大ヒットゲーム『都市伝説解体センター』ノベライズ&コミカライズは「ファンの手によって磨かれた解釈へのアンサー」【林真理×ハフハフ・おでーん インタビュー】
公開日:2025/9/19

発売後、3カ月で累計販売本数30万本を突破し、多くのユーザーを熱狂させたゲーム『都市伝説解体センター』。日常に潜む「都市伝説」の謎を“解体”する設定と、インパクトのあるドットで描かれた個性豊かなキャラクターが話題を呼び、ゲームの枠を飛び越え、ノベライズやコミカライズとして新たな物語が紡がれている。
少女まんが雑誌「りぼん」で連載中の漫画『都市伝説解体センター Parallel File』からはじまり、2025年8月8日からライト文芸レーベル・集英社オレンジ文庫にて公式スピンオフ小説のWeb連載『【奇譚】都市伝説解体センター』が、さらに9月19日(金)にJUMPjBOOKSから『都市伝説解体センター 断篇集』、集英社の子ども向け小説レーベル・集英社みらい文庫から『都市伝説解体センター ノベライズ みらい文庫版 怪異を解き明かせ』が発売された。
一連のノベライズやコミカライズについて、『都市伝説解体センター』のプロデューサー・林真理(はやし まこと)氏と、グラフィッカー・デザイナーのハフハフ・おでーん氏に話を聞いた。
「プロットから熱量が伝わってきた」各作品の狙いと見どころは?
――『都市伝説解体センター』は3カ月で30万本を達成し、大ヒットといえるゲームになったと思いますが、今回、ゲームという枠を飛び越え、ノベライズ、コミカライズに至った経緯を教えてください。
林真理(以下、林):集英社ゲームズの親会社が集英社ということもあって、ゲームから横展開ができたらいいなという話は企画以前からしていました。その中で最初にお声がけいただいたのが、「りぼん」編集部でした。アドベンチャーゲームはストーリーや世界観がしっかりしているので、ヒットすれば横展開しやすいと思っていたので、「りぼん」に続き、今回様々な編集部とご一緒できて嬉しかったです。

――ノベライズ、コミカライズ作品で想定している読者層や狙いなどがあれば、それぞれ教えてください。
林:『都市伝説解体センター 断篇集』は、ゲームで見ることができなかったキャラクターの意外な一面なども描かれているので、ゲームファンの方が楽しめる作品集になっていると思います。
『都市伝説解体センター ノベライズ みらい文庫版 怪異を解き明かせ』は、小中学生の子どもたちに対して、まずは小説で『都市伝説解体センター』の世界に触れてもらいたいという気持ちから作られているものになっています。

そして、『【奇譚】都市伝説解体センター』は、もともと集英社オレンジ文庫さんは女性の読者が多いとのことで、キャラクターの魅力をより伝えられるような作品になっていると思います。
――『断篇集』はスピンオフ、『【奇譚】』はオリジナルエピソードですが、原作開発メンバーとして、ノベライズやコミカライズの監修にはどれくらい関わられたのでしょうか? また、制作過程で印象に残っているエピソードや、特にこだわった点があればお聞かせください。
ハフハフ・おでーん(以下、おでーん):監修といっても大枠の設定などを最初にお伝えしたくらいで、基本的には作家さんからのご提案を活かす形で書いていただいたので、ストーリーのところに細かく口出しするということはありませんでした。
制作過程で印象的だったのは、どの作家さんもそうだったのですが、プロットの段階から“熱量が伝わってきた”ことです。ゲームのことをよく理解してくださっている作家さんばかりで、本当に楽しんで書いていただいていると感じて、チーム全員で本当にありがたく思っていました。
林:そうですね。こちらからは「都市伝説は出してください」という一点だけお願いしていただけでしたね。でも、本当にゲームに対して愛情を持ってくれている人たちが参加してくれたので、『都市伝説解体センター』のファンを裏切るようなことはしないだろうなと、スタート前から感じていました。
――原作開発メンバーとして、ご自身が生み出された作品やキャラクターを人に任せる、というところに抵抗はありませんでしたか?
おでーん:僕自身は抵抗はあまりなくて、どちらかというと「ユーザーの方にどう受け止められるか」というほうが気になっていましたね。ユーザーの想像の枠を狭めてしまうのではないか、という懸念はチーム内でも話し合いました。
林:先ほどの回答とも被るのですが、ゲームに対して愛情を持ってくれている人たちが参加してくれたので、『都市伝説解体センター』のファンを裏切るようなことはしないだろうな、キャラクターを潰してしまうような人たちじゃないな、という安心感があり、全く問題なかったです。