松丸亮吾が「ひらめく」のはどんな時? 愛猫との思い出も語る、体験型図鑑『ひらめく理科』アンバサダー就任記念インタビュー

文芸・カルチャー

公開日:2025/8/4

謎解き世界大会(2023)で世界一に輝くなど、クリエイターとして多方面で活躍中の松丸亮吾さん。松丸さんは日ごろ、どのようにして自身の“ひらめき力”を育んでいるのでしょうか。
アンバサダーに就任した『角川の集める図鑑GET!ひらめく理科』の感想とともに、ご自身のひらめき脳を育んだルーツについても詳しくお話を伺います。

謎解きでも物理や理科は頻出のテーマ!

――「ひらめきラボ」でも動画を配信されていらっしゃいますが、松丸さんが「ひらめく」ときはどんなときですか?

松丸亮吾さん(以下、松丸さん):僕が考える理科の面白さは現象同士を組み合わせて考えと答えが導き出せることです。その“ぱっとわかる瞬間”がひらめきだと思っています。

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たとえば、自動改札機でさまざまなサイズの切符をつまりにくくするために、開発者の方が「川に流れる葉っぱが岩に当たったあとまっすぐになる現象」をヒントにしたそうです。

僕自身も、机の前に向かっているときより、散歩中や猫を撫でているときなど、自然や生き物と接する日々の何気ない時間にひらめくことが多いですね。

――松丸さんが謎解きのヒントに理科の現象を使うことはありますか?

松丸さん:ありますよ。化学や物理は試すことで答えが可視化できるので、謎解きでも頻出のテーマです。たとえば物理の歯車の動きや磁石の現象も謎解きの解法でよく使っています。

「時間を忘れて没頭するほど好きなこと」がひらめきの原動力に

――考える力やひらめき力はどんな経験から身につくのでしょうか?

松丸さん:「時間を忘れて没頭するほど好きなこと」「誰にも負けたくない」「もっと知りたい」という思いは強いと思います。僕の場合、幼少期に「兄たちに負けたくない」「好きなゲームを攻略したい」といった経験やそのとき興味のあることを両親が深めてくれた環境が、今の僕のひらめき力を育ててくれたのだと言っても過言ではありません。

――反対に「ひらめかないとき」はありますか? スランプ脱出法があれば教えてください。

松丸さん:思うようにひらめかないときは、別のことをしてその状況から一旦離れて頭の中をリセットするようにしています。たとえば音楽ゲームなど別のものに没頭して考えない時間を経てから戻ってくると、ふっとアイデアが浮かんだり、悩みが整理されていることが多いです。

ひらめく正体は「好きとやる気」!図鑑で好きの種を見つけよう

――子どものころ図鑑はお好きでしたか? 特に好きなジャンルはありましたか?

松丸さん:兄が3人いることもあって、図鑑は一通りそろっていたので、小さい頃からよく見ていました。休みの日に両親と書店に行くと、気になる図鑑があれば買ってもらったりもしていましたし、小学生の頃はゲームの影響もあって天体の図鑑が大好きでしたね。望遠鏡で星空観察したり、図鑑で知ったペルセウス座流星群を静岡のおじいちゃんの家で実際に見たのもよく覚えています。

――『ひらめく理科』の感想やおすすめの活用方法があれば教えてください。

松丸さん:一般的に理科といえばフラスコやビーカーといった“非日常のとっつきにくいイメージ”がありますが、この図鑑では重曹の秘密を「ホットケーキが膨らむ理由」という形で説明したり、身近な動物として「猫の生態」に注目したりと、実生活の中で体験できる“身近な理科”になっているので、勉強感が強くないのもいいなと思いました。ちなみに僕は猫を飼っているのですが、この図鑑の猫のページに書いてある通り、夜中愛猫に起こされた時に目だけピカッと光っていて驚いたことがあります(笑)。

僕はひらめく正体は「好きとやる気」だと思っています。だから、まずは小さなことでいいから好きという気持ちを大事にして、関心をもって取り組んでみてほしいです。おいしそうなジャンルから始めて少しずつでいいから自信をつけてほしいですね。

今の夢は謎解きをスポーツのように楽しんでもらうこと!

――改めて、謎解きの魅力を教えてください。

松丸さん:年齢や学力を問わず、子どもから大人まで楽しめることが謎解きの一番の魅力だと感じています。今の子って間違うことや失敗を恐れがちで「知らないから」「習っていなから」と諦めてしまう子が多いんです。謎解きは勉強ではないので、自分で疑問に思ったとことを調べたり組み合わせたりしながら「答えを導き出すことが楽しい」「考えることって楽しい」と一人でも多くの子が思ってもらえたら嬉しいです。

――最後に、今特に力を入れている活動があれば教えてください。

松丸さん:2023年に学校の勉強をしない、地頭力を育てるひらめき学習塾「リドラボ」(https://edu.riddler.co.jp/ridlabo/)を開校しました。東京大学の藤本徹准教授監修の元、ゲームのように夢中になれる「ひらめき学習プログラム」を中心に“地頭力”に特化したカリキュラムを作成しています(現在小学1年~4年生対象)。実際に2年間通った子たちの思考力が格段に上がっていますし、子どもには、いきなり勉強させるのではなくて、まずは学びの土台となる思考力を育てるために、考える恐怖心を取り除くことや考える喜びを感じることがとても大事なことだと実感しています。

他にも、テレビ東京の番組『おはスタ』発のイベントとして全国の小学生対象の「ナゾトキ選手権」を今年の1月に開催したのですが、爆速で謎解きをする小学生を目の当たりにして、子どもたちの能力に圧倒されました。
子どもたちには、「ひらめく人ってかっこいい」と思ってほしいですし、もっと多くの人に謎解きをスポーツのように楽しんでもらえるよう、僕も頑張っていきたいですね。

取材・文=加藤朋美

『角川の集める図鑑GET! ひらめく理科』
『角川の集める図鑑GET! ひらめく理科』(日本科学未来館:監修/KADOKAWA)

発売日:2025年7月9日(水)
定価:2,970円(本体2,700円+税)

KADOKAWA児童書ポータルサイト「ヨメルバ」書誌詳細ページ
https://yomeruba.com/product/322503000581.html

KADOKAWAオフィシャル 書誌詳細ページ
https://www.kadokawa.co.jp/product/322503000581

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