でんぱ組.inc 古川未鈴「メイド喫茶で成り上がりたい!」グループ結成前、先輩メイドに勝てない現実/ツインテールの終わりに、 #未鈴の自伝
公開日:2025/3/13
2025年1月にエンディングを迎えたアイドルグループ・でんぱ組.incの古川未鈴さんが、自身初となる書籍を出版。
自ら「自伝を出版したいと言ったら無理そうだったので、どこかに書いていきたいと思っています」とXでポストした「#未鈴の自伝」を書籍化した本書。
でんぱ組.incメンバーとして振り返る16年の活動やアイドル哲学を語るエッセイの他、貴重な過去衣装での撮りおろしグラビア、アイドルとしてやり残したことをやっていく「アイドル実績解除」企画も収録した充実の内容となっています。
その他にも初めてのママ友である藤本美貴さんとのスペシャル対談も収録。アイドルだけではない「ママ」としての一面も垣間見ることができます。古川未鈴さんの多様な魅力が凝縮されている本書をぜひお楽しみください。
※本記事は『ツインテールの終わりに、 #未鈴の自伝』(古川未鈴/KADOKAWA)より一部抜粋・編集しました

(古川未鈴/KADOKAWA)
メイド喫茶で成り上がりたい!
一番最初に飛び込んだメイド喫茶で、結局1年ほど働いた。今思い出してもめちゃくちゃな店で、給料もたまにしか支払われなかった。他の店を経験していなかったので、これが普通なのかもしれないと思いながら、頑張って働いた。
これが天職かもしれないと思い始めた頃、前触れもなくその店が潰れてしまった。当時の秋葉原はちょうどメイド喫茶が流行り始めた頃で、新しい店が出来ては潰れ、出来ては潰れと、移り変わりが激しかった。「未払いの給料をください」と言うと、レジから5000円出してきて、「はい」と手渡された。
もちろんメジャーな事務所に入りたいとか、オーディションに受かりたいという思いもまだ持っていたが、それよりもメイド喫茶での接客業が楽しくなっていた。目の前でしゃべってくれた人が、どんどん私のファンになってくれる感覚がすごく楽しかった。
ここでファンをつけていけば、オーディションにも受かるかもしれないとか、あわよくばここで成り上がれるかもしれない、1番になれるかもしれない。そんな野心がむくむくと湧き上がっていた。
私のような素朴な顔が好きな人も、ある一定数存在するということを知った。意外と私はオタクに人気があるのかもしれない。華がある顔立ちではないけれど、自分がやっていけるフィールドは、ここにあるのではないか。そう思って、次もまたメイド喫茶で働きたいと思った。
次に働くメイド喫茶を探す時に、一つだけこだわったことがあった。それは新規店舗のオープニングメンバーになるということ。
最初に入ったメイド喫茶で学んだのが、先輩メイドには勝てないということだった。初期からいるからファンの人がたくさんいるし、何をするにしてもやっぱり初期メンバーは強い。
ちょうど新規店舗でオープニングバイト募集をしているところがあったので面接に行ってみたら、採用されることになった。そこの代表みたいな人に「おまえは今日からこの店の女優や!」と言われて、「はい! わかりました!」と答えた。私には珍しく熱いやり取りをした。なんで女優なのかはよくわからなかったけれど、期待されているんだということだけは伝わった。この店で私が1番になってやるぞ!と覚悟を決めた。
バイト仲間はあくまでも仕事仲間であり、友達ではなかったので仲良くなる必要もなく、むしろ仲良くなる方が女同士のドロドロに巻き込まれると思っていたので、誰に対しても無関心な感じだった。他のメイドさんたちは、私に話しかけづらかったかもしれない。
オープニングメンバーだからといって後輩を育てるという感覚もなかった。こんなことを書くと反感を買うかもしれないが、裏方はやりたくなかった。私は表に出たいタイプで、裏方は裏方が得意な子がやればいいと思っていた。裏方仕事は私には向いてないから、自分の得意なことをひたすらやろうと思っていた。
ある時、その店にテレビの密着が入った。その時に密着されていたのが私のファンの方だったので、私がお給仕しているところを撮影するということになった。その番組での反響でファンが増えるということはなかったけど、一度テレビに出たという実績は大きなものだった。
思っていた通り、やはりオープニングメンバーは強かった。何かとその店の代表として表に出られることが多かったので、前の店から学んだことはちゃんと生かされているなと思った。ステップアップを感じながら働くことができた。
そのうち、いろんなメイド喫茶の1番みたいな子を集めて撮影したDVDの企画があって、そのDVDにも出演できた。また一歩、芸能人に近づけたと思った。このDVDが後の相沢梨紗との初めての出会いにもなった。
<第2回に続く>