弱くなったときこそ、本当の強さが現れる。ホスピス医が語る「人間の強さ」とは?/あなたの強さは、あなたの弱さから生まれる
更新日:2022/7/20
力のある人の意見に流されてしまったり、些細なことで落ち込んでしまう…。自分の“弱さ”が嫌になることは、誰にでもあると思います。
そんな方におすすめしたいのが、今回ご紹介する『あなたの強さは、あなたの弱さから生まれる』。ホスピス医として3,800人以上と向き合ってきた小澤竹俊さんが、自身の経験から得た“本当の強さ”を手に入れるためのヒントを紹介します。
競争や忙しい日常からでは気づけないあなただけの強さとは――。
『あなたの強さは、あなたの弱さから生まれる』は、”自分の人生に立ち向かう力”を掴むきっかけとなる一冊です。
死と向き合う人々のために働くホスピス医である著者の小澤竹俊さん。多くの人が自分の弱さと向き合い、人生の本当の意味にたどり着く力強い姿を見てきました。 そんな小澤さんが「人間の強さ」について、語ります。
※本作品は小澤竹俊著の書籍『あなたの強さは、あなたの弱さから生まれる』から一部抜粋・編集しました

はじめに
この世のすべては変化する
『あなたの強さは、あなたの弱さから生まれる』。
このタイトルを見て、みなさんはどのような感想を抱きましたか?
「自分は弱い」「自分には力がない」「自分には何もできない」と感じている方は、「自分のどこに強さがあるんだろう」と思われたかもしれません。
逆に、「自分は強い」「自分には力がある」「自分には何でもできる」と感じている方は、「自分は弱くなんかないのに」と思われたかもしれません。
なんだか禅問答のようなタイトルですが、ここで私が言う「強さ」は、目に見えるわかりやすい強さのことではありません。
多くの人は「強さ」という言葉から、「健康で体力があること」「財力があること」「権力や地位、名誉、人脈などがあること」「何らかの才能や技術があること」「精神的にタフであること」などをイメージするのではないでしょうか。
これらはいずれも、目に見えるわかりやすい強さです。
しかし、そうしたものは、いつか必ず失われます。
私たちが生きている、この世界で、変化しないものは何もありません。
時間は流れ、季節は移り変わり、形あるものは必ず壊れます。
人は必ず老い、心身が弱り、自分が持っていたものを一つひとつ失い、いつかこの世を去ります。
どんなに恵まれた立場にいる人でも、その状態を永遠に保ち続けることはできません。
どんなに強い人でも勝ち続けることはできず、いつか必ず強さを失うときがきます。
健康、体力、財力や権力、才能、家族、友人……。
どれほど多くのものを所有していても、どれほど多くの人に囲まれていても、この世界で生きている以上、いつか必ずそれらを失うとき、別れなければならないときがくるのです。
かつて強かった人ほど、弱さを得たときに苦しみを抱える
健康で体力があるとき、財力や権力、才能などがあるとき、自由にいろいろなことができるとき、人から頼られる存在であるとき、人は誰でも強く前向きに生きることができます。
ところが、そうしたものを失ったとき、つまり「弱い」自分になったとき、多くの人は苦しみ、絶望し、生きる気力を失います。
私はこれまで、ホスピス医として、人生の最終段階を迎えた患者さんたちと関わってきましたが、病気になったり、死が目前に迫ってきたりしたとき、強かった人、多くのものを所有していた人、たくさんのことを成し遂げてきた人ほど苦しみが大きくなりがちです。
かつてバリバリ働いていた人は、体の自由がきかなくなり、トイレに行くことさえできなくなった自分を「社会の役に立たない」「生きていても何の価値もない」と責めるようになります。
お金を持っていた人は、どれほどお金を出しても治すことができない病気があること、死を避けることができないこと、一生懸命ためたお金を、あの世に持っていけないことに気づき、愕然とします。
家族や友人に恵まれていた人は、彼らを残して自分一人がこの世を去らなければならないことに、大変な不安や悲しみを感じます。
そして、「昔の自分はあんなに幸せだったのに、今の自分は誰よりも不幸だ」といった気持ちになり、「弱くなってしまった」自分を嘆くのです。