「一人では挫折しそうな本も“一緒に読んでる”と思うと読み進められる」第4回 #木曜ゆる読書会 開催レポート&第5回参加者募集中!

文芸・カルチャー

公開日:2025/7/31

※写真はイメージです(画像提供:photoAC)
※写真はイメージです(画像提供:photoAC)

 2025年7月24日(木)、ダ・ヴィンチWebが主催する「第4回木曜ゆる読書会」が開催されました。本稿では、そのようすをレポートします。

木曜ゆる読書会とは?

 書店で「面白そう!」と思ってお迎えした本が、積んだままになっていませんか? 数ページだけ読んで止まっている……最近あまり本を読めていない……そんなお悩みを抱える方も多いのではないでしょうか。

 実は、ダ・ヴィンチWeb編集部でも「積読が増える一方」「一人だとスマホを見てしまう」といった声が続出。

 そこで、積読を解消したい人や、読書を習慣づけたい人のための、ゆるい読書会をスタートしました。

 課題図書はありません。漫画でも雑誌でも、途中まで読んだままの本でもOK。参加者は読みたい本を持ち寄り、Zoomでカメラ・マイクOFFで45分間“もくもくと読む”だけ。途中の入退室も自由です。

編集部の選書には“ジャケ買い”という裏テーマも

 読書会では、ダ・ヴィンチWeb編集部員4名も、毎回一冊ずつ本を持ち寄っています。

 これまでは積読の中から読みたい本を選んでいましたが、第4回となる今回はちょっと趣向を変えて、“ジャケ買いして積んでいた本”という裏テーマを設定しました。

 装丁に惹かれて買ったものの、なかなか読むタイミングがなかった本たち。そんな“眠れる一冊”はこちら。

装丁物語(中公文庫)』(和田誠/中央公論新社)
デザイナー自身が語る装丁の舞台裏に触れられそうだと感じて買った一冊。

失はれる物語(角川文庫)』(乙一/KADOKAWA)
印象的なタイトルと”雨に滲む楽譜”の装丁に心を掴まれ、手に取った一冊。

そして誰もゆとらなくなった(文春文庫)』(朝井リョウ/文藝春秋)
荒野でホールケーキを食べている、ユニークなイラストが気になって購入した一冊。

椿ノ恋文画集』(しゅんしゅん/幻冬舎)
『ツバキ文具店』シリーズの挿絵を手がけるしゅんしゅん氏の繊細な線と余白に惹かれて、いつか開こうと思っていた一冊。

いざ、読書タイム! 45分間、ただ読むだけ

 編集部の紹介が終わったあとは、いよいよ読書タイム。Zoomをつないだまま、カメラもマイクもオフにして、それぞれが選んだ本と静かに向き合います。

 この45分間は、自分の本の世界に没頭できる貴重な時間。「誰かとつながっているけれど、干渉されない」という、ちょうどいい距離感があるからこそ、読書に集中できるという声も。

 参加者の皆さんにも、読書タイムの前に「今日読む本」をチャットで教えていただきました。小説、エッセイ、ビジネス書、ZINEまで、今回も多彩な本が集まりました。

 そして45分後、まずは編集部員が書籍の感想をそれぞれシェア。さらに、参加者からもチャットで数々の感想が寄せられました。

参加者の感想をご紹介!

 チャットやアンケートで寄せられた感想の一部をご紹介します。

RPGのつくりかた』(著:さやわか, 監修:アトラス/筑摩書房)
アトラスの新作ゲーム『メタファー:リファンタジオ』の制作過程が気になり、手に取りました。開発スタッフへのインタビューを通じて、シリーズものではない新規タイトルに“面白さの保証”をどう持たせるか、その工夫や苦労を知ることができて楽しく読めました。

民俗学で考える』(新谷 尚紀, 岸澤 美希/KADOKAWA)
民俗学に興味があり、著者がポッドキャスト「やさしい民俗学」の方だったので選びました。花いちもんめが仏教に由来するという話や、お雑煮の歴史など、身近な文化の意外な背景を知ることができて興味深かったです。

からだに従う ベストエッセイ集』(谷川 俊太郎/集英社)
「恋は大袈裟なものだが、誰もそれを笑うことはできない。」という帯の言葉に惹かれて選びました。最初は読みやすい内容でしたが、だんだんと抽象的な世界に入っていき、読み続けられるか不安も。でも、読書会でみんなと本を読んでいると思うと自然とページが進みました。「失恋とは恋人を失うことかもしれないが、決して恋を失うことではない。」といった表現など、詩的で興味深いエッセイでした。

青い壺』(有吉 佐和子/文藝春秋)
書店で平積みされていて気になって購入したまま積んでいた一冊。今日読む本を探していて真っ先に目に入ったので選びました。第二話では定年後の夫婦の姿が描かれていて、時代が変わっても人の心は変わらないのだと感じました。連作短編集なので、これからも空いた時間にゆっくり読み進めたいです。

