声優・井澤詩織「闇の摂取は適度に必要」。怪談本を責任編集&初執筆! 作家デビューなんて恐れ多い…と語るその真意は【インタビュー】

文芸・カルチャー

PR 公開日:2025/9/22

人生を輝かせるためにも闇を覗いてみませんか?と思うんです。

 『井澤詩織の誰かに話したくなる怖い話』インタビュー

——いつ頃から怪談が好きになったんですか。

井澤:小学校の時におまじないやジンクスが好きで、低学年の頃は『My Birthday』(実業之日本社)っていう10代向けの占い雑誌を読んでいました。竹書房さんの怪談本が好きになったきっかけは覚えています。20歳くらいの新人時代、ラジオの収録で文化放送に通っていて、収録のたびに浜松町の貿易センタービルの中にある「文教堂」(現在は閉店)で怪談の新作を買い漁っていました。怪談に力を入れている書店さんだったので。

——同じ怪談話でも“読む”ところから入ったんですね。

井澤:そうですね。怖い話は好きですけど、肝試しには絶対に行かないんです。怖い目にあった人の話を知りたいだけで、自分は怖い目に遭いたくないから(笑)。ホラー映画も観ますけど、映画より文章のほうが自分のタイミングで怖さに触れられるじゃないですか。怖すぎるから一回止めようとか、もっと欲しいから読もうとか、それができるから本はちょうどいい。竹書房さんの怪談本はKindle Unlimitedでたくさん読めるので、新刊も必ず読んでます。

——井澤さんがおすすめしているから読みたいけど、怖いからどうしよう…と迷っている人に、怪談の面白さを教えていただけませんか?

井澤:まず安心してほしいのが、“この話を読んだあなたも怖い目に遭います”というお話は一つもないです。私自身がそういうお話はズルイでしょって思うほうなので(笑)。だって、
その方法を使って読者の印象に残るというか、爪痕を残すって…そりゃ嫌でもそのギミックで残るじゃん!と。 それに、人間の闇を知っているからこそ人生の輝きが感じられると思うんですよ。私も怪談を読んでいるから、いい話がより素敵に感じられるし、文章やお話の味わい方が深まっていると思っていて。闇を適度に摂取したほうがいいと思うので、みなさんの人生を輝かせるためにも、たまには闇を覗いてみませんか?

——なんだか急に怪談がキラキラしたものに見えてきました。

井澤:本の中の主人公が自分じゃなくて良かった、自分はこういう怖い目に遭わずに幸せに日常を過ごしている…と思えば、いい気持ちで終わるじゃないですか。今回の初執筆、難しかったですけど、やっぱり文章を書くのは好きだなと感じたので、私も機会があればまた書いてみたいです。

 『井澤詩織の誰かに話したくなる怖い話』インタビュー

——今年も竹書房の怪談文庫フェアでアンバサダーを務めていますが、今回の注目ポイントとは?

井澤:テーマは“恋する怪談”です。怪談って摂取しなくても生きていけますけど、つい欲しくなっちゃう気持ちを“恋する”っていう形で表現できたらと思って。今回は学校や病院の怪談とか、ジャンルによって分かりやすい本も選びました。

——怪談って一度読んだら中毒性がありますよね。

井澤:どれを読んでもたぶん、つまらないとはならないと思いますね。「怖くなかった」っていう人がいたら名乗り出てほしいくらい(笑)。みんなが思う怖いものは何かなって考えながら、絶対にどれかは刺さりそうな10冊を全部私が選びました。文庫だから持ち運べるし、フェア中にご購入いただくと私が読みあげた朗読の特典もあります。朗読のほうも怖くなっているといいな。

 『井澤詩織の誰かに話したくなる怖い話』インタビュー

取材・文=吉田あき 撮影=島本絵梨佳

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