今の時代、「地頭より論理的思考力より大切なもの」って一体何!?

公開日:2013/5/17

採用基準

ハード : PC/iPhone/Android 発売元 : ダイヤモンド社
ジャンル:ビジネス・社会・経済 購入元:BookLive!
著者名:伊賀泰代 価格:1,296円

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全国の一流大学生や社会人留学生と面接すること数千人! 就職超難関企業であるマッキンゼーの日本支社で12年も採用マネージャーを務めた著者が、今日本に必要だと考える人材とは、どのようなタイプでしょうか!?

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序章では、卓越した才能をもつ社員を見出しては採用していた、著者自身の華麗な経歴が語られます。証券会社の総合職として就職、昼は丸の内で働き、夜は銀座で接待、休日は黒ぬりのハイヤーで接待ゴルフと、バブルド真ん中の新人生活を経験。しかし、そんな、にぎにぎしくもあやうい狂騒ムードから一歩抜け出すべく、MBA取得のために留学を決意。実践型のスキル育成クラスで得た交渉技術やビジネス心理学など、大きな財産をもち帰ります。

30代となり、著者は満を持してマッキンゼーの日本支社に転職。本編前半では「マッキンゼーの人材育成制度がいかに素晴らしかったか」が、延々と語られます。やや食傷気味になりつつも、そこは著者の体験談とあいまって、有無を言わさぬものすごい説得力で引っ張られます。順調にステップを登り続けて最終的には、マッキンゼー以外の道を模索し始める著者。「やはり、自分が関心のある仕事を選ぶべき。目の前にそれがないなら、自分でつくればいい!」「自分の頭で考え決断しよう」と、見る前に跳べとばかりに行動に移すのであります。

そんな彼女が提唱する、「地頭より思考力より、、」の正体はなんと。「問題解決できるリーダーシップ」でありました。う~む。

そもそも産業組織界の識者たちによれば、日本の組織社会の土壌に最も根付きにくいのが「リーダーシップ」と言われております。一説には日本の歴代総理の中でも、リーダーシップが発揮できたのは、かろうじて小泉元総理くらいではないか、とも。しかし彼女は、経営者や管理職のみならず、新人や若手および中堅社員を含む「すべての人が、日常的にリーダーシップのスキルを使えるべきである」と語ります。

そのリーダーシップに必要なタスク、「目標を掲げる、先頭を走る、決める、伝える」の詳細については本書をじっくり読んでいただくとして、問題解決のため、若手社員がリーダーシップを発揮した例として挙げられていたエピソードをひとつ。

それは、マッキンゼーの卒業生によるパネルディスカッションイベント終盤でのハプニング。「元幹部である先輩方のロングスピーチの連続で、所要時間があと5分。もう、イベントを打ち切るしかない」と、「やるべきことを速やかに自分で判断し、苦情をすべて受ける覚悟で終了を宣言した」という司会担当の若手社員。なるほどそうか、これもリーダーシップなのですね。自分も必要に応じて、そんな臨機応変なリーダーシップが発揮できるような力を備えられたら、と感じ入った次第でありました。


思考力には「意欲」と「体力」も必要。採用時には「この人は、訓練すれば習得できそうかどうか」をチェック

バランスのよい万能型人材よりも、一点突出した能力をもつ「スパイク型」人材を高く評価!

「自分の物差しで物事を評価」できるようになると、「価値観も転換」 → 会社を卒業? いいかもしれません
(C)伊賀泰代/ダイヤモンド社