第28回「寿々木君のていねいな生活」/鈴原希実のネガティブな性格がちょっとだけ明るくなる本

文芸・カルチャー

公開日:2025/9/24

日常生活を送っていると、どうしても気持ちが焦ってしまうことってありますよね。

例えば、締め切りがあったりでどうしても今日これを仕上げなければいけないとか。
なんだか気分が落ち着かなくて、ソワソワしてしまったり。

すごく穏やかで、心が凪いでいる。
そんな日ってそんなに多くはないのかなと思うのです。

特に現代はSNSも発達していますし、様々な情報が日々大量に目に入ってくる時代ですから、余計にそのような状態になりやすいのではないかと思います。

私自身、のんびりまったりとした時の流れが好きというのがあり、もうちょっと自分の急いた気持ちを落ち着けたいなと感じる日がよくあるんです。

そんな時に、私は今日ご紹介するような穏やかな気持ちになれる本を読むようにしています。

ということでご紹介するのは『寿々木君のていねいな生活』。

主人公である寿々木薫は高校一年生。

ハーブを育てたり、お菓子を作ったり、ていねいに暮らすのが大好き。

そんなこわもての寿々木が出会ったのは、可愛い顔の柔道男子・春名新。

クラスメイトとなった二人は友達になり、楽しい毎日を送ることに!ギャップの可愛い登場人物達による、ポップなスクールライフというのがあらすじとなっています。

この作品の良さは、とにかく心が癒されるということ。

冒頭でもお話した通り、日々生活していると様々なことを考えたり気持ちが忙しなくなってしまうことがあると思うのです。

そういった時に、この作品はすごく響くのではないかなと思います。

ただ主人公の少年とそのご家族、友人が日々丁寧に生活している姿を映し出しているのです。

それだけ?と言われてしまうとそれだけなのかもしれないのですが、そういった何気ない日常生活を見ていくうちに、自分の中にある「ふわふわとした綿毛みたいな部分」。

すなわち自分だけの感性というか、優しさ穏やかさのようなものが少し伸び伸びとしてくるのを感じるのです。

なんだかとても抽象的な話をしてしまいましたね。

でもきっと作品に少し触れていただくだけで、この作品の纏う空気の柔らかさのようなものを感じていただけるのではないかなと思います。

この作品には主人公の少年の他にも、家庭科部の少し引っ込み思案な女の子や、コスプレの趣味をもつ謎多き少年など様々な登場人物が登場します。

ぜひ、今心が少し駆け足になっているかもという方や、穏やかな気持ちになりたいなという方にこちらの作品をおすすめしたいです。

<第29回に続く>

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