直木賞作家、文学フリマに参戦! その舞台裏とは…? “らしさ”全開 万城目学の「エッセイの万博」が開幕!

文芸・カルチャー

公開日:2025/8/8

ザ・エッセイ万博
ザ・エッセイ万博万城目学/ポプラ社)

 2025年8月6日、直木賞受賞作家・万城目学氏の新刊『ザ・エッセイ万博』(ポプラ社)が発売された。これまでの作家人生をユーモラスに綴った、“万城目学の見本市”的な一冊だ。

 万城目氏は、2006年刊行のデビュー作『鴨川ホルモー』(KADOKAWA)で第4回「ボイルドエッグズ」新人賞を受賞し、その後も『鹿男あをによし』(幻冬舎)、『プリンセス・トヨトミ』(文藝春秋)、『偉大なる、しゅららぼん』(集英社)、『とっぴんぱらりの風太郎』(文藝春秋)などの話題作を次々に発表。『八月の御所グラウンド』(文藝春秋)でついに直木賞の受賞を果たした。

 万城目氏が手がける作品の特徴といえば、日常の中に奇想天外な非日常性を滑り込ませる“万城目ワールド”。そこに関西出身者らしいユーモアと大胆な発想を織り交ぜ、独特な切り口と軽快な語り口で物語を展開していく。

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 そんな彼の新作エッセイには、“京都”を物語の舞台に選び続けてきた理由を切り口に、京都ゆかりの偉人を野球でなぞらえて語る「京都ナイン」や、事実と虚構を巧みに織り交ぜた小話「マシュー・マコノヒー」など、“万城目ワールド”がギュッと凝縮されたエピソードが並ぶ。ちなみに「万博」と題したのは『ザ・万歩計』『ザ・万遊記』『ザ・万字固め』など、これまでのエッセイ集と同様、「万」を冠するスタイルを踏襲しているのだという。

 中でも注目を集めそうなのが、「実録! 万筆舎活動」だ。2023年に同氏が立ち上げたひとり出版社「万筆舎(まんぴつしゃ)」にまつわる秘話や、単独で参加した「文学フリマ」での体験が前後編にわたって綴られている。作家としては異例ともいえるその活動の真意を知ることで、万城目作品の見方がまた少し変わってくるかもしれない。

 他にも、シンガーソングライター・Chageへの作詞提供秘話を綴った「『飾りのない歌』ができるまで」や、自身のディープな少年期を振り返る「少年昭和時代」、万城目節全開の大阪万博ルポ「万城目学、大阪万博へ行く」など、テーマも雰囲気も異なる13編を収録。まさに“エッセイ万博”と呼ぶにふさわしい一冊である。

万城目学”という直木賞作家がいかにして生まれたのか。そのルーツを、ぜひ同書でひもといてみてほしい。

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