自称「全能の力」を持つ少女と理系男子が出会ったら? サイエンスミステリーの仕掛け人・喜多喜久の最新作『全能のカミナ』を【マンガ】でチェック!

文芸・カルチャー

公開日:2025/7/25

全能のカミナ
全能のカミナ喜多喜久/ハーパーBOOKS+

 僕の退屈を、君が殺す――。2025年7月15日(火)、シリーズ累計60万部を突破した『化学探偵Mr.キュリー』の著者・喜多喜久の新作『全能のカミナ』(ハーパーBOOKS+)が発売された。“サイエンスミステリーの仕掛け人”が、まったく新しい青春サスペンスを世に送り込む。

 物語のカギを握るのは、ミステリアスな少女・カミナ。平凡な理系男子の主人公はある日、大学の図書館で彼女と出会った。風変わりな雰囲気をまとったカミナは、高校生のときに雷に打たれて以来、自分に“全能の力”が芽生えたと本気で信じ込んでいるという。

 平凡な日々を過ごしていた主人公はそんなカミナに興味を持ち、行動を共にするようになる。一方、彼らが通う大学周辺では学生を狙う連続殺人が横行していた。手掛かりは、被害者の腕に刻まれた稲妻のような傷跡。カミナとの出会いをきっかけに主人公もまた、否応なくその事件の渦中へと引き込まれていく。

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 そんな同作の最大の魅力は、やはりカミナの存在だろう。主人公にとって“全能の力”の真偽はさほど重要ではなく、それを疑いもせず信じ切っている彼女がどう生きていくのか、その一点に興味を示している。カミナのことをもっと知りたい――。物語を読み進めていくうちに、きっと読者も同じ思いを抱くことになるはず。

 ちなみに作者の喜多氏は、大手製薬会社の研究員を経て、2017年4月から専業作家として活動を開始したという異色の経歴の持ち主。薬や化学の知識を盛り込みつつ、軽妙なエンターテインメントに仕上げる作風で読者の支持を集めている。

 例えば代表作の「化学探偵Mr.キュリー」シリーズでは、化学オタクな准教授と新人事務員コンビが化学知識と推理を武器に不可解な事件に挑んでいく。また第9回「このミステリーがすごい!」大賞の優秀賞に選ばれた『ラブ・ケミストリー』は、化学と恋愛を組み合わせた一味違うラブコメ作品となっていた。

 『全能のカミナ』でも主人公は“理系男子”という設定だが、今回は物語全体を貫くキーワードとして“雷”の存在が大きな意味を持っている。理系男子、雷、連続殺人事件……。この3つの要素がどう交わり、どのようなサスペンス劇が展開されていくのか。

 そのヒントとなるのが、X(旧Twitter)上で公開された紹介マンガ。漫画家の梅星あやめ氏が手掛け、彼女ならではの視点から作品の魅力や見どころが語られている。

 カミナの破天荒ぶりと連続殺人事件が織りなす青春サスペンスは、読後にもう一度ページをめくりたくなる“二度読み必至”の一冊。気になった人は、まず紹介マンガから覗いてみてはいかがだろうか。

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