【行ってみた!】『四畳半神話大系』の鴨川デルタから『琥珀の夢で酔いましょう』登場の醸造所まで。京都が舞台の人気作に登場するスポット「7選」

文芸・カルチャー

更新日:2025/2/19

万城目学の『八月の御所グラウンド』の舞台は京都御苑 今出川広場

『八月の御所グラウンド』万城目学/文藝春秋)

 第170回直木賞受賞作となった万城目学の『八月の御所グラウンド』(万城目学/文藝春秋)の舞台になったグラウンドは、京都市民の憩いの場である「京都御苑」内にある。

『八月の御所グラウンド』のレビューはこちら

 このエリアは平安時代から明治維新まで歴代の天皇が住まう地だった「京都御所」があり、江戸時代にはその周りに宮家や公家の邸宅が立ち並ぶ町でもあった。明治になって東京に都が移ると公園として整備され、現在は一般に開放されている。ちなみに、京都の人々は「京都御苑」という正式名で呼ぶことは少なく、親しみを込めて「御所」と呼ぶようだ。

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 格調高い門と深い森に囲まれた敷地内には、現在も皇室行事が行われる京都御所と共に、グラウンドやテニスコートが点在している。京都迎賓館(平成17年完成)の建設のため、平成11年に閉鎖されるまでは饗宴場跡でも野球ができたそうだ。職員の方によると、グラウンドは京都の大学生や市民サークルの活動拠点として日々賑わっており、申し込めば京都市民でなくとも利用可能だという。

 物語の中心となる野球大会が開催されたのは、北東側にある今出川広場だ。真夏の早朝に、なぜ、誰のために大会が行われるのか……その謎は、ぜひ本書で確かめてほしい。

◯スポット情報
住所:京都府京都市上京区京都御苑
電話:075-211-6364(一般財団法人国民公園協会 京都御苑)
利用時間:7:00~日没
定休日:年末年始(12/29~1/3)
使用料:1面1時間400円
URL:https://fng.or.jp/kyoto/place/play/#park

『カラスのいとし京都めし』でカラスが訪れた中村軒

『カラスのいとし京都めし』(魚田南/祥伝社)

 ここからはコミックに登場する京都をご紹介しよう。『カラスのいとし京都めし』(魚田南/祥伝社)に登場する「中村軒」は、桂離宮のそばで明治16年に創業した和菓子店。「おくどさん(京都でかまどを指す言葉)」で、クヌギの割り木を燃やしながら炊き上げるあんこをはじめ、昔ながらの職人技でつくるお菓子の数々が評判だ。

『カラスのいとし京都めし』のレビューはこちら

 京都在住のカラスが人間になり、京都の実在のお店を食べ歩くというファンタスティックかつ美味しそうな『カラスのいとし京都めし』の1話冒頭に登場する中村軒。桜餅に惹かれて店に入り、勧められるままに併設の茶店でうなぎ茶漬けに舌鼓を打つ。幸せそうに食べる様子にこちらも思わずお腹が鳴る。

 中村軒は本作発表後の2021年に築117年という店の建物の改装を終え、リニューアル後は物置だった2階にも客席を設けた。当時の風情を活かしつつ、さらに過ごしやすくなっている。『カラスのいとし京都めし』で描かれたメニューは現在も提供中なので、カラスの気分になってその味を楽しんでみてはどうだろうか。

◯スポット情報
住所:京都府京都市西京区桂浅原町61
電話:075-381-2650
営業時間:販売8:30~17:30、茶店(テイクアウト含む)10:00~17:00L.O.
定休日:水曜(祝日は営業)
交通:JR京都駅から京都市バス33系統または京阪京都交通バスで約25分、バス停「桂離宮前」よりすぐ
URL:https://www.nakamuraken.co.jp

『琥珀の夢で酔いましょう』に登場したクラフトビールを求めて京都醸造タップルームへ

『琥珀の夢で酔いましょう』
(村野真朱:原作、依田温:作画/マッグガーデン)

 京都といえば伝統的な和食や和菓子のイメージが強いが、コミック『琥珀の夢で酔いましょう』(村野真朱:原作、依田温:作画/マッグガーデン)の主役は、京都で出会える数々のクラフトビールだ。

『琥珀の夢で酔いましょう』のレビューはこちら

 仕事の成果が認められず、ストレス解消を求めていた主人公の剣崎七菜。偶然立ち寄った居酒屋・白熊で京都醸造のクラフトビール「一意専心」に出会うところから物語は展開していく。店主の野波隆一や店に居合わせたカメラマン・芦刈鉄雄との掛け合いも楽しく、初心者でもクラフトビールの奥深さにグイグイと引き込まれていく。

 京都醸造は伝統的なベルギースタイルにアメリカンスタイルを取り入れた小規模醸造所。京都の居酒屋などで飲むことができるが、つくりたてを味わうなら本社工場に併設するタップルームがおすすめだ。開放的な屋外スペースや空調が効いた屋内スペースがあり、食べ物の持ち込みは自由。日によってはフードトラックもお目見えする。

◯スポット情報
住所:京都府京都市南区西九条高畠町25-1
電話:075-574-7820
営業時間:金曜17:00~21:00(L.O.20:30)、土日祝12:00~18:00(L.O.17:30)※夏季は12:00~19:00(L.O.18:30)
休み:月~木曜
交通:JR京都駅より車で10分、近鉄十条駅より徒歩13分
URL:https://kyotobrewing.com

 今なお数多くの物語を生み出し続け、新たな魅力を帯びていく京都。読んでから行くか、行ってから読むか、いずれにせよ「いかにも京都」な観光とはひと味違った体験になるはずだ。

文=油井やすこ

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