『大ピンチずかん』作者・鈴木のりたけ「絵がボケて、読む人がツッコむ」トークイベント開催。新作『きれてる』にちなみ超ロングロールケーキが登場‼【イベントレポート】

文芸・カルチャー

更新日:2025/12/3

鈴木のりたけさん、おすすめの絵本は?

 『大ピンチずかん』作者・鈴木のりたけ「絵がボケて、読む人がツッコむ」トークイベント開催。新作『きれてる』にちなみ超ロングロールケーキが登場‼【イベントレポート】

 おすすめの絵本を挙げるコーナーでは、鈴木さんが自宅で読んでいる絵本を紹介。1冊目に挙がったのは『かさぶたくん』(やぎゅうげんいちろう/福音館書店)です。「『?』と『!』で進む典型的な絵本。この2つがどこにあるのか、考えながら読むと面白いですよ。読み込みすぎて、うちの本にはだいぶ落書きがされています」。

 1966年に刊行された、加古里子さん作のベストセラー『かわ』(福音館書店)もおすすめだとか。雪解け水や雨から生まれた小さな流れは、谷川となり、ダムに貯められて発電所で電気を起こしたり、岩を砕いて小さな石ころにしたり…。「本を閉じたあとに『かわってすごいな』と思える一冊」。

『かっぱ印 川あそびブック』(阿部夏丸/ブロンズ新社)という絵本は、読み聞かせでお子さんたちに喜ばれた一冊だそう。「絵本というより図鑑。『今日は、この本のなかからウナギとモズクガニを読んで』とリクエストがあり、ウナギを読むならナマズも読んで…など、いつも交渉から読み聞かせが始まっていました」。

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 他にも、松岡達英さんの絵本などを、どんなふうに読んだら楽しめるのかを含めて紹介してくれました。

「たとえ読んでみてつまらなかったとしても、『つまんない!』と、そのこと自体を面白がることだってできる。どうやったら面白くなるか考えてみて」と、どんな絵本でもかならず面白がれるポイントがあることを教えてくれました。

絵本を通じて読者とリアルに対話

 トークショーのあとは、『きれてる』のモチーフであるロールケーキの制作に鈴木さんが挑戦。「堂島ロール」を生み出したメーカー、モンシェールさんのパティシエによる指導のもと、通常の1.5倍もあるというスポンジに大量の生クリームを伸ばし、巻いていきます。できあがると、会場から大きな拍手が! 『きれてる』にちなんでカットにもチャレンジ。子どもの顔ほどもある大きなロールケーキを、来場者に振る舞いました。

 『大ピンチずかん』作者・鈴木のりたけ「絵がボケて、読む人がツッコむ」トークイベント開催。新作『きれてる』にちなみ超ロングロールケーキが登場‼【イベントレポート】

 大注目の絵本作家である鈴木のりたけさんのトークに、ロールケーキのカットの実演と、盛りだくさんとなったイベント。どの場面でも、子どもたちとの対話を楽しむ鈴木さんの姿がありました。一方通行ではなく、作者と読者、そして読む人と聞く人の間に会話を生み出す鈴木さんの絵本。それは「絵本」という名の体験でもあり、子どもたちにとって、親子にとって、何事にも代えがたい時間となっています。今後も「?と!のえほん」シリーズにますます注目が集まりそうです。

取材・文=吉田あき 撮影=島本絵梨佳

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