オムライスに「付加価値」を付けるなら…? 就活やビジネスに役立つ、「差別化」ではない「付加価値化」というスキル《柿内尚文インタビュー》
公開日:2025/3/17
自分の「付加価値」をつくるための方法

イラスト・かんのあや
――本書では「既存価値」「付加価値」「不要価値」という3つの言葉を使って、価値の違いを説明しています。
柿内:まず、商品やサービスが持つ想定内の価値を「既存価値」と定義しました。その枠を超える、想定外の価値が「付加価値」です。そして、付加価値になりたかったのに、うまく伝わらず機能していないものを「不要価値」と呼んでいます。
例えば、洋食の付け合わせにパセリがよくありますよね。もともとは消化促進や彩りのために添えられたものですが、食べずに残す人もいて、あまり喜ばれてもいないんじゃないかと思います。これは、価値が伝わらず「不要価値」になっている状態です。同じような食材でも、とんかつに付いてくるキャベツは、「既存価値」か「付加価値」として認識されることが多いと思います。キャベツのおかわりサービスをしている店もありますからね。
同じような料理の付け合わせでも、価値が全く違うように捉えられているわけで、パセリのように、価値をうまく伝えられていないものをぜひ「付加価値」にしてほしいと思っているんです。
――その「付加価値」を生み出すには、何か新しいことを始める必要があるのでしょうか。
柿内:新しく何かを始めることもひとつの方法ですが、それが必ずしも必要というわけではなくて。まずは、すでにあるものを別の視点で見直すことが大切だと思います。
例えば、あるものを一方向から見ると価値がないように見えても、別の角度から見ると価値が生まれることがあります。短所だと思っていたら長所だったとか。既存のものの価値を再発見するという視点が大切なんです。
――なるほど。商品やサービスもですが、仕事の場面で、自分の「付加価値」を高めたいと考える人は多いと思います。第3章「自分の付加価値をつくる」でも書かれていますが、そうした場合、まずは何から始めると良いでしょうか。
柿内:自分の良いところは意外と分かりづらいものですが、苦手なことや嫌なこと、弱点は自覚しやすいんですよね。ネガティブな部分の方が目につきやすいので。そこで、一度それらをすべて書き出してみて、強引にでもポジティブな解釈に変えてみるのが良いと思います。
最初は腑に落ちないかもしれませんが、とにかく裏返して考えてみる。書き出したものを毎日見続けることで、少しずつ認識が変わっていく。そうすると、自分では弱みだと思っていたものが、実は強みだったのではないかと気付くこともあります。その習慣ができると、だんだん自分の「付加価値」として捉えられるようになってくると思います。
自信がない、強みがないと思っている人の多くは、自分にとって当たり前のことを魅力として認識できていないんですよね。でも、外から見るとそれが大きな魅力に映ることもある。だからこそ、自分では普通と思っていることに新しい視点を加えたり、他の人の意見を聞いたりすることで、自分の強みを発見して、それを磨いていくことが重要だと思うんです。