ブックフェスタ2015 winter 本好きにこそオススメしたい「新書」の魅力!
更新日:2015/2/4
出版社の新書編集者がオススメする作品はこれだ!
ダ・ヴィンチNEWSでは、人気新書を輩出している出版各社の編集者にアンケートを実施。「自社作品でオススメの電子配信新書」と「他社作品だけどオススメしちゃう作品」を教えてもらった。その結果をご紹介していこう。
●PHP研究所新書出版部 部長/編集長 山岡勇二さん
入社以来、雑誌畑を歩き、ビジネス誌『THE21』や論壇誌『Voice』の編集長も経験。2014年秋より現職。書籍編集は修業中の身です。
1.『他人を攻撃せずにはいられない人』片田珠美著
現在、25万部を突破したベストセラー。暴言を吐く、支配したがる、けなして自信を失わせる、優しいようで水面下で工作している……。
あなたの周りにもきっと、こんなとんでもない人が必ずいるはずです。精神科医である著者が、そんな彼らからターゲットにされ、痛い目に遭わされてきた患者たちの事例をもとに、他人を陥れる“攻撃欲の強い人”にどう向き合えばいいかを指南。PHP新書の電子版で、いまいちばん売れています!
2.『伝わる・揺さぶる! 文章を書く』山田ズーニー著
私たちは日々、文章を書いていますが、どうしたら誤解されずに自分の思いを伝え、読み手の気持ちを動かすことができるのか?
小論文指導のエキスパートである著者が、「意見」「望む結果」「論点」「読み手」「自分の立場」「論拠」「根本思想」の七つの視点から、いい文章を書くための戦略をアドバイス。2001年11月に発刊されたPHP新書で、電子版も2011年11月の発売以来、ロングで売れています!
オススメの他社新書
『東海・東南海・南海 巨大連動地震』高嶋哲夫著 (集英社新書)
明日起こるかもしれない「最悪の事態」を、客観データをもとにリアルにシミュレーション。東日本大震災からもうすぐ丸4年、過去の経験を最大限に活かし、被害を最小にすることこそ、日本人の使命だと実感させられる一冊。
●講談社現代新書出版部 川治豊成さん
略歴:2002年入社。『生物と無生物のあいだ』『ふしぎなキリスト教』『独立国家のつくりかた』などを担当。
オススメの自社新書(電子版)
1.『愛と暴力の戦後とその後』赤坂真理著
現代史は歴史の授業の最後にちょっと習っただけ。敗戦、占領、冷戦、安保闘争、経済成長、バブル、オウム事件……。
事実としては知っていても、それがいまの自分とうまくつながらない。そんな方にぜひオススメの一冊です。いったい、どこでどんな断絶・忘却・思考停止があったのか? 『東京プリズン』の作家がゼロからこの難題に挑み、格闘しました。通常の歴史書にはない目の覚めるような「問い」とおどろきの「発見」の連続。自分とこの国の歴史をつなぐきっかけの一冊です。
2.『国際メディア情報戦』高木徹著
「銃弾」よりも強い「イメージ」の力が、いま世界を動かしています。その舞台は巨大なメディア空間。私たちが日々触れているニュースの背後で、武力によらない新しい「戦場」が生まれているのです。自分たちに有利な国際世論をどう形成しようと、中国も北朝鮮もテロリストも続々参戦しています。急拡大する戦いの現場で何が起きているのか? 日本はどう戦うか? 現在の国際情勢を考えるうえで欠かせない視点を教えてくれる本です。
オススメの他社新書
『知の訓練~日本にとって政治とは何か』原武史著(新潮新書)
天皇から性まで、まずは目の付け所のおもしろさを堪能。次に、知らぬ間に私たちの日常に忍び込んでいる「政治」に気づかされる。そして、さらなる学びへと誘われる。講義形式でスルスル読めるのですが、内容は超濃密。
●文藝春秋文春新書部 島津久典さん
雑誌と書籍の編集部を往復し、新書部在籍は足かけ8年。
オススメの自社新書(電子版)
1.『新・戦争論 僕らのインテリジェンスの磨き方』池上彰・佐藤優著
昨年の新書業界を席巻した筆者の一人は、間違いなく佐藤優さんでした。新刊が出るたびにランキング上位。
そんな佐藤さんが、これまたヒットメーカーの池上彰さんとの「最強コンビ」を結成して臨んだのが、本書『新・戦争論』です。いま注目を集める「イスラム国」や中国、欧州問題を宗教、民族、歴史の観点から読み解くと同時に、ビジネスに役立つ秘伝の「情報術5か条」を初公開。今日からアナタも実戦できるノウハウが満載です。
2.『石油の「埋蔵量」は誰が決めるのか? エネルギー情報学入門』岩瀬昇著
HONZ成毛眞氏から「エネルギー界の池上彰さん誕生!」と太鼓判を押された著者は、商社マンとしてエネルギー関連事業に40年以上携わり、訪れた国は60カ国を超える経歴の持ち主。
これまで誰も言わなかった石油埋蔵量のカラクリ、中国の資源戦略、日本のLNG価格が高い理由など、日々のニュースをより深く理解するための基礎知識が身につきます。中東が危機に襲われているいまこそ、資源問題は喫緊のテーマではないでしょうか?
