『STRESS FREE』ネガティブ思考は変えられる! 科学的に不安や孤独を解消するメソッド

暮らし

公開日:2022/4/28

ロングセラーや話題の1冊の「読みどころ」は? ダ・ヴィンチWeb編集部がセレクトした1冊、『STRESS FREE ネガティブな感情を力に変える ケンブリッジ大学の研究者が明かす科学的に正しいシンプルな63のメソッド』(オリヴィア・リームス:著、三輪美矢子:翻訳/ポプラ社)をご紹介します。

こんな人にオススメ!

自分のネガティブな性格は変えられないと思っている人
先延ばしグセをやめられず毎日自己嫌悪に陥っている人
不安や孤独感によるストレスに苦しんでいる人

3つのポイント

要点1
先延ばしグセ、不安を感じやすいなどのネガティブ感情に苦しむ人は多いが、ストレスフルな心は科学的根拠に基づいた方法で変えられる。

要点2
やる気が出ない、先延ばしにしてしまうといった習慣をやめるには、完璧を求めずに、「下手に始める」ことが有効だ。

要点3
マイナス思考のループから抜け出したければ、自分を悪く見積もる「自分いじめ」をやめよう。自分が楽しめる方法を見つけるなど楽観的になる工夫も大切だ。

▼プロフィール
オリヴィア・リームス
カナダ出身のメンタルヘルスの専門家。ケンブリッジ大学研究員。英国ケンブリッジ大学で公衆衛生およびプライマリ・ケアの博士号を取得。主に、不安や抑うつをはじめとした心の健康にかかわる問題を研究しながら、ライフコーチとして人々の心をケアする活動を行う。BBCラジオ・ケンブリッジシャー、BBC4「ウイメンズ・アワー」、米国公共放送NPRへの出演、英国内外の出版物への寄稿を通じて、メンタルケアの方法やレジリエンスの高め方を発信。2017年の「不安の乗り越え方」と題したTEDトークで注目を浴び、これまでのTEDトークは世界で500万回以上視聴された。

三輪美矢子
英日翻訳者。国際基督教大学教養学部卒業。訳書に『10 RULES 最高のキャリアを作る10のルール』『アインシュタインズ・ボス 「天才部下」を率いて、最強チームをつくる10のルール』『ピック・スリー 完璧なアンバランスのすすめ』『LIMITLESS 超加速学習 人生を変える「学び方」の授業』など。

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心身にダメージを与えるネガティブ感情は科学的に解消できる

 先延ばしグセ、自制心がきかない、不安で仕方ないなどのネガティブな感情は、人が本来の力を発揮するのを妨げると同時に、心身にダメージを与える。しかしそんなストレスフルな心は、科学的メソッドで解消ができるのだ。本書では、私のメンタルヘルスに関する研究と世界のデータをもとにネガティブな感情から脱する科学的メソッドを伝えて、読者が自分らしく生きる手助けをしたい。

 本書では、ネガティブな感情をタイプ別に分類し9つの章としてまとめた。各章は、2分以内に読める「今すぐ役立つ〈即効〉メソッド」と、その感情に陥る理由「科学的背景を説明するクイック・サイエンス」、さらに本格的にネガティブな感情に対処する方法「じっくり取り組みたい〈即効〉メソッド」の3つのパートで構成されている。自分に必要なメソッドの部分だけ読み、取り入れてもらってもOKだ。

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先延ばしをやめたいなら「下手にやること」を意識しよう

 決断に時間がかかる、決めたことを後悔するなど、決断にストレスを感じる人もいるだろう。優柔不断な人は、「直感に従う」という方法を試してほしい。複雑に考えるより、無意識状態の脳に従うほうが良い選択ができると言われているからだ。決断が苦手な人は最高の状態を求めがちだが、決断がうまい人はほどほどで良いと考える傾向があるため、判断も早く決断結果への満足度も高い。人は未来の心の痛みを大げさに想像する性質があるが、つらい経験にも苦痛を感じすぎない心の免疫システムも持っている。決断を怖がらず、選択肢を減らす、決断できたことを喜ぶといった方法で優柔不断を克服しよう。

 やるべきことが手に付かず先延ばしにしてしまう心の癖もストレスを招き、自尊心を損なう。先延ばしをやめたい人におすすめしたいのが、「下手にやる」ということだ。完璧を目指して気負ったり、やる気が出るのを待ったりせずに、とにかく始めよう。下手でいいと思ってやり始めると、深く考えずに取り組めるためいい結果が出て、やり遂げられたことに自信がつき、次につながる。タスクの中に自分のポジティブな感情を引き出すポイントを見つけること、やるべきことが自分の成長につながるというマインドセットを持つことも大切だ。

 ストレスフルな人には、ユーモアを味方につけることをおすすめしたい。ストレスから緊張状態になった体は、ユーモアによって笑うことでストレス反応が落ち着くことがわかっている。嫌なことも冗談で笑い飛ばしたり、マンガやお笑い動画などを見る時間を意識的に作ったりして、ユーモアを「抗ストレス薬」として活用しよう。

人の心を蝕む孤独感から抜け出す「おしゃべり」の効果

 不安や心配事で頭がいっぱいになってしまうなど、マイナス思考のループから抜け出せず悩んでいる人もいるだろう。不安にとらわれる状態が続くと、心身の健康を損なったり、自分自身のイメージを見誤ってしまうため対処が必要だ。そんな人はまず、「自分はダメだ」という考え方をやめてほしい。不安に打ち勝つには、何をするにも自分が楽しめる方法を見つけて取り組む、避けたいものには意識を向けない、気分が上がることを積極的に取り入れるなど、楽観的になることを意識しよう。

 孤独感も、人々を苦しめるネガティブ感情だ。人間は、集団生活を好み、孤独を感じて何かに帰属しようとする性質を持つ。しかしその欲求が満たされないと心身の健康に支障をきたすのだ。孤独は、自分や他者への評価をゆがめたり、自分をコントロールする力を弱めたりといった、心への悪い影響ももたらす。寂しくてたまらないときは、その場に居合わせた人でもいいので誰かとおしゃべりをすれば心が上向く。「自分はこういう人間だ」という自己暗示に陥るのではなく、自分が孤独を抜け出すために何をしているのかという行動に目を向けるといった方法が有効だ。

 ネガティブ思考に悩む人は、自分の心は変えられないと思っているかもしれないが、そうではない。どんな人にとっても、つらい状態から抜け出してなりたい自分になれる方法は確かにあると私は伝えたい。本書をきっかけに、あなたが自分らしく前に進む道を見つけることを、心から願っている。

文=川辺美希

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