「注文した商品、まだ?」お店でつい思ってしまう人へ。水族館併設のカフェを描く『あざらしカフェ すいぞくかんのきゅうじつ』は、忙しい大人にこそ刺さる絵本

文芸・カルチャー

PR 公開日:2025/3/6

あざらしカフェ すいぞくかんのきゅうじつナカオマサトシ:文、うよ高山:絵/白泉社

 何かと忙しい毎日を送り続けて、いつしかリラックスすることを忘れてしまっている人も多いはず。そんな大人たちにもオススメの絵本『あざらしカフェ すいぞくかんのきゅうじつ』が、2025年3月6日にリリースされた。

 原案のナカオマサトシ氏は、子ども向けテレビ番組の制作を経て絵本作家デビューした異色の経歴の持ち主。『うれないやきそばパン』『どんどん くるくる』などの原案を手掛けるかたわら、絵本を使ったトークショーや絵本のテーマソング演奏といったイベント活動も精力的に行っている。

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 そんなナカオマサトシ氏が今回、『ワニはどうしてワニっていうの?』『ペンギンゆうゆ よるのすいえいたいかい』などの挿絵を担当したイラストレーター兼絵本作家・うよ高山氏とタッグを結成し、ゆるく穏やかな「あざらしカフェ」の日常を描いていく。

「あざらしカフェ」は、水族館の休日にオープンするお店。その特徴は、とにかく“のんびり”と営まれていること。オープンからたくさんのお客がやってくる「あざらしカフェ」だが、この日はシェフの店長がうたた寝している真っ最中。なんでも採れたての美味しいイチゴを入手するために早起きしていたようで、理由を知っているウェイターのマリンも急いで起こそうとはしない。

 そんなとき、身体の大きなサメごろうがお腹を空かせて「あざらしカフェ」にやってくる。席に着くやいなや「いちごパフェ おおもり!」と注文するが、肝心の店長はまだ眠たくてゆっくりと取り掛かっていた。

 さらにほかの注文も出揃って、大忙しになる「あざらしカフェ」。しかし、どんなに急いでいてもゆっくり丁寧に作業するのがお店のモットーだ。常連たちも慣れっこなのでのんびりと待つのだが、せっかちで有名なサメごろうは我慢の限界を迎えてしまい……。

 ナカオマサトシ氏が創り上げる独特な世界観を、うよ高山氏が柔らかく温かみのあるタッチで描いていく『あざらしカフェ』。せっかちなサメごろうと、のんびりな客や店長が対照的に描かれているが、大人と子どもでは受け取り方が異なるかもしれない。きっと大人の大半は、サメごろうに共感してしまうのではないだろうか?

 確かに1日の時間は限られているため、待たされていい気分にはならない。しかし、そこをグッと堪えて「のんびり」と待つ……そんな過ごし方も時にはいいもの。待つことが苦手な子どもも少なくないが、現代では大人のほうが我慢がきかない印象だ。きっと同作を読んでいるうちに、いつしか忘れていた「のんびり」が思い出せるはず。

 絵本は基本的に子ども向けに作られているが、大人の感性に働きかけてくれる作品も多い。子どもへのプレゼントにはもちろん、リラックスタイムのお供に同作を手に取ってみてはいかがだろうか。

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