「100%好きじゃないとエッチしない」としていた男が手に入れたのは…ココロとハダカを現像する不思議なカメラ!?

マンガ

公開日:2018/7/8

『ハダカメラ』(小学館)

 恋をすると、相手の考えていることが気になって仕方がなくなる。特に、片思いの状態だと不安は高まる一方だ。果たして自分に脈はあるのか……。相手の一挙一動を見つめながら考えすぎてしまい、負のループから抜け出せなくなる。

 もしそんな状態の時、相手の心も体も丸裸にできる不思議で奇妙な道具が現れたら、あなたは一体どうするだろうか? 気になって仕方がない相手に、一度も使わないと断言できるだろうか?

 本名ワコウのマンガ『ハダカメラ』(小学館)は、「100%純粋な恋」を夢見る、気は弱いが優しい心を持つ浪人生が、恋心と裸を写す不思議なカメラを手に入れ、様々な欲望が渦巻く恋に巻き込まれながら、成長していく物語だ。

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 本書は、著者の大ヒット作『ノ・ゾ・キ・ア・ナ』(小学館)同様、大人向けの刺激的な官能描写が多い。だが決してそれだけではなく、カメラの力を借りながら、主人公が女性の気持ちの変化や重さを、身をもって体験していく過程が丁寧に描かれているのが印象的だ。

 物語の主人公は、近所のコーヒーショップでバイトしながら予備校に通う浪人生・香神鏡介、19歳。鏡介は、片思い中の元同級生・光城閃(こうじょうひかり)と同じ大学を受験したのだが、落ちてしまったことに引け目を感じていた。

 そんな折、彼は骨董屋で、オンボロのインスタントカメラを買う。閃との距離を縮めるために買ったカメラだが、気軽な気持ちで閃を撮影すると、奇妙なことが起きた。

 撮った直後は現像できなかった写真が、閃が帰った後、バイト先の先輩・押切釦(おしきりぼたん)が触れると、現像が開始されたのだ。その際に、なんと釦の身体が消え、全裸の閃が現れたのである……!

 実はこのカメラには、自分に対して僅かでも「プラスの好意」を持つ相手の「姿」と「恋心」を写し撮り、それを他の誰かの体に「現像」できるというイケない機能が付いていた。
加えて、カメラのファインダー右下には、“被写体”の“撮影者”に対する恋心の強さも表示され、心の中までもが丸見えになってしまう。
 ちなみに、鏡介への恋心が、閃はたったの+3%と表示されるのに対し、釦は+42%と表示され、これが後々、想像を絶するトラブルの元となる――。

 常日頃から「100%好きじゃないとエッチしない」と公言していた鏡介。

 だが、現像された人気モデル小園あみ(中身は釦)のあまりのセクシーさに理性が崩壊することもあれば、閃の自分への「恋心」のあまりの低さに、閃の姿を釦の体に現像して、むりやり虚しさを埋めようとすることもある。

 そのため、予備校の同級生でカメラを売っていた骨董品屋の孫娘・真白には、釦のとてつもなく強く、かけがえのない恋心を大切にするよう忠告されていた。

 また、カメラは鏡介の他にも、様々な欲にまみれた人の手に渡り、衝撃的な展開が何度も訪れる。「100%純粋な恋」を求めていた鏡介が、その幻想を、思いもよらぬ形でぶっ壊されていくシーンは、女性の筆者が読んでも鮮烈で生々しく、興奮が止まらなかった。

 罪悪感と迷いと幸福をもたらす不可思議なカメラに、胸の高鳴りが止まらない作品だ。女性たちの裸と剥きだしの心をぜひ覗いてみてほしい。

文=さゆ