長尾謙杜(なにわ男子)さんが選んだ一冊とは?「一年ごとの文化や流行がひと目でわかるので、つねに近くに置いて眺めています」
公開日:2025/10/14
※本記事は、雑誌『ダ・ヴィンチ』2025年11月号からの転載です。

以前からグループの衣装デザインを手掛けるなど、ファッション好きで知られる長尾さん。その彼が選んだ一冊がカルチャー年鑑の『ALL GONE 2024』。
「この本には一年間で話題になったファッションやカルチャー、アート作品などがびっしりと紹介されているんです。初めて知るアイテムにワクワクしたり、自分が持っているものが紹介されているのを見て、ちょっと優越感に浸ったり(笑)。それに、一年ごとの流行の流れもよくわかるので、数年前から毎年購入し、つねにリビングに置いています」
注目するのは最新のものに限らない。過去の文化を掘り下げていくのも長尾さんの楽しみの一つだそう。
「近年でファッションが一番盛り上がっていたのはたぶん17年頃。後にルイ·ヴィトンのメンズ・アーティスティック・ディレクターを務めるヴァージル·アブローさんの存在が大きく、7〜8年前のファッション界は彼を中心に動いていたと言えます。ちなみに、日本のファッションで僕が今すごく気になっているのは90年代。当時のギャル雑誌とか古本屋でよく買いますよ(笑)。他人の目を気にせず自由におしゃれを楽しんでいて、素敵な時代だなと思います」
長尾さんが山田杏奈さんと共にW主演を務める映画『恋に至る病』が間もなく公開。完成した作品を振り返り、「純粋さを極限まで突き詰めた、刺激的な愛の物語になっているなと感じました」と印象を語る。
「僕が演じる宮嶺望にとって景はきっと初恋に近い相手なんです。最初は気弱そうに見えた彼が景に恋をし、成長していく。反対に、景もまた宮嶺といることで変化し、互いにとって欠かせない存在になっていく。その過程の描かれ方がとても繊細で、僕も大切に演じました」
楽しいはずの学校生活。しかし、相次ぐ同級生たちの不審死で、彼らの周囲は混沌としていく。やがて、宮嶺は事件の中心に景がいるのではと疑いの目を持つのだが……。
「それでも宮嶺は景のことを守ろうとする。彼にとっては“景が好き”という想いさえあれば他に何もいらないんです。もう理屈じゃない。それって究極の愛だなって感じました」
そして、物語の中盤以降は予想もしないサスペンスフルな展開に。
「衝撃的なラストに驚きました。でも、そこで描かれているのは新しくなった宮嶺の姿であり、やはり真っ直ぐな愛で。きっと誰の心にも、深く残るものがあると思います」
取材·文:倉田モトキ 写真:booro
ヘアメイク:yuka(JOUER) スタイリング:壽村太一
ながお·けんと●2002年8月15日生まれ。大阪府出身。18年になにわ男子を結成、21年にCDデビュー。俳優としても活躍し、23年公開の映画『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』で青年期の岸辺露伴を演じて注目を浴びる。主な出演作に映画『室町無頼』、劇場映画初主演となった『おいしくて泣くとき』など。現在、映画『俺ではない炎上』が公開中。

『ALL GONE 2024』
(マイケル·デュポ/La MJC)1万6500円(税込)
一年間の象徴的なストリートカルチャーアイテムやアート作品をまとめたファッションのバイブルとも言える一冊。2006年より毎年発行され、サブカルからポップカルチャーまでワールドワイドに流行を網羅。例年、表紙も注目を集め、2024年版はフランスメゾンAu Départのモノグラムをあしらったデザインに。