玉置玲央エッセイ「受け継ぐ、ということが好き。」受けた恩を次の人に送る/では、後ほど

文芸・カルチャー

公開日:2025/4/1

大河ドラマ『光る君へ』藤原道兼役での名演も記憶に新しい俳優・玉置玲央さんが、40歳を記念した自身初のフォトエッセイを出版。

全編書き下ろしのエッセイ40編に加え、自身の趣味であるカメラで撮影した写真や、演劇の街・下北沢、プライベートでの癒しの場所・江の島で撮影したグラビアも収録されています。

さらに、10代の頃からの憧れの存在・向井秀徳(ZAZEN BOYS)さん、古くから交友があり事務所同期の松居大悟(ゴジゲン)さん、舞台『ダブル』で共演した役者仲間・和田雅成さんとの対談や、自身が20代の頃に書き下ろした未公開戯曲『どくはく』も必見。

役者として生きてきた日々やこれまでの人生を振り返り、自己を深掘りした本書には、著者が豊かな経験を通して得てきた喜びや苦悩、教訓のすべてが詰まっています。俳優・玉置玲央さんの人間的な魅力をひも解く貴重な一冊を、ぜひお楽しみください。

※本記事は『玉置玲央フォトエッセイ では、後ほど』(玉置玲央/KADOKAWA)から一部抜粋・編集しました

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『玉置玲央フォトエッセイ では、後ほど』
(玉置玲央/KADOKAWA)

オリンパスとセイコーオートマチック、指輪、そして裁ち鋏

 受け継ぐ、ということが好き。
 物でも事象でも言葉でも何でも、その向こうにそれを継いでくれた人間の想いが見えればそれだけでグッと来ちゃう。その想いを大切にしようと思うし、僭越ながら自分がそれをまた次に継がせてもらいますって思って頑張れる。その人の日常や想いを自分と共に過ごさせて引き続き一緒に歩んでいきましょうなんて、お節介なこと考えて大切に大切に紡いでいっちゃう。

 ファンの皆さんからいただくお手紙だってそういうことですよ。かねてからSNSで言ってますけど、『手紙を書く』って相当な労力だと思いますもん。お店に出向いて便箋選んで、悩んで悩んで変じゃないかな引かれないかなとかぐるぐるして、いざ書くとなったら何書いていいんだ、何が言いたいんだ自分ってなるでしょ?本当に届くのかな?読んでもらえるだろうか?ってかそもそも迷惑じゃないかなとかアレコレ考えた挙句、ええいままよ!って書いて。手書きで書いたりしてさ、自分の字の汚さに絶望して。自分がそうだもん。自分が手紙書く時こんな感じ。一通の手紙にこれだけの物語があって、想いがあって、これをただ『ファンレター』で片付けるのは寂しいじゃん。いや、想像でしかないけどね物語も想いも。でもそう思ってお手紙受け取って読んだ方が何百何千何万倍も嬉しいしその分頑張れる。それを活力にしてまた出会うために次の現場に向かうのですよ。これだって受け継ぐってことだよ俺にとっては。何度でも言います。お手紙、いつもありがとうございます。

 お芝居だってそう。作家の想いを、演出家の想いを、監督の想いを、やり取りの果ての共演者の想いを、受け継いでいる。継いだ先にはお客様、視聴者の皆さんが待っている。
 それから、先人たちや先輩たちの技術や知識、そして愛情も受け継いでいる。いただいた言葉が全て糧になってる。今の自分を形づくっている。そこに感謝しないでホイホイ過ごすのは、別にいいけどちょっと勿体無い気がします。ちょっとの恩義を莫大な感謝に膨らませて次へ次へと送っていけば、いつか必ずいいことがあるって信じてる。受け継ぐってのは俺の中ではそういうことなんです。
 劇作家の井上ひさし先生の言葉で好きなのが、
『恩は受けた相手に返すのではなく、次の人、次の世代に送りなさい。恩返しではなく恩送りをしていけば未来はきっと明るい』
 というもの。俺も又聞きなので自分なりの解釈がちょっと入っちゃってますけど、でもこれも受け継ぐということじゃないか。この『恩送り』という行為もだし、この言葉をここに書くということも。
 今でもあるのか分からないけど。
 お母さんが着たウェディングドレスを自分の結婚式でも着たい。親父が使っていた腕時計を直して使いたい。なんなんだろうね親から受け継ぎたいと思うコレ。いつか必ず来る別れを知らず知らずに惜しんでるのかな。いつまでも共にいてください見守っていてくださいって祈りだと思うんだよね俺は。
 祈りってのはすなわち愛ですよ。受け継ぐということは愛だと思う。
 だから、受け継ぐということが好きなんです。
 だから、親から受け継いでる苗字と、親がつけてくれた名前を大切にしてるんです。

 皆さんは何か受け継いでいるものはありますか?

<続きは本書でお楽しみください>

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