移動する人はうまくいく』(長倉 顕太/すばる舎)
「意思の力では、行動は変えられない。人は、“環境→感情→行動”の順番で行動するからだ。」と書かれていて、ほ~なるほど、と。確かに感情(気持ち)だけで行動を継続しようとするのは難しいなあと思いました。でも、環境を変えると変化が起きるというんです。今の自分を振り返ると、環境を変えるのは難しいと感じているのですが、本書では日常生活の中で“なんだかできそうなヒント!”というものがいくつも紹介されていました。1つひとつの話のまとまりが短くてとても読みやすいです。

『百花繚乱』
岡山の高校3校による合同部誌で、ZINEスタジアムで入手したものです。高校の文芸部・文学部の生徒たちが「花」をテーマに綴った小編や短歌を6作品ほど読みました。「ここ、もう少し描写が欲しいな」「このプロット面白いな」と思いながら読み進めるうちに、いつの間にか“この作者にインタビューしてみたい!”という気持ちに。大学生や社会人、夫婦などを登場人物に設定していたり、「感情を匂いで感じ取る」という設定などもあり、人物造形やアイデア出しの裏側が気になりました。

金融のしくみは全部ロスチャイルドが作った』(安部 芳裕/徳間書店)
金融リテラシーの底上げ。昨今、対米関係や政治などお金に係る話題がつきず、経済システムを理解することで自分がこの先、どう行動すべきかを考える機会にしたく選書しました。読み始めると加速がつくので(読むまでの道のりが長い)、こうした読書会はありがたいです。

サブカルで食う 就職せず好きなことだけやって生きていく方法』(大槻 ケンヂ/KADOKAWA)
表現をする仕事の人の言葉を見てみたくて選びました。表現者に憧れを持つ私にとって、非常に刺さる内容でした。「サブカルで食っていきたいなら、プロのお客さんになってはダメ」という言葉が印象に残っています。この本から何か影響を受けて、新しい表現を産み出せればなと思いました。

交番相談員 百目鬼巴』(長岡 弘樹/文藝春秋)
連作短編のうち、二篇を読みました。『教場』に連なる作品らしく、切れ味鋭い短編集でした。おっとりした中年女性に見えて、じつは優れた観察眼を持つ巴が、交番で起きる事件を解きほぐしていく様子が面白かったです。

※いただいたご感想の一部を編集部にて編集し、掲載しております。

参加者の声から見えてきた“ゆる読書会”の価値

 読書会終了後には、毎回アンケートにご協力いただいています。「編集部の裏テーマ選書がおもしろかった」「他の人の紹介で本が欲しくなった」など、嬉しい声が多く寄せられました。

「編集部の方の“ジャケ買い”という裏設定も面白かったです。次回は自分も裏テーマで選書してみたい!」

「『移動する人はうまくいく』と『からだに従う』、さっそく購入しました」

「集中して読めたこと自体がすごく気持ちよかったです」

「3回目の参加でしたが、毎回楽しみにしています!」

 このように、読書会での発見が、次に読みたい本や新しい読書習慣につながっていることがうかがえます。 “ただ読むだけ”の時間が、誰かにとっての大切な一歩になっている——それが、木曜ゆる読書会の魅力です。

 次回は2025年8月7日(木)18:00〜開催予定です。ぜひご参加ください!

第5回「あの本、読まなきゃな~と思い続けてる人の 『木曜ゆる読書会』」

 課題図書はありません。ご自身が購入済みの一冊や、読みかけてそのままになってしまっている一冊を、事前に読まないままでご用意ください。なお、カメラ・マイクOFFでご参加いただけます。

■内容:
スタッフによる会の説明後、チャットで事前にお読みになる書籍を共有ください。その後、約45分間を読書の時間にいたします。ノルマなどもなく、ご自身のペースで読書をお楽しみください。
読書の時間終了後は、ご希望の方のみ、読後のご感想をチャットでお知らせください。
ほか、ご参加後の簡単なアンケートへのご回答をお願いいたします。

■開催日時:8月7日(木)18:00~19:30
     以降、隔週木曜日18:00~、全6回開催予定 (今回は第5回目となります)

■開催場所:オンライン

■定員:なし

■参加費:無料

■その他注意事項:
後日、読書会のもようをイベントレポートとして記事化する場合がございます。また、ご参加者の許諾をいただければ、書籍タイトルとご感想を「ダ・ヴィンチWeb」の公式Xアカウントでご紹介させていただきます。

■お申込方法:下記よりお申込みいただけます。
https://mokuyou-yuru-dokusyo-5.peatix.com