タイタン・太田光代社長「私と夫(太田光)は正反対」30年の経営者人生を語る『社長問題! 私のお笑い繁盛記』インタビュー

文芸・カルチャー

公開日:2025/10/24

芸能事務所タイタン社長の太田光代さんの文藝春秋の連載が、『社長問題! 私のお笑い繁盛記』(太田光代/文藝春秋)として書籍化。爆笑問題の独立騒動から、社長として向き合ってきたトラブルなど、経営者としての経験を中心に、芸能界の新たな道を切り開いてきた30年を語る1冊だ。太田さんに、連載のきっかけや、経営や仕事において大切にしてきたことを聞いた。

経営知識ゼロで会社を立ち上げてすぐに「社長が天職」と確信

――文藝春秋で、社長としての人生や経営について語る連載を始めたきっかけを教えてください。

太田光代さん(以下、太田) たまたま、毎日新聞のエリート記者だった石戸諭さんという面白い方と知り合って、文藝春秋の編集の山下(覚)さんからも、石戸さんのインタビューで連載をやりませんか、というお話をいただいたんです。掲載先が文藝春秋というのもいいと思いました。週刊文春と文藝春秋の違いを伝えられたら面白いかなって、私なりに思ったんですよね。

advertisement

 最初は連載は6回と決めていたんですけど、最終回あたりで河本(ウエストランド)の事件が起きて。河本のことは書かないといけないと、連載を11回に延ばして、それが今回、本にまとまりました。かなり加筆をしてボリュームも増えましたけど、読みやすくなっていると思いますね。

――爆笑問題が独立して太田社長がマネジメントをすることになって、早い段階で「自分は社長業に向いてる」と気付いたそうですが、その理由は何だったのでしょうか。

太田 もともと私はお嫁さんになろうと思っていたから、働くつもりはなかったんですね。就職もしたことがないし、会社の仕組みもわからないままタレントになりましたから、有限会社と株式会社の違いすら知らなくて。会社を作るにあたって、会社作りや経営のノウハウ本を一通り読んだんですけど、芸能界って仕入れや決まった値段の付け方があるわけじゃないし、どうやって経営したらいいのかわからない。でも、いざ会社を立ち上げたら、爆笑問題とこれをかけたら面白いんじゃないかとか、アイディアがたくさん浮かんできたんです。それで、会社を作って1週間で、「天職かもしれない」って太田に言ったら、笑われましたね。不安もありましたけど、本当に楽しかったんです。

トラブル対応で大事にしたのは誠実に一生懸命伝えること

――大きな決断をする局面や、トラブルに関する判断を迫られる場面がたくさんあったと思います。経営者としても、ご自身の人生においても、決断をする上で大切にしてきたことは何ですか?

太田 やっぱり誠実さと、それから、一生懸命伝えることですね。もともとタレントとして表現する側だったから、伝えることは大事だなとずっと思っていて。トラブルでもそうじゃなくても、とにかく皆さんに伝えてきました。電話がかかってこなかったらこちらから電話するくらいのスタンスでやってきましたね。

 私はもともと、聞かれたら話すタイプ。不妊治療のことも、当時はあまり話している人はいなかったから話題になりましたけど、聞かれたから話しただけなんですよね。不妊治療に関しては、いろいろな活動もしてきて、まだやりにくいことはあるけれど、少しはその分野に貢献できたかなと思っています。

――誠実に説明をしていくというのは、業界で大きな存在になると忘れてしまうこともあるのかなと思うのですが、太田社長はなぜ、そのスタンスのままでいられるのでしょうか。

太田 性格でしょうね(笑)。私、言わないとダメで、間違えられるのがイヤだから、一生懸命話すんだと思います。話して伝わらないこともあるけど、話さないと伝わらないって考えてるんですよね、きっと。だから、太田(光)みたいに、何も言わなくてもわかるでしょっていう人は全然、意味がわからないんですよ(笑)。彼はアーティストらしく、言葉にすると嘘っぽくなるっていう感覚もあるんでしょうね。でも、こっちは言葉にすることで正しく伝えようとするタイプだから、性格がまったく違います(笑)。

――ご主人が言葉にしてくれないことにモヤモヤすることもありますか?

太田 いっぱいありました。愛情表現がまったくない人ですから。本当に、私のことなんだと思ってんだろう?って思います(笑)。彼は私がいないと生きていけない人ですから、「私はあなたが生きていくために存在してるの?」って思っちゃいますよね。「ありがとう」とかもまったく言わないんですよ。

――ご主人はシャイだから、ということではないんですか?

太田 違うんですよ! いろんな方が「太田さんはシャイだから」って言うんですけど、そう思わせるのがあいつの手だぞ!って(笑)。だって、シャイな人があんなに舞台立ちます?

――確かに(笑)。

太田 シャイじゃありませんよ!

あわせて読みたい