曲への片想い/巴奎依の社会不適号㉔

アニメ

公開日:2021/3/19

巴奎依
撮影=山口宏之

「好きなタイプは?」「理想の相手は?」とか、その類の質問が少し苦手で、聞かれるといつも困ってしまいます。

昔から、好きな異性よりも、好きな同性の方が多くて、
「この人と付き合いたい」よりも「この人みたいになりたい」の方が強かったです。

同世代の言うイケメンの感覚も当時からあまり分からなくて、周りの「イケメンだから好き」の感情が本当に分からなかった。
私の中では「綺麗な顔ですね」で終わりなんです。

advertisement

それよりも、可愛い女の子の方がずっと見ていられたし、なんで可愛いのか、何をしていて可愛いのか、そっちの方にずっと興味がありました。

幼い頃から他人に時間を費やすよりも、自分に時間もお金も費やしたかったことも、関係しているかもしれません。

異性の好きなタイプを聞かれても本当に出てこないので、そういうときは嫌いなタイプを答えるようにしていました。

浅はかじゃない人とか、自信過剰じゃない人とか、自分を客観視できない人は嫌、とか。

私の場合は嫌いなタイプの方がするすると出てくるので、私も人に聞くときは嫌いなタイプを聞くようにしています。

だけど最近、ついに好きなタイプを聞かれたときの巴奎依的な模範解答が分かりました。

ずばり、好きな楽曲の歌詞の中に出てくるような人です。

基本的に、自分のためにも人にはあまり期待をしていないので「こんなことをしてほしい」とか「こう言ってほしい」とか、そういう望みを持つことはしないようにしているし、
どうしてもほしくなったら直接「こうしてください」「こう言ってください」とお願いをしてしまいます。

私の好きな歌の系統は、幸せじゃないラブソングなので、女性に振り回されて幸せになれないものだったり、女性があまりにも素敵で追いつけなかったり。
そういう曲の歌詞の中の人物は、言動がとてもはっきりしていて、好かれるためにあれこれ試していたり、女性によって悩まされていたり…。

現実ではそこまでの自己犠牲はできないけど、歌の中では好きすぎて全力で自己犠牲で行動する、そんな姿が理想的だったりします。

だから曲の中の異性像が好きで、何より音楽が好きなんです。
一曲一曲の登場人物に恋をしている感じ。

この現実に、そんな歌のような人がいるなんて期待は微塵もしていないのですが、
もし現れたとしても、私の性格上、きっと「歌は歌だから良かった」とか言って、
献身的な愛の出どころを不気味がって遠ざけてしまうんだろうなと思います。

ともえ・けい
2012年よりA応P(アニメ“勝手に”応援プロジェクト)のメンバーとして活動をスタート。2020年8月2日に、A応Pを卒業。現在、インターFMにて毎週土曜28:30〜「DJサブカルクソ女の音楽解体新書」にてDJ番組を担当、DJCD「A応P BEST DJCD PRODUCED by DJサブカルクソ女」をリリースするなど、「DJサブカルクソ女」としても活動中。社会不適合者(自称)。
公式Twitter:@kei_tomoe
公式Instagram:kei_tomoe_official