元乃木坂46・佐々木琴子が答える『閃光のハサウェイ』20の質問。「あのブライトさんのお子さんがとんでもないことをするお話です」【インタビュー】

文芸・カルチャー

公開日:2026/1/30

【特別インタビュー 『閃光のハサウェイ』についての20の質問】

Q1. 本日はありがとうございます。佐々木さんはアニメ好きとして知られていますが、正直なところ、今回お話をいただく前の「ガンダム」という作品に対するイメージはどのようなものでしたか?

 子どもの頃は登場するキャラクターがかわいいとか戦闘シーンがかっこよくてすごいとか、わかりやすい部分で楽しんでいました。大人になってから改めてみると、また違うおもしろさがあって、幅広い年代の方が楽しめるシリーズだなと思います。

 それと、登場人物の会話の絶妙さや、戦闘シーンのかっこよさに私は魅力を感じているので、映像でこそ楽しめる作品だと思っていました。

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Q2. 『閃光のハサウェイ』は、ガンダムシリーズの中でも特に物語性が高く評価されています。実際に小説を読み始める前、期待や不安はありましたか?

 小説を読み始める前は不安が大きかったですね。

 内容については「ブライトの息子がとんでもないことをする」という噂だけを耳にしていたので、あのブライトさんはどんなお子さんがいるんだろうという好奇心が強かったです。実際に読み終えてみたら、本当にとんでもないお子さんでした……。

Q3. 上・中・下巻(もしくは新装版)と、なかなかのボリュームですが、読み終えた瞬間の率直な感想を教えていただけますか?

 とても複雑な気持ちになりました。

 このあとブライトさんはどうなってしまうんだろうとか、ケネスももしかしたら、とか。未来を想像できる分、未来を失った悲しさがすごかったですね。

Q4. もし周りのご友人や乃木坂46の元メンバーに「『閃光のハサウェイ』ってどんな話?」と聞かれたら、佐々木さんならどう説明しますか?

「あのブライトさんのお子さんがとんでもないことをするお話です」と説明すると思います。

Q5. 主人公のハサウェイ・ノア。彼の第一印象と、物語を読み進める中での印象の変化はありましたか?

 最初はすごく大人びた、しっかりした人間だなと思いました。でも読み進めていく中で、若さというか等身大の幼さが見えて、より好きになりました。

 私は14歳頃から働いていて、まわりにもそんな感じの子が多いのですが、そんな私たちのような、年齢の割に長く働いてきた20代という感じがしましたね。私にはハサウェイのようなカリスマ性や行動力はないですが、親近感を感じました。

Q6. ハサウェイは地球連邦政府に反旗を翻すテロリストのリーダーですが、彼の行動や思想に共感できる部分はありましたか? それとも、理解しがたいと感じましたか?

 思想には共感できましたが、行動には共感できませんでした。

 安全なポジションに居続けることができる立場の人間なのに、危ない目にあうとわかっていても行動にうつせる彼はとても強い人間だと思います。

Q7. 謎の美少女ギギ・アンダルシアは、物語の鍵を握る非常に印象的なキャラクターです。佐々木さんから見て、彼女はどんな女性に映りましたか?

 男に利用されているようで利用しているタイプの女性キャラクターが好きなので、とても好みの方でした。ずる賢いというか、変わりゆく環境の中で柔軟に行動できる部分が好きです。時折見せる女性らしさも好きでした。どこまで計算なのかわからないミステリアスさも素敵です。

Q8. もしご自身がハサウェイの立場だったら、ギギのような女性を信用できますか?あるいは、惹かれてしまうと思いますか?

 物語の中では好きなタイプなのですが、実際に自分のまわりにいたら苦手なタイプなので、きっと信用せずすぐに突き放していたと思います。

 でも、ハサウェイの立場だと状況が状況だからすがりたくなるのかもしれません。

Q9. もう一人の重要人物、連邦軍大佐のケネス