オススメの他社新書
『タモリ論』樋口毅宏著(新潮新書)
芸人論としてだけでなく、人物論として秀逸。「ここまで愛されたら、描かれた方も本望では?」と思わずにはいられないほど、著者がタモリに注ぐ愛情の熱量がハンパではない。
●岩波書店新書編集部 Fさん&Nさん
オススメの自社新書(電子版)
1.『日本人の英語』マーク・ピーターセン著
日本人の感覚からは問題ないように見えるのに、英語の感覚からはびっくりの表現、お気づきでしょうか?
たとえば「ワープロで書かれた」と言いたいときに、「written by a word processor」「written on a word processor」、このうちの一方をうっかり使ってしまうと、大変なことに!──おかげさまで読み継がれて4半世紀、今も変わらず売れ続けているロング&ベストセラーです。とくに小社電子書籍ラインナップの中では、ダントツの人気! ぜひご一読をオススメします。
姉妹篇の『続 日本人の英語』『実践 日本人の英語』も電子書籍ご用意しています、あわせてどうぞご覧下さい。(F)
2.『タックス・ヘイブン―逃げていく税金』志賀櫻著
富める者はますます富む。格差の拡大と固定化の背景には、富裕層による悪質な課税逃れがあることを忘れてはなりません。
所得額が1億円を超える富裕層は、税制の弱点を突いて、本来ならば社会に再分配されるべき税金を海外に逃がしています。その行き先が「タックス・ヘイブン」です。マネーの亡者が群れ蠢く、富を吸い込むブラックホール。グローバル経済を蝕み、市民の生活を脅かす恐るべき実態。読めば怒りに駆られるはずです。(N)
●集英社新書編集部 A.Hさん
オススメの自社新書(電子版)
1.『司馬遼太郎が描かなかった幕末』一坂太郎著
現在、NHKの大河で放送中の「花燃ゆ」。吉田松陰が主宰する松下村塾を舞台に、毎回、様々なドラマが繰り広げられています。
松陰はじめ、坂本龍馬、高杉晋作といった維新のヒーローを描いた国民的作家といえば、なんと言っても司馬遼太郎ですが、この『司馬遼太郎が描かなかった幕末』は、司馬遼太郎が小説で描いた志士たちの実像を、丹念に史実に基づいて検証しています。もちろん小説ですから、虚構が織り交ぜられているのは当然です。本書は、どの部分が史実に基づいていて、どの部分が創作なのかを丁寧に解説。大河ドラマを見て、もっともっと松陰について知りたい!と思った方、ぜひこちらも合わせてお楽しみください。
2.『一神教と国家』内田樹、中田考著
このところ、中東情勢が不安定さを増し、日本でもその様子が連日報道されていますが、イスラームについて、その実情を知る機会がなかなかありません。
絶えず紛争が起こっている印象ですが、本書によると「1000年以上にわたって中東ではユダヤ教、キリスト教がイスラームのルールに則って共存してきた」というのです。それなのに、なぜ近現代においてこれほど衝突が起きているのか。その謎に迫るべく、思想家の内田樹氏とイスラム法学者の中田考氏が一神教と国家の関係について語ります。イスラームを理解するための「ものさし」として、ぜひ電子書籍で必携されることをおすすめします。
●光文社新書編集部 T.Mさん
新書編集部には創刊以来在籍。編集を担当した新書は『商店街はなぜ滅びるのか』『アゴを引けば身体が変わる』『世界は宗教で動いてる』など。
オススメの自社新書(電子版)
1.『昆虫はすごい』丸山宗利著
新し目のところでは、今絶好調の『昆虫はすごい』(丸山宗利著)。内容の面白さは書評やブログでも折り紙つき。
最新の研究内容が惜しげもなく注ぎ込まれ、しかもそれが面白くわかりやすくまとめられています。虫はあんなこともこんなこともしてるんだと、目からウロコが落ちまくり。本書は口絵以外にも本文中にたくさんのモノクロ写真が入っていますが、電子版だと、それがすべてカラーで見られます!(デバイスによりますが)。それが本書の電子版をおすすめする理由です。
2.『世界は宗教で動いてる』橋爪大三郎著
もう一冊は、時事ネタ的に『世界は宗教で動いてる』(橋爪大三郎著)をおすすめします。
日本中を恐怖に陥れているISILによる人質事件。その背景には極端なイスラム原理主義があるといわれていますが、キリスト教やヒンドゥー教、仏教などその他の宗教と何が違うのでしょうか? 本書は世界の主な宗教を横断的に、違いと共通点をあぶり出しながら講義形式で解説していきます。ちなみにイスラム教の章の副題は「イスラム教は平和のための宗教」です。
オススメの他社新書
『創価学会と平和主義』(佐藤優著、朝日新書)
政権政党であり続けるために集団的自衛権の行使を容認したとばかり思っていた公明党(創価学会)が、逆に非常に大きな縛りをかけていたという分析にうならされました。
今回の記事で紹介された新書を読みたい人は、「Reader Store」もしくは「ブックパス」へ。下記の特設サイトからも行けるぞ。
電子書籍関連事業を展開する株式会社ブックリスタは、「新書」にスポットを当てた冬の電子書籍フェア 「BOOKFESTA 2015 winter」を開催中。今回の「BOOKFESTA 2015 winter」では、ユニークなタイトルが知的好奇心をくすぐる新書コンテンツを大特集。『犬と話をつけるには』(著:多和田悟、文春新書)、『ヒゲの日本近現代史』(著:阿部恒久、講談社現代新書)、『かつお節と日本人』(著:宮内泰介・藤林泰、岩波新書)など、配信中の 6,800 冊以上(2015 年 1 月現在)の新書作品の中から、注目作をピックアップして紹介していく。