でんぱ組.inc 古川未鈴、アイドルとファンの距離感は遠ければ遠いほどいい?/ツインテールの終わりに、 #未鈴の自伝

文芸・カルチャー

公開日:2025/3/15

2025年1月にエンディングを迎えたアイドルグループ・でんぱ組.incの古川未鈴さんが、自身初となる書籍を出版。

自ら「自伝を出版したいと言ったら無理そうだったので、どこかに書いていきたいと思っています」とXでポストした「#未鈴の自伝」を書籍化した本書。

でんぱ組.incメンバーとして振り返る16年の活動やアイドル哲学を語るエッセイの他、貴重な過去衣装での撮りおろしグラビア、アイドルとしてやり残したことをやっていく「アイドル実績解除」企画も収録した充実の内容となっています。

その他にも初めてのママ友である藤本美貴さんとのスペシャル対談も収録。アイドルだけではない「ママ」としての一面も垣間見ることができます。古川未鈴さんの多様な魅力が凝縮されている本書をぜひお楽しみください。

※本記事は『ツインテールの終わりに、 #未鈴の自伝』(古川未鈴/KADOKAWA)より一部抜粋・編集しました

【30日間無料】Amazonの読み放題をチェック >

『ツインテールの終わりに、 #未鈴の自伝』
(古川未鈴/KADOKAWA)

「推し」という言葉が嫌いだ

 先に言っておくと誰かに「みりん推しです!」「あの人はりさ推しだよね」とか会話で流れてくるものは大丈夫。だから「推しって言っちゃったよ…」と嘆く必要はなし。何が嫌か。それは公式から出す言葉として「推し」が使われるのがとても嫌だ。この理由を聞かれるととんでもなく言葉が難しい。なんとなくベースで読んでほしい。

 

 私の思うアイドルとファンの方の距離感が理想と違う。というのが一番近いだろうか。私はアイドルとファンの距離感は遠ければ遠いほどいいと思っている。アイドルからの一方通行でいいと思っている。

 ファンの方とチェキを撮ったり握手会をしたくないという意味ではない。そういう特典会の場でもダラダラとしたくない。時間が足りないくらいがベストだと思っている。手の届かない存在でありたい。私はそういうアイドルを目指している。

 

 ただ、これを実現するにはめちゃくちゃ売れなければならない。さらにこれは私が子供の頃に憧れていたモーニング娘。さん、SPEED、マジの芸能人だと思う。

 時代は進んだ。でんぱ組.inc はどうだろうか。私は自分の生誕祭でこう話したことがある、「私は中距離アイドルでありたい」。私の憧れと今のアイドルの折衷案。程よい距離感でいこうよ、と。

 

 月日が流れ、でんぱ組.inc もちゃんと活動できるようになった頃、何かのコンテンツで「推し○○」という単語を公式から出そうとしていた。私は全力でそれを止めに行った。別にいいじゃないか、それくらい。でも私が記憶してる中で公式から「推し」という単語を使おうとしたのは初めて見た。私は、公式的な場でみんなの事を推しと呼びたくなかった。「応援してくれてるファンの皆さん」なのだ。

 

 究極言ってしまうと。「推し」という概念もいらないと思っている。そもそもアイドルグループを好きになることにおいて誰か一人を決めなくてはいけない、みたいなルールが嫌いだ。その団体が好き、でいいじゃないか。

 個を応援してくれるのは嬉しい。ただ推しのあの子が目立たないと嫌だ!とかそういう意見の人には賛同しかねる。私はとにかくグループで好きになってもらいたかった。でんぱ組.incを好きならでんぱ組.inc でいいじゃん。私は個を好きになってもらうより、でんぱを好きになってもらう方が良いと思ってます。

 

 これは私が平成の人間だからなのだろうか。老害なのだろうか。わかりません。「推し」という言葉にまとまりたくなかったのかな。とにかく唯一無二感を出したかった。でんぱ組はでんぱ組だけだ。たまに後悔する。私の変なこだわりのせいで人を嫌な気分にさせてしまった、と。申し訳ない。

 

 でもさ、よく新しい職場とか行くと「気になることがあったら何でも言ってね」って言われるじゃん。気になったので言った。それが叶うか叶わないかはわからないけど、何にも興味がなくて「別に何でもいい」が口癖だった私には、大きな一歩ではあった。この感覚はなんとなく大事にしてもいいと思った。なんとなく伝わっただろうか。

<第4回に続く>

本作品をAmazon(電子)で読む >

本作品をDMMブックスで読む >

本作品をBOOK☆WALKERで読む >

あわせて読みたい