紫式部『源氏物語 四十二帖 匂兵部卿』あらすじ紹介。美意識高めのプレイボーイ・匂宮と、こじらせイケメン・薫。源氏亡き後、ふたりの物語がスタート!
公開日:2025/3/12
時を超えて読み継がれる王朝文学の傑作『源氏物語』を読んだことはありますか。国語や歴史の教科書に掲載されていたり、著者・紫式部の人生がドラマ化されたりして、興味がある方も多いかもしれません。どんな物語なのかを知ることができるよう、1章ずつ簡潔にあらすじをまとめました。今回は、第42章『匂兵部卿(におうひょうぶきょう)』をご紹介します。
目次
1.『源氏物語 匂兵部卿』の作品解説
2.これまでのあらすじ
3.『源氏物語 匂兵部卿』の主な登場人物
4.『源氏物語 匂兵部卿』のあらすじ

『源氏物語 匂兵部卿』の作品解説
『源氏物語』とは1000年以上前に紫式部によって書かれた長編小説です。作品の魅力は、なんといっても光源氏の数々のロマンス。年の近い継母や人妻、恋焦がれる人に似た少女など、様々な女性を相手に時に切なく、時に色っぽく物語が展開されます。ですが、そこにあるのは単なる男女の恋の情事にとどまらず、登場人物の複雑な心の葛藤や因果応報の戒め、人生の儚さです。それらが美しい文章で紡がれていることが、『源氏物語』が時代を超えて今なお世界中で読まれる所以なのでしょう。
『匂兵部卿』から始まるのは、源氏亡き後の次世代のストーリーです。体から芳香を放つ特異体質の薫と、薫に対抗しお香を焚きしめる匂宮が主人公となります。源氏の子として何不自由ない環境に生まれた薫ですが、心に闇を抱え陰のある美男子に成長し、対して匂宮は皇子として生まれ奔放に恋愛を楽しむ典型的な色男。「クールな薫の方が色気ある」「情熱的な匂宮の方が推せる!」という平安女子トークが聞こえてきそうです。魅力的なアロマなふたりの物語が幕を開けます!
『匂兵部卿』から始まるのは、源氏亡き後の次世代のストーリーです。体から芳香を放つ特異体質の薫と、薫に対抗しお香を焚きしめる匂宮が主人公となります。源氏の子として何不自由ない環境に生まれた薫ですが、心に闇を抱え陰のある美男子に成長し、対して匂宮は皇子として生まれ奔放に恋愛を楽しむ典型的な色男。「クールな薫の方が色気ある」「情熱的な匂宮の方が推せる!」という平安女子トークが聞こえてきそうです。魅力的なアロマなふたりの物語が幕を開けます!
これまでのあらすじ
美貌と才能に恵まれ、准太上天皇まで上り詰め、世の人々から“光る君”と呼ばれた光源氏の死から数年が経った。源氏の娘である明石の中宮と今上帝の間に生まれた匂宮、源氏と女三の宮の子である薫が世間から噂される美男子として知られていた。
『源氏物語 匂兵部卿』の主な登場人物
匂宮:15~21歳。今上帝と明石の中宮の皇子。
薫:14~20歳。源氏と女三の宮の子であるが、実の父は故柏木。
夕霧:40~46歳。源氏の息子。
明石の中宮:33~39歳。源氏と明石の君の子。今上帝(きんじょうてい)の中宮。
『源氏物語 匂兵部卿』のあらすじ
光源氏亡き後、その類まれな美貌を受け継ぐものはいなかった。冷泉院は源氏の生き写しのようであったが、退位された帝と臣下である源氏を並べるのは畏れ多い。今上帝と明石の中宮の皇子である匂宮と、源氏と女三の宮の子・薫が世の評判となっているが、源氏に比べると一歩劣る。それでも、源氏と縁のあるふたりが、世間からの評判も加わり、当代きっての美男子ということになるだろう。紫の上に可愛がられていた匂宮は二条院を受け継ぎ、姉の女一の宮も六条院の紫の上の部屋に今も暮らしている。源氏の息子・夕霧は、かつて栄華を極めた二条院・六条院の面影を消すまいと、心配りを絶やさない。妻の落葉の宮を六条院に移し、雲居雁の住む三条の邸と交互に通っている。
薫は、亡き父・源氏の口添えもあったためか、冷泉院と秋好中宮に格別に可愛がられていた。元服後14歳の若さで右近中将まで昇進し、今上帝や明石の中宮、夕霧にも可愛がられていた薫であったが、心には鬱屈した思いがあった。幼い頃耳にした自身の出生の秘密が気に掛かり、誰に問うこともできず、出家をして母・女三の宮と同じ道を歩みたいとすら思っていた。
気品がありながらどこか陰があり、なにより生まれながらにして体から芳香が香るのは他の人とは違っていた。薫に張り合う匂宮は、薫物にこだわって特別に調合した香を焚きしめていた。世間はふたりを“匂う兵部卿、薫る中将”ともてはやし、娘婿に望む声も多かった。匂宮は、美人と噂の女には言い寄ってはいたが、特に決めた恋人はいなかった。薫は世を厭う心から恋愛に積極的になれずにいたが、ふたりとも冷泉院の女一の宮にささやかな憧れを抱いていた。
夕霧もまた、薫と匂宮を多くいる娘たちの婿に迎えたいと考えていた。特に、藤典侍が生んだ六の君は器量がいいので、落葉の宮の養女として養育を任せていた。
<第43回に続く>