暮らしを快適に!物を捨てずに整理する、「整理収納」の基本を3STEPで解説/暮らしが整う「片付けない」片付け

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公開日:2021/12/27

STEP2 収納は、使っているモノを「見える化」すること

 収納とは、「モノの定位置を決める」ことです。

 と、これも正論なのですが、以前の私はそう言われてもピンときませんでした。

 でも、いまは分かります。要するに、

 モノを使いたいときにパッと見えて、すぐに取りやすいように置いておく。

 これさえできていればいいのです。

 わざわざモノを取りに行ったり探したりという余計な動作をしなくても、ついでに、無意識に、手に取れる。これで家事、育児、仕事……日常のあらゆることの面倒が激減します。

 そのためには、あらゆるモノが使う場所の近くにあることがポイントです。

 はさみを例に説明すると、私はダイニングテーブルで細々とした作業をするので、そこに一つ置いています。同じく、子ども用のはさみも一人一つずつ。子どもたちもダイニングで工作などをするからです。キッチンには料理用のはさみ。それから玄関にもう一つ置いています。手紙を開封したり、段ボールを開けるためです。封筒や梱包資材を玄関で処分できれば家の中に持ち込まずに済みます。

 モノは少なければいいというわけではありません。「使う場所に一つずつ」これがベストです。

 

 私がお客さまのお宅に整理収納のお手伝いに行ったときに、必ず聞くことが2つあります。

「一番使うモノはどれですか?」
「誰がメインに使いますか?」

 なぜなら、一番よく使うモノを、それを使う人にとって最も使いやすいところに置いてもらいたいからです。これを「ゴールデンゾーン」と呼んでいます。

 ゴールデンゾーンとは、しゃがんだり、何かに乗ったり、かき分けたりしなくても、パッと目に入って、つい手が届くところです。

 ゴールデンゾーンは人によって違います。目線の位置や腕が届く範囲はまちまちですし、感じ方も人それぞれです。

 自宅の収納でも、子どものモノは子どもに、家族の共有物はみんなに「ここなら使いやすい?」と必ず聞いてから定位置を決めるようにしています。

 本書では、私やお客さまの例をたくさん挙げていますが、それがみなさんの正解とは限りません。ご自身や家族の生活動線を観察して、一番よく使うモノからそれぞれのゴールデンゾーンに置いていってください。

 

 置く場所が決まったら、次は「見える化」です。

 お店では全種類の商品が見えるようになっていますよね。家の中もあの状態が理想です。

 お店で商品が見えないと、店員さんに聞いたり、ストックを探してもらったりする手間が生じてしまいます。同様に、例えば、はさみを使いたいときに、はさみがパッと見えないと、脳の中でいちいち同じような面倒が起きるんです。

 私たちは一日の中でこれを無数に繰り返しています。それが積もり積もって「面倒くさい」という感覚になっているんです。

 

 ただ、お店のように「見える化」したくても、家庭内のスペースには限りがありますよね。ここで収納のテクニックが必要になってきます(モノが少なかったりスペースが十分にあったりして、すべてのモノが見える状態なら収納テクニックは必要ありません)。

 整理収納アドバイザーなら、さぞかし収納テクニックに長けているように思われるかもしれませんが、私がやっているのは主に次の3つだけです。

 

 テクニック① 「仕切る/立てる」

 例えばハンカチのコーナーや靴下のコーナーをグループ化してまとめること。同じようなモノがあちらこちらにあると、どうしても見つけにくくなります。

 それから、積み重ねないで立てるようにします。こうすると、多くのモノが上からパッと一目瞭然です。さらに、取り出しやすく、戻しやすいのです。

 

 テクニック② 「ラベルを貼る」

 こんな小さな仕掛けで、見つける→取り出す→使う→戻すという一連の動作が、何も考えずに、勝手に体が動くようになるんです。

 

 テクニック③ 「2〜3割のゆとり」

 スペースに対してピッタリ詰め込んでしまうと見にくいですし、そもそもギュウギュウ詰めでは取りにくく、また、使ったあとに戻しにくいのです。

「では、1割くらいゆとりがあればいいのでは?」と思うかもしれませんが、それでは新しく買い足したりもらったりしたモノが入らなくなります。すると「とりあえず、ここに置こう」と別の場所に置きたくなってしまいます。せっかく整理収納してもまた元の状態に戻ってしまった、なんて悲劇は、ほぼ、ここに原因があります。

 以上、ここまでで暮らしの土台が整うことになります。

 具体的に何をどうするのか、私やお客さまがやってみてよかったことなどは、47ページからたっぷりご覧ください。

STEP3 片付け、じゃない。「戻す」だけ!

 ここまでの整理収納が終わると、信じられないくらい暮らしがラクに、家事が簡単になります。ぜひ、この大変化をみなさんにも実感していただきたいと願っています。

 同じ24時間がまったく別ものに感じられることでしょう。

 

 以後やっていくのは、日々の片付けです。

 片付けというと、いきなり重く感じますか? 確かに、うちの子どもたちなんて「片付けようね」と言うと、私に見えないように隠しておしまいだったりします。

 そこで私も反省しました。「片付けようね」ではなく、「使ったら元あったところに戻そうね」と言葉を掛けることにしました。

 戻すだけなら幼稚園児の息子も自分でちゃんとできます。そもそも、超ズボラな私自身、負担を感じなくなりました。

 私が整理収納を知ってよかったなぁと心底思うのは、どんなに散らかっても「戻そうと思えば戻せる」と余裕で構えていられることです。「あー、散らかった」と思っても、戻すのには意外に時間はかかりません。

 日中はぐちゃぐちゃでも、寝る前には戻すようにする。これなら10分くらいです。

 平日はほったらかしでも、金曜日にはリセットする。それでも30分くらいでしょうか。

 もちろん一番ラクなのは、使ったらすぐに戻す。これなら1秒です!

 これを知っていると本当に気持ちがラクです。「まっ、いっか。できるときにやれば」と思えるので、どんなに忙しくても、子どもたちが汚くしても、イライラしなくなりました。

 

 ところで、「一度、整理収納をするとリバウンドしない」と、聞いたことはありませんか?

 確かに急激に元の状態に戻ることはありませんが、私はメンテナンスは必要だと思っています。

 なぜなら、生きていれば確実にモノは増えるからです。しかも、モノは外に出すより家の中に入ってくるほうが簡単なんです。

 今後も間違いなく、あっという間にモノは増えるでしょう。そして、その中で、だんだん使わなくなるモノや、新たに頻繁に使うようになるモノなどが出てきます。それによって「あ、ここ使いにくい」と思う場所は日々変わります。

 ですから、一度、整理収納したとしても定期的にちょこちょこ見直しは必要になってくるんです。

 

 逆に言うと、最初から完璧にしようとしても、結局、無駄になってしまいます。

 ですから、「とりあえず試してみよう」「これで様子を見てみよう」「あとでまた見直せばいい」くらいの気軽な気持ちで進めると手が止まりにくいと思います。

<第3回に続く>

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