落ちたとき用ルーティン/巴奎依の社会不適号㉚

アニメ

公開日:2021/4/30

巴奎依
撮影=山口宏之

「精神的な体調不良」というものは、
身体的な体調不良とは違って、「私は喉から」「私は鼻から」などと分かりやすく信号を出してはくれない。

気がついた時にはもう立てなくなっているし、気がついた時にはもう無感情だから、後からのフォローも中々上手くは出来なかったりする。

無感情だとか、無気力だとかの落ちている瞬間も体調不良と呼んでいいのならば
私の身体的にも、精神的にも、体調が良い瞬間というのは1ヶ月のうち、1週間くらいしかない気がする。

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モーニングルーティンとかナイトルーティンとか。
YouTubeで流行ったようなルーティンは私にはなく(もしかしたら、本当はみんなにもルーティンなんてなくて、自己プロデュースの一環で演出をしているだけなのかもしれない)、
ただその場の勢いで、その時の力を振り絞って生きているから、あまり決まった行動はしていない気がする。

だけどこの、無気力に落ちている時にだけ欠かさないように心掛けていることがある。

ひとつは、必ずお風呂に入ること。
これは本当にできる限り行うように心掛けている。私の場合はどんなに落ちていても、やはりお風呂に入っているときといないときとでは、どこか違う。
身体が清潔であるだけで何かが変わるという、ある種洗脳にも近いマイルールを、自分の中で確立できているのだと思う。

そしてもうひとつは、心掛けるというより無意識下での行為だったが、それは公園に行くことである。

思い返せば今の家に引っ越す前も、さらにその前も、Googleマップで近くの公園をよく検索していた。

音楽を聴きながら近くの公園まで歩いて、余裕があるときはもう少しだけ遠くまで、しばらく彷徨ったらベンチに腰をかける。
肌寒くなったり、飽きてきたら帰る。これを繰り返していた。
落ちているときに私がするルーティンに近いものだった。

とにかく人間には、日光と緑と、少しの運動が必要なんだと思う。

今まではその時々、行ったことのない公園に行ってみては帰る、を繰り返していたが、
最近、近所に理想的すぎる公園を見つけた。

緑もあって水もあって、人もそこまで多くはない公園。

私はここがすごく好きで、救われている。

人を救うのは人でしかないと思っていたし、言葉に傷ついた人は言葉でしか救えない、何かで落ちた人は、その落ちた原因と同じ何かでないと救えないとずっと思っていたが、
案外、自分にとってはなんてことないと思うような公共施設に、救われたりもするんだなと思った。

私はインドア派だから、とすべてを終わらせる前にこれからはもうちょっとだけ、外の空気に触れてみたいと思った。

ともえ・けい
2012年よりA応P(アニメ“勝手に”応援プロジェクト)のメンバーとして活動をスタート。2020年8月2日に、A応Pを卒業。現在、インターFMにて毎週土曜28:30〜「DJサブカルクソ女の音楽解体新書」にてDJ番組を担当、DJCD「A応P BEST DJCD PRODUCED by DJサブカルクソ女」をリリースするなど、「DJサブカルクソ女」としても活動中。社会不適合者(自称)。
公式Twitter:@kei_tomoe
公式Instagram:kei_tomoe_official