「プリンセスならどうするかな?」魔法の声かけで変わる! 子どもが自分で動き出すマナー絵本【書評】
公開日:2025/9/26

先輩ママから「女の子は3歳ぐらいからプリンセスブームが来るよ」と聞いていた。そして我が家の娘もディズニー映画の影響からか、ついに「プリンセスってかわいいね!」と目を輝かせるようになってきた。来たぞ来たぞ、我が家にもプリンセスブームが! そんなタイミングで出会ったのが、『すてきなおさほうがみにつく プリンセスのおやくそく』(こがねはな/KADOKAWA)。プリンセスへの憧れの気持ちをうまく取り入れながら、「ありがとう」「ごめんなさい」といった言葉の大切さや、身だしなみ、思いやりを自然に伝えてくれる絵本である。

6歳の女の子が誕生日におばあちゃんからもらったペンダントを磨くと光り、雲の上のお城へ。舞踏会に招かれた女の子は、4人のプリンセスから“プリンセスのおやくそく”を学び、“きらきらのプリンセス”になっていく――。
娘のプリンセスブームと同時期にやってきたのが「自分で」という強い意思。こちらが「これやってね」と伝えても「いやだ」と首を振ったり、気分が乗らなければなかなか動いてくれなかったり。親としては「どう促したらいいの?」と悩む日々が増えてきた。やりなさい、と言うだけでは逆効果。そんな時期にぴったりなのが「プリンセスならどうするかな?」という問いかけだ。
絵本を見るなり「あ、プリンセスだ!」と喜ぶ娘。「ようこそ ちいさなプリンセス。」とセリフを読み聞かせると、にっこり笑ってこちらを見てくれた。困ったときは「ちいさなプリンセス」と声を掛けよう、と心に決めた。
最初のプリンセスが教えてくれるのは、自分の気持ちを伝える大切さ。

にっこり笑顔を作る練習では、「あなたの笑顔にはみんなを明るくしてくれる力があるんだよ」と伝えると、ふふっと嬉しそう。
でも、かなしいときや つらいときは、むりに わらわなくてもいいのよ。がまん しすぎないでね。
私は、この言葉に絵本のやさしさを感じた。子どもは思っている以上に気をつかい、親を喜ばせようと頑張ってしまうことがある。無理をさせたくないと願う親の気持ちを、プリンセスが代わりに伝えてくれるのが嬉しい。
各レッスンの後には、舞踏会の準備としてドレスや髪飾り、アクセサリーを選ぶ楽しみが待っている。こがねはなさんが描く可愛らしくも細部まで丁寧なイラストは、大人も胸がときめくほど。娘にも「どのドレスにする?」と尋ねると、んーっと悩んだ末に「これ!」と大きな声で指をさした。

物語の中では、身だしなみの大切さやマナーを守る美しさ、そして「いや」と言える勇気まで学ぶことができる。絵本を閉じれば、子どもだけでなく大人も背筋をシャンと伸ばしたくなる。人へのやさしさと、自分を守る強さを併せ持つプリンセスの姿は、現代を生きる私たちにとって大切な指針なのだと気づかされる。
「プリンセスならどうするかな?」という問いを親子で交わしながら、母娘ともに少しずつ“きらきらのプリンセス”に近づいていけたらいい。