『大ピンチずかん』作者・鈴木のりたけ「絵がボケて、読む人がツッコむ」トークイベント開催。新作『きれてる』にちなみ超ロングロールケーキが登場‼【イベントレポート】
更新日:2025/12/3
“ここおかしくない?”と想像する楽しさ

シリーズ第2作として刊行された『きれてる』。鈴木さんは、「○○てる」という動詞のタイトルにしようと、「あふれてる」「まがってる」など、スケッチを描きながらさまざまなアイデアを検討したそうです。カステラを題材にして「きれてる」にする案もありましたが、ロールケーキのほうが絵として面白く、変更になったとか。子どもたちがさまざまな「○○てる」の案を出し合う場面もありました。
「?と!のえほん」シリーズの原点になったという「えー!?」という作品のラフも公開。2枚の絵の組み合わせで、1枚目にちょっと気になる絵があり、2枚目で意外な場面が展開するという仕掛けです。その展開に、子どもたちは「え〜っ!?」と驚いたり、「そうなるんかい!」とツッコんだりと大盛り上がり。
「1枚描いて、そのあとにどうなるのか、自分なりの回答を出します。言ってみれば、絵がボケで、読む人がツッコミ。作家が描いたものに読む人が入り込み、“ここおかしくない?”と想像して面白がれるのが絵本の良さ。コミュニケーションツールになるような絵本を作りたい」と、制作のこだわりについて語りました。
鈴木さんが考える面白い絵本とは、「読者が面白がれること」だと言います。「『大ピンチずかん』なら、読みながら『ぼくは経験あるよ』とか『まだ経験ないな』とか、読んでいる人が自分に重ねられるようなフックをちりばめます。お話が面白いだけじゃ、面白くならない。作家の意図と関係なく、読者が絵本に入り込んで楽しみ尽くしてもらえるのが、面白い絵本だと思っています」。
のりたけ流絵本を100倍楽しむ方法

「絵本を100倍楽しむ方法を教えて」という質問では、楽しみ方の例として、あるゲームが紹介されました。内容は「他の人が描いた絵に名前をつける」というもの。ひとりで考えるとすぐに話が完結してしまうので、誰かと一緒に遊んで考えることが大切だと言い、自宅では3人のお子さんと一緒にこうしたゲームをしているそうです。
「何でも面白がると、絵本の楽しみが広がる。読む人がどれだけ絵本を自分事にできるか。絵本を読みながら面白い空気を作れるように、いつもこんなふうに訓練をしています」と語りました。
