アイデアに必要なのは「主観」ではなく「客観」。ヒットしているものには必ず“よさ”がある/100案思考「書けない」「思いつかない」「通らない」がなくなる⑤

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公開日:2021/5/24

100案思考「書けない」「思いつかない」「通らない」がなくなる』から厳選して全6回連載でお届けします。今回は第5回です。才能、センス、道具なんていらない。どんな場合でも、いいアイデアを考えてくる人には共通点があります。それは「とにかくたくさん数を出すこと」。1案しか持ってこない人のアイデアが優れていたことは、ただの一度もありません。ここでは“考え方”のヒントを教えます。

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100案思考 「書けない」「思いつかない」「通らない」がなくなる
『100案思考 「書けない」「思いつかない」「通らない」がなくなる』(橋口幸生/マガジンハウス)

100案思考 「書けない」「思いつかない」「通らない」がなくなる

「あの曲、全然よくないのに大ヒットしてる。世間はセンスがないな」

「つまらない芸人ばかりテレビに出ている。やれやれ……」

 ……そんなふうに思った経験は、ないでしょうか。自分の気に入らないものが評価されているのは、気持ちがよくないものですよね。

 しかし、世の中はあなたを中心に回っているわけではありません。あなたにとってどんなにくだらなく退屈なものであっても、ヒットしている以上、なんらかの「よさ」があります。

 当たり前のようですが、よほど意識しないと、人は自分の主観を知らずしらずのうちに絶対視してしまうものです。

 かつての僕も、そうでした。

「上司は僕の意見は却下するのに、同期のAの意見は採用する。エコヒイキだ!」

「Bさんの企画なんて全然おもしろくない。それどころか、今までの事例をなぞっただけで、新しいところなんて1つもない。僕の考えたもののほうが、ずっと斬新なのに!」

 こんな感じで、いつもイライラしていたのです。評価されているものを腐して、評価されていない自分のプライドを守る――よくいるダメな若手です(笑)。

 今ふりかえれば当時の僕は、自分の主観でしかない「好き嫌い」と、仕事における「良し悪し」を混同していました。広告にかぎらず世間で評価されているものには、たとえ自分が「嫌い」であっても、「いい」要素が必ずあるのです。

 アイデアの評価は、主観では決まりません。「良し悪し」には、明確で客観的で基準があります。このことを理解していないかぎり、いいアイデアを出すことは絶対にできません。

「好き嫌い」があることじたいは、なんの問題もありません。むしろ、それはあなたの個性であり、尊重すべきものでしょう。しかし、アイデアを見る際は、いったん「好き嫌い」は脇において、「良し悪し」で判断しなくてはいけないのです。

 長い間ダメな若手だった僕がこのことに気づいたのは、社会人4年目のとき。当時ついていた先輩に、コピーの判断基準を教わる機会があったのです。

 僕の書いたコピーにひととおり目を通したあと、会議室で「橋口、いいコピーとは、つまり……」と切り出されたときのことは、今でも忘れられません。「言われてみれば、確かに、そのとおりだ!」と迷路から抜け出し、青空を見上げたような気持ちになったものです。

 僕が広告業界の登竜門ともいえる東京コピーライターズクラブの新人賞を獲ったのは、このすぐあとのことでした。以降、いくつかのヒット作を手がけることができたのも、すべて、この経験があったからだと思っています。

 焦らすような書き方になってしまいましたが、いいアイデアとは何なのかについては、4章で説明するので安心してください。

 次のページに、ここまでの内容をまとめておきます。

◉「いいアイデアを100案出す」必要はまったくナシ
そんな天才は、どこにもいない。99案の中に1つ名案があれば、それでOK。

◉オリジナリティはいらない
アイデアとは既存の要素の組み合わせや、一部を変えたもの。「新しさ」や「オリジナリティ」はとりあえず不要。

◉とにかく「書く」
スマホ上でもメモ用紙でもなんでもいいので、ふだんから頭に浮かんだことはすべて文字にする。「MTV」を大成功に導いた伝説的アートディレクター、ジョージ・ロイスも「あらゆることを文章に書け」と言っています。

◉アイデアは主観ではない
何がいいアイデアで、何が悪いアイデアなのか、明確で客観的な基準がある。自分の「好き嫌い」で判断しないこと。

<第6回に続く>

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