どこに行っても愛される人/大丈夫じゃないのに大丈夫なふりをした⑤

文芸・カルチャー

公開日:2021/9/8

韓国国内著者累計55万部突破、「BTSおすすめの作家」としても話題のクルベウ氏による『大丈夫じゃないのに大丈夫なふりをした』(ダイヤモンド社)。
日本でも6万部を超え、「疲れているとき、つらいときに読みたい」「優しい言葉に癒される」と話題になっています。
本書から、いま、大丈夫じゃないのに大丈夫なふりをしているあなたに届けたい5編を、全5回で紹介します。

大丈夫じゃないのに大丈夫なふりをした
『大丈夫じゃないのに大丈夫なふりをした』(クルベウ:著、藤田麗子:訳/ダイヤモンド社)

どこに行っても愛される人

会社員になって10年の友人が
世の中にはどこに行っても愛される人がいる
と言っていた。

どんな人なのかと聞いたら、こんな話をしてくれた。

愛される人の特徴は、まず気さくで率直だ。
顔色を窺いながら遠まわしに話したりせず、
自分はこう思うと、相手が気を悪くしない程度に
ストレートに発言する。

一方、ふだん言いたいことを言わずにいるのに、
何かの拍子に突然不機嫌になって、
サッと背を向ける人がいる。
何が気に入らなかったのかわからないし、
一緒にいても通じ合えている気がしない。
そんな人に対しては、こちらも素直な姿を見せにくくなる。
好意を示したいという気持ちにならない。

どこへ行っても愛される人のもうひとつの特徴は
苦労話に共感するのが上手ということだ。

誰かの苦労話や傷ついた出来事を聞くと、
アドバイザー気取りで「今度はこうするべきだよ」とか
「それは君が間違ってる」「そこまで悩む理由がわからない」
というふうに話す人がいる。
そんな人には二度と苦労話を打ち明けたくないし、
コミュニケーションを取りたいと思わなくなる。

一方で、大変なときにつらいことを話すと、
深く共感してくれる人がいる。
こちらは特別なことを求めているわけではない。
ただ「それは大変だったね」という言葉を
言ってもらえるだけでも深く慰められるし、
その人に今後もっと親切にしたい気持ちになる。

そして、愛される人はよく笑う。
意味もなく笑うのではなく、笑顔で話をして、
人の話を聴いているときも、よく笑ってくれる。
そんな人となら、ずっと話していたいという気持ちになる。

一方、こちらが話しているときに表情が硬い相手だと、
自分に対して何か気に入らないことがあるのかと
勘繰ってしまう。
ひょっとして気に障ることがあるのかと聞いても、
そんなことはないという答えが返ってくる。
でも、その表情はずっと固まったままだ。
自分だけ明るく笑顔で接するのも妙なので、
こちらの表情もこわばってしまう。
そのうち、楽しく過ごしたいときは
その人に会わなくなってしまう。

最後にもう1つ付け加えるなら、
愛される人はよく知らないことや確信を持てないこと
について、知ったかぶりをすることがない。
よく知らないのに知っているそぶりをすると、
それらしく見えるのではなく、会話が混線してしまう。
あとになって、正しいのかどうかを
話し合わなければならなくなり、
毎回、誰の言葉が正しいのかを追及することになる。

よく知らないことは黙って聞き、
知っていることは明確に話すように努めることが、
コミュニケーションにおいて大いに役立つ。

愛されるような行動をまるでしていないくせに
相手に好かれたいと願う人がいる。
そういう人は愛したくても愛するのは難しい。

・・・

彼の話を聞いていると、
人はみな同じポイントで思いやりを感じて、
感謝の気持ちを抱くようだ。

共感してくれた、話に耳を傾けてくれた、
自分がつらいときに説教をしようとしなかった、
微笑みながら話してくれた。
ささいなことだが、こうした姿勢が
人に愛されるために大切な方法だと思った。

私たちは誰しも愛されたがる。
でも、一度ぐらいは、
自分が愛されるに値する行動をしているかどうか
振り返ってみることも必要だという気がした。
もちろん私たちは他人に愛されるために
生きているわけではない。
しかし、せっかくなら小さな行動に気を遣って、
人の気分を害することなく、
受け入れられて愛されるなら、
それは素敵なことなのではないかと思う。

大丈夫じゃないのに大丈夫なふりをした
イラスト:福田利之

<続きは本書でお楽しみください>

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