ライトノベルっていうのは、こういうものさ

ライトノベル

更新日:2012/11/20

妖精作戦

ハード : PC/iPhone/Android 発売元 : 東京創元社
ジャンル:小説・エッセイ 購入元:BookLive!
著者名:笹本祐一 価格:648円

※最新の価格はストアでご確認ください。

映像を意識した、あるいは「情景が目に浮かぶようだ」と評される作品は多い。けれど、ライトノベルを「(コミックやアニメの)絵が浮かぶよう」な作品と考えるなら、まさしく本作はライトノベルのパイオニア。

advertisement

最初に発表された84年から、この作品がたどった経緯を語ってもあまり意味があるとは思えない。それはネットで検索すれば、いくらでも得られる情報だから。今、スペースシャトルは退役し、やっとこさっとこ作ったISSも終わろうとしている閉塞感の中で、この作品を初めて読む人へのレビューになればいいな、と。

読み始めて最初に気づくのは、古くさいとかそういう以前に、頻繁に出てくる戦闘機やヘリコプターの詳細な名称や設定に関する記述の多さだと思う。好きな人にはたまらないだろうが、ミリタリーファンでもなければスルーしてしまうだろう。おまけに、主人公らの行動力はルパンなみ。仮に今、どこぞかの公募に本作を送っても受賞には届かないかもしれない。

それでも、この作品を読んでほしいと思う理由があるからレビューをしているわけで。

それがなんなのかというと、ライトノベルと呼ばれる作品群の基本構造が本作にはギュッと詰まっているから。

確かに最近では耳にしない名称がたくさん出る。でも同時に、上手ではないが細かく丁寧な描写がある。それらを読み飛ばさないで、ゆっくりと追ってみてほしい。そうすると、リアルではないが、この世界のリアリティというものが伝わってくるんですよ。お約束だらけの引用ファンタジーではなく、本当のファンタジーを読み解いていくのに似ている。

何より、若さと熱気にあふれる作品だから。自分のチューナーを少し作品の時代に合わせれば、本作に続く3冊もふくめて、妖精作戦シリーズの虜になることは請け合いですよ。


ただ、ヘリコプターとは書かない。ちゃんと機種名でいうのが流儀

天敵の女の子という、今ではテンプレートみたいな女の子もちゃんといる

ヘリ同様、バイクだって「バイク」とは書かない。ちゃんとスペックまで詳細に書く

敵のセリフも決まってます

この「あとがき」からもわかるように、常に映像が前提としてあった模様。ここでは実写とあるが、それは時代的なものも影響しているだろう