せまい子宮の中にいるように感じるから安心する? ハグの不思議な魅力を発見できる絵本『ハグのうた』【インタビュー】

文芸・カルチャー

公開日:2025/12/11

 うれしいときのハグ、かなしいときのハグ、だいすきのハグ、ありがとうのハグ、日常の中にはさまざまなハグがあります。言葉をかわさなくても、ふれるだけで気持ちが通じたり、いろんな思いがわきあがってきたり。ハグには不思議な力があるのかもしれません。新刊『ハグのうた』について、おーなり由子さんにお聞きしました。

 ハグをテーマにした絵本を創ろうと思ったのには、なにかきっかけがあったのでしょうか。

 もともと自分の中に、人が「ふれあう」ことについて、興味ある種がいっぱいあったんだと思います。

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 自分以外の誰かと、からだがふれあうとき、ふわっと「心」がうごく。これはなんだろう?って。どきどきしたり、安心したり、不思議でおもしろいですよね。

 そういう、ふだん感じていることが、書きはじめると色々出てきて、つながっていった感じです。

 ハグは、子どものいる生活では身近なことですよね。

 とくに、赤ちゃんを育てているときに、すごく思いました。言葉が通じない赤ちゃんとは、さわったり、抱っこしたりすることが会話なんです。

 そういえば、ぐずっているときに、「おひなまき」っていう、やわらかいタオルや布で、ぎゅーっときつく体を巻いて、赤ちゃんを安心させる方法があるんですけど、ほんとにスッと泣き止むんです。びっくりしたんですけど、せまい子宮の中にいるようで安心するみたいです。

 そうか、だっこって子宮だったんだ! だから、人間はぎゅうっと抱きしめられると安心するのか、って、そのことは書きたい、と思いました。

 そういう、日々のいろいろな体験や気持ちが、この絵本のもとになっていたんですね。 絵のイメージはすぐに浮かんできましたか?

 じつは、この絵本、はじめは、わたしは文だけで、夫(絵本作家のはたこうしろうさん)に絵を描いてもらおうと思っていたんです。

 もともと、夫がイベントのときに、ピアノの演奏と一緒にハグをテーマにした絵を描く、というのをやってて。それにわたしが文をつけた、ライブ絵本のようなものがありました。冒頭だけだったので、それをふくらまして文とコンテを書くつもりだったんです。

 だけど、書いてる途中から、おなかの中とか赤ちゃんのイメージが広がったので、わたしが絵も描くことにしました。その分、夫は本文のデザインや装丁をたくさん手伝ってくれたので、ほんとうにありがたかったです(笑)。

本記事は「絵本ナビ」から転載しております

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