100歳まで健康に生きる秘訣とは?「京丹後市」の百寿者に学ぶ生活習慣と心がけ【書評】
PR 公開日:2025/2/20

『奇跡の100歳長寿地域「京丹後市」の秘密(文春新書)』(百寿者研究会/文藝春秋)は、長寿地域として名を馳せる京丹後市で、100歳を超えても健やかに生きる人々の生活に着目し、長寿の秘訣を探る一冊だ。
本書の魅力のひとつは、たくさんの長寿者のインタビューが載っていることである。どのような人生を歩んできたか振り返りつつ、どんな食を好むか、どんな趣味を楽しんでいるかなど、事細かに彼らの生活ぶりが語られている。グラフ化されたデータだけでは見えてこない、100年間という長い歴史を重ねてきた一人ひとりの人生。それに触れたからこそ、私は自分自身の生活や健康を考え直すきっかけを得ることができた。
本書は「運動・生活習慣」「生きがい・心がけ」「食生活」など、テーマを設けた各章にインタビューが振り分けられているのだが、いずれの長寿者も共通しているのは、ポジティブでほがらかな精神を持っていることだと思う。その精神を支えているのは、規則正しい生活や、家族や介護スタッフとの関係性だ。彼らは100歳まで健康に生きるために何か特別なことをしたのではない。日々の習慣や人間関係を一つひとつ大切にしてきた。その積み重ねが長寿という結果なのだ。
また、章末に掲載されている専門家や有識者によるコラムも興味深い。インタビューやデータに基づきながら、何が長寿の要因となり得るのかを考察していく。私が特に印象に残ったのは、「長寿の要因に占める遺伝的要因は25%程度で、残りは生活スタイル、つまり後天的な習慣によるものだと言われている」という一節だった。生活スタイルや習慣を見直していけば、長く健康に生きられる可能性が高まる。これは、寝たきりで過ごす老後に少なからず不安を抱えながら生きる人々にとって、希望を持てる研究結果ではないだろうか。
最後に、長寿者が好んで食べるメニューのレシピが掲載されている章についても紹介したい。ページをめくると、京丹後市の食生活がよりリアルに見えてくる。使われている食材を見ると、海の幸、山の幸、そして里の幸がじつにバランスよく取り入れられていることがわかる。豊かな地元の食材をもとにした郷土食が受け継がれてきた地であることが、多数の長寿者を輩出することにもつながっているのだ。
京丹後市のメニューをそのまま全国各地の食卓で再現するのが正解というわけではなく、地産のものを活かした食生活を取り入れ、腸内細菌を育むことを本書は提案している。本書のレシピを参考にしながら、自身の住まう地域ではどのようなアレンジができるか、考えてみるのもいいかもしれない。
長寿の要因を多面的な切り口から考察している本書は、「人生100年時代」を生きる私たちにとって重要なメッセージを投げかけてくれている。健康を保ちながら、自分らしく生きる。そんな理想的な老後を送るために、ぜひ本書に登場する長寿者の生活ぶりに触れてみてほしい。
文=宿木雪樹