極限まで車高を下げた戦車!敵から発見されにくいけど…/ざんねんな兵器図鑑・極④

社会

公開日:2021/5/21

ざんねんな兵器図鑑・極』から厳選して全5回連載でお届けします。今回は第4回です。開発者が大真面目に考えて作った結果、出来上がった“見た目も性能もざんねん”な兵器たちをご紹介。陸・海・空のユニークすぎるざんねん兵器の世界へようこそ!

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ざんねんな兵器図鑑・極
『ざんねんな兵器図鑑・極』(世界兵器史研究会/KADOKAWA)

ざんねんな兵器図鑑・極

所属:イギリス 年代:1930年代

 戦車にたくさんの火力を持たせたい、という要求はいつの時代にもあるものですが、それが行きすぎるとこんなことにもなります。これはイギリスのA4E10という試作軽戦車で、機銃を縦に2つ並べてしまったおかしな戦車です

 本車は構造上3名しか入ることができず、1人は操縦手、もう1人は車長で戦闘指揮に専念するため、残った銃手は1人で2つの機銃をコントロールしなければなりません。それなら普通に機銃は1つでよいということになり、本車は不採用となりました。それにしても、どうして誰も実車を作る前に気づかなかったのでしょうか。

ざんねんな兵器図鑑・極

所属:チェコスロバキア 年代:1920年代

 コロホウセンカとは、チェコスロバキア*が開発した初めての戦車です。この戦車は他国とは異なるユニークな特徴を持っていました。それは、タイヤとキャタピラが一緒についていることです。

 キャタピラで走る戦車は、どうしてもタイヤで走る自動車と比べてスピードが遅くなってしまいます。コロホウセンカは普通の道路を走るときだけタイヤをつけることで、四輪車として素早く移動できるようにしたのです。

 しかし、エンジンの性能不足などに悩まされ、開発には10年以上かかりました。そして、その間に本車は時代遅れになってしまい、それ以上の開発は行われませんでした。

*現在のチェコ共和国およびスロバキア共和国。

ざんねんな兵器図鑑・極

所属:ソビエト連邦 年代:1964年代

 第二次世界大戦後、兵器としてミサイルが登場したことで、砲弾の代わりにミサイルを発射する戦車の開発がソ連で行われました。これがオブイェークト775計画です。

 敵に見つからず、一方的にミサイルで目標を撃破することができる戦車にするため、本車は極限まで車高を下げた珍妙な見た目の戦車になりました

 しかし、実際に試験をしてみたところ、本車は確かに敵に見つかりにくいものの、その車高の低さのため自分の視界も劣悪(戦場を見渡せないほど)であることが分かり、あえなく不採用となりました

<第5回に続く>

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