最近は偏差値の高い子が受験で失敗することも。本質的に頭のいい子を育てるために必要なことは?/わが子が勉強するようになる方法 ⑤

暮らし

公開日:2021/4/14

中学受験を取り巻く社会環境は大きく変化し、今までの受験対策では対応できなくなっています! 偏差値が高くても試験に落ちることも。そこで、「伝説の家庭教師」が、自分の力で生きていける子どもを育てるための、38の実践的なルール・方法の中から抜粋してご紹介します。

わが子が勉強するようになる方法
『わが子が勉強するようになる方法 2500人以上の子どもを超有名中学に合格させた「伝説の家庭教師」が教える超実践的な38のルール』(西村則康/アスコム)

わが子が勉強するようになる方法

暗記学習では応用問題に対応できない

 今の子どもたちの勉強は、暗記が中心になりがちです。「繰り返して暗記しなさい」という言葉にしたがって4回も5回も解けば、さすがに子どもも正解を出せるようになります。でもそれは、塾や学校の多量の宿題をこなそうとするために、「とりあえず公式にあてはめてみる」という学習にもつながってしまいます。

 塾の教師や親は、それで一つの段階をクリアできたと考えます。そうやって基礎問題が解けるようになれば、やがて自然に応用問題も解けるだろうという考えです。

 でも、そうはいかないのです。

 応用問題が解けるには、「どうしてこうなるのか」という理由がわかり、「もしこうだったらどうなるのか」を想像できる力が必要です。繰り返しの暗記学習では、このどちらも身につけることはできません。

「繰り返すことで暗記した内容」は、知識の断片を脳のなかに形づくります。でもそれは、たとえるなら離れ小島のように脳のなかに点在しているだけです。

 ところが、物事の本質や意味を理解したうえで知識を習得すると、離れ小島の状態とはまったく異なります。過去に覚えた知識に新しい知識をつなぎ合わせながら記憶することができ、それを大脳に定着させていくので、記憶の深度がまるで違うのです。

偏差値の高い子が落ちるなど、中学受験が変わりはじめた

 ところで近年、中学受験の世界が変わりはじめています。塾内のテストで偏差値の高い子どもが受験に失敗するケースが増えはじめました。

 その理由の一つとして、中学校側の出す受験問題の変化があります。中学校は、自分でものを考えることのできる本質的に頭のいい子、つまり3つの力を持った子をほしがりはじめています。

 それはたとえれば、「東大の二次試験理系の数学入試問題に対応できる子」です。東大二次の理系数学の問題のほとんどは、試行錯誤を経てやっと解法の糸口が見え、予測にしたがって確実に解いていくこと、つまり「予測→実行→チェック」が求められています。それとそっくりの、表現が変わっただけの問題が、中学受験に出題されたりするのです。

 一般的な塾のテストや市販の問題集には載っていないタイプの問題ですから、公式にあてはめる方法は使えません。「考えることで何かを見つけ出す力」が必要ですから、塾内テストの偏差値はアテになりません。

 新しい問題が出題されるたびに、中学受験を指導する大手塾は対応に追われます。新しい問題を新しい解法パターンとしてテキストに取り込み、生徒に何度も解かせることでどうにか受験をクリアさせようとします。新しい解き方を「暗記」させようとするのです。

 でも、そういった大手塾のやり方についていける子は、年々減っていくと考えています。解法パターンが多すぎて問題を解くことだけに追われ、頭に収納しきれない状況に子どもたちを追い込んでいるという見方もできると思います。

 そして、解法パターンの暗記作業に追い詰められた子どもたちは、考える習慣をなくし、理解することの快感を持てなくなる。結果的には、そういった子どもをたくさん生むことになるのです。

わが子が勉強するようになる方法

親が陥りがちな「何度も解きなさい」幻想

 もし、今まで子どもにかけてきた時間やお金が、その子自身の能力や成績の伸びにつながらない場合は、そのやり方が間違っていると思ってください。

 親のなかには、猛勉強さえさせれば成績が上がると考えている人がたくさんいます。でも、勉強量と成績の伸びは必ずしも比例しません。勉強の質も大切な要素です。

 たとえば、子どもを塾に通わせている親御さんの多くが陥りがちなのは、少しでもたくさんの問題を解かせようとすることです。塾から帰ってきた子どもが、今日習った知識をきちんと身につけたかどうかわからないうちに、それと似た類題を解かせる。その時の子どもたちの解き方を見ると、ほとんど問題文を読んでいません。「このあたりの数字と、あのあたりの数を引いて、それをこっちの数で割れば……」という、あいまいな記憶に基づいた解き方をしています。この問題では「何がわかっているか?(仮定)」と「何を聞かれているか?(結論)」を確認することで、結論までの過程を考えることができるのですが、それがスッポリと抜けています。

ベストな復習は、頭のなかで今日の授業を再現すること

 でも、考えてみてください。類題というのは、その問題の解き方をしっかり理解できたと思った後に、その理解度のチェックとしてやってみるから意味があるのです。

 ですから、大切なのは、塾から帰ったら、頭のなかですぐに今日の授業の再現をすることです。問題文を読み、ノートの書き込みを見て、先生からどのような説明を聞いたか、自分がどのように納得したかを思い返していきます。

 その時には、この問題ではなぜこの式を使うのかという問題の本質をとらえるようにします。それをきちんとやらずにただ繰り返し演習をしても、しばらくは覚えていますがやがて忘れてしまうので、思うように学力が向上しないのです。

「勉強は長い時間、一生懸命やっているのに成績が上がらない」
「復習テストでは成績がいいのに、総合テストになると点数が取れない」

 という子どもは、この、問題の本質をとらえるという時間を省略してしまっているのです。

<続きは本書でお楽しみください>

あわせて読みたい

この記事で紹介した書籍ほか