間の高校ライフの“迷”場面を、最後まで見逃すな!

マンガPOP横丁

文・手書きPOP=はりまりょう

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