「トラウマ必至!」の最恐コマベスト1 【小松左京の怖いはなし『まめつま』】

マンガ

更新日:2017/2/7

 『日本沈没など』のベストセラーで知られる作家・小松左京が遺したホラーの名品を、電子書籍オリジナルコミックとして配信する【小松左京の怖いはなし】。現在まで4作品がリリースされている話題の同シリーズから、「トラウマ必至!」の最恐コマベスト3を選出。3日連続でそのコマを紹介しよう。あなたにとって一番コワいのはどれ?

ベスト1 『まめつま』(御茶漬海苔:マンガ、小松左京:著)

『まめつま』(御茶漬海苔:マンガ、小松左京:著)

 栄えあるベスト1に選ばせてもらったのは、日本ホラーマンガ界の巨匠・御茶漬海苔による『まめつま』の一コマだ。

 真夜中の2時、眠っていた赤ん坊が突如、火がついたように泣きだした。おむつも濡れていないし、お乳も欲しがらない。子育てに無関心な夫は、そっぽを向いて起きてこない。

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 原因は何なのだろう。困惑した妻に、祖母が「それはまめつまだよ」と教えてくれた。

 まめつまというのは、子どもや赤ん坊にだけ見ることができる小さい魔物で、夜中になると枕元で斬り合いをするのだという。

 赤ん坊を泣きやませるには、お米と枕元に投げつけるといい。そう祖母にいわれて試してみると、赤ん坊はぴたりと泣きやんだ。しかも、お米には赤い血がついている。

 これでもう安心、と妻はほっと胸を撫で下ろす。

 ところが、1か月後、また赤ん坊が夜泣きをはじめた。今度はいくらお米を投げつけても泣きやまない。妻がおろおろしていると、庭のほうから「ズ…ズ…ズ…ズ…」という不気味な音が! さらに、障子には女の影が映り、サラサラと髪の毛がさわるような音もする!

 この時点でかなりコワいのだが、事情を話してくれた祖母の言葉がまた怖ろしい。

 大昔、この家の住人は行き倒れの老婆を助けてやったことがあった。しかし大金を持っていることが分かると、土蔵に閉じこめて老婆を殺してしまったというのだ。

 幼い頃、祖母の弟が高熱を出して寝ていると、天井からヌーッと……。

 これはコワいよ! うなされるよ! 実際、祖母の弟も熱が下がったと思ったら、土蔵のそばで頭を打って死んでしまったという。妻と赤ん坊は祟りから逃れることができるのだろうか?

 障子や縁側、天井裏といった日本家屋ならではの構造が、巡礼の老婆の祟りという因縁話と結びついて、なんともイヤ~な味わいを作りあげている。やっぱり日本っぽいスタイルの幽霊がいちばんコワい!という方には絶対オススメだ。

 いかがだっただろうか? SFの巨匠として知られる小松左京は、ホラーを書かせても超一級。あらためてコミック版で読み返したが、アイデアのすごさにあらためて唸らされた。

 今回リリースされた【小松左京の怖いはなし】は、マンガ家陣もツボを押さえた豪華セレクションで、オリジナルのホラーコンテンツとしてかなりクオリティが高い。ホラー好きなら全巻購入しても損はない、と断言しておこう。

文=朝宮運河

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■「小松左京の怖いはなし ホラーコミック短編集」
発売日:2016年7月26日(火)
<デジタルコミック>
配信プラットフォーム:Amazon Kindleほか、電子書店各サイト
価格:各100円
<朗読作品>
配信プラットフォーム:定額制オーディオブック配信サービスAudible
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