「また秋元真夏テレビ出てるよ…」と言われたい。バラエティ番組で快進撃を続ける彼女が心がけている「普通さ」【秋元真夏フォトブック『淡淡(あわあわ)』インタビュー】
公開日:2025/9/5
いじられ、ぶりっ子キャラになれた理由
ーーエッセイのなかで、乃木坂46に入った当時は「センターになりたい」という思いが強かったと書かれていました。そこから、ぶりっ子キャラやいじられキャラ、そしてキャプテンというポジションを得たのは、どんな気持ちの切り替えがあったのでしょうか?
秋元:センターになりたい気持ちと同じぐらい、グループで居場所を見つけなければいけないという焦りがすごくあって。それは「センターになる、王道アイドルになる」といったこととは両立できないと思いました。それで、一旦センターへの気持ちを置いておいて、見つかったのがそのポジションだったんです。
ーーきっと、本来の秋元さんはいじられキャラでもぶりっ子キャラでもないですよね?
秋元:そうですね。そんななかで高いプライドを持ち続けずにいられたのは、私がいじられキャラやぶりっ子をやったときに、リアクションをしてくれるファンの人たちがいたからなんです。このキャラクターを楽しんでくれる人がいるとわかった瞬間に「あっ、ここはもしかしたらすてきな居場所なのかもしれない」と肯定できたんです。
ーーでも、卒業されてから2年半ほど経ち、テレビでの秋元さんは、いじられキャラやぶりっ子キャラの印象がなくなったなと思いました。
秋元:そう思っていただけたらうれしいです。がんばってキャラクターを出していくとか、いじられにいくとか、そういったことはなくなったような気がします。アイドル時代の流れを消さないようにしつつも、30歳を超えた等身大の自分を混ぜていくことは意識しているので、そういう風に映っているのかもしれません。
ーーもう鼻に生クリームを付けないんですか?
秋元:いえ、申し訳ないんですけどクリームだけは(笑)。見るとつい付けたくなってしまうんです、すみません(笑)。

バラエティではできるだけ普通にいたい
ーー今回のエッセイにこんな一説がありました。
乃木坂を卒業するときに、乃木坂のバラエティ担当なんてキャラづけをしてもらえて、目指していたものとは違うかもしれないけど、自分に一つ色がついたのがすごい嬉しかった。その色を私も大好きになった。
とても素敵だなと思いました。前回のインタビューでも「卒業後はバラエティ番組に出たい」と仰っていましたよね。
秋元:エッセイに書いた通り、バラエティは自分が目指していた世界ではないけど、せっかくファンの皆様が付けてくれた色だから大事にしたい気持ちが強かったんです。前回のインタビューの時は、その色を持ち続けたいと思って話しました。
ーーその言葉の通り、テレビで見ない日はないんじゃないかってぐらい、連日バラエティ番組に出演されていますよね。
秋元:実際にバラエティの世界に入ってみると、関わる方々のプロフェッショナルな部分をたくさん見ることになって「やってみたい」なんて軽く言っちゃいけない程にすごい場所なのだと思いました。さらにバラエティ番組をがんばりたいという気持ちや憧れは、卒業当時よりも強くなっています。
ーーあえて自己分析すると、どんな活躍を期待されてバラエティ番組に呼ばれていると思いますか?
秋元:何を期待されているかというのは明確にわからないのですが、ずっと意識していることがあって。エッセイにも書いたのですが、親友のユリから乃木坂46加入当時に言われた「調子に乗ったら許さない」「芸能人っぽくならないで」という言葉を、毎日思い出すぐらい大切にしています。
私はなにか突然面白いことを言ったり、ネタをやったりするタイプではないので、できるだけ普通でいることを大切にしています。
ーー個人的な感想で恐縮ですが、以前から秋元さんはいい意味で「芸能人っぽさ」があまりないなと思っていたんです。今回のエッセイを見て、親友のユリさんの影響が大きかったのだと納得してしまいました。
秋元:芸能人になったから西麻布に行ってみたいとか、キラキラした世界に憧れがないわけではないんです。でも、大切な友達を失いたくないって気持ちが勝つんですよね。今でも会うたびに「今の私、大丈夫?」と確認したりとか。例えば、ユリもお店を予約するとき「芸能人だから個室で」とか、そういうことを全然しない。そういう関係性に助けられたおかげで「芸能人っぽくない」という印象を抱いていただいているのかもしれないです。

「また秋元真夏だよ」と言われたい。
ーーバラエティタレントとして、今後どのように成長していきたいと考えていますか?
秋元:そうですね…私、子どもの頃からバラエティ番組を観るのが大好きだったんですよ。観るというか、とりあえずテレビがついているだけで落ち着くというか、安心するんです。一人暮らしを始めてからも、帰宅して手を洗う前にテレビのスイッチを押すのが習慣になっているぐらい。
私も、子どもの頃の自分が観ていた「なんか出ているだけで安心する人」になれたらいいなと思っていて。それが今の目標です。
ーー安心感を与えるためにも、先ほど仰っていたように面白いことを言ったりするわけでもなく、自然にいることを大切にされている。
秋元:面白いこと、言えるなら言いたいんですけどね(笑)。あまり思い浮かばないので、おいしいもの食べたら、ナチュラルに「本当においしい!」と言う。視聴者の人も一緒に食べているぐらいの気持ちになってもらえればいいな、という気持ちでやっています。
それで「テレビをつけたら秋元真夏がよく出ているね」とか「また秋元真夏だよ…」とか(笑)、そういうふうに言ってもらえたらうれしいです。
ーー「また秋元真夏だよ」でもいいんですね(笑)。
秋元:うれしいです(笑)。今思ったんですけど、たとえば木村拓哉さんのことを皆さんフルネームで呼びますよね。そういうのにあこがれている部分があるのかもしれないです。「秋元真夏」という存在を広く知ってもらいたい。
ロケしていても、一般の方に「あっ、秋元真夏だ」って言われると、わざと目を合わせてしまったり。自分から手を振ってしまったり(笑)。
ーーそういうのを嫌がる芸能人の方も多いと思いますが、うれしいんですね。
秋元:すごくうれしいです!
ーーバラエティ番組って、出演者の入れ替わりが激しい世界でもありますよね。長く続けるために意識していることはありますか?
秋元:今回のエッセイにも書いたのですが「いま大注目の秋元真夏!」「人気急上昇中!」みたいなことを言われるのは怖いんです。それが急に終わってしまうような気がして。それよりも細々と「ちょこちょこ見かける人」でありたいなと思います。
ーーありがとうございます。最後に、今後やっていきたいお仕事があればぜひ教えてください。
秋元:今やらせていただいているJAのお仕事にもかかわるのですが、自分のキャッチフレーズとして「国民の嫁」というのがあって。その嫁として(笑)、料理も好きですし食べることも好きなので、知識も増やして食関係のお仕事も増やせていければと思います。
ーーああ、なるほど「彼女」でなく「嫁」なんですね。やっぱりドキドキよりも安心感、みたいなものがベースにあるのかなと思いました。
秋元:そうです、彼女じゃなくて嫁です。だから、かっぽう着を着てがんばってます(笑)。

取材・文=金沢俊吾、撮影=干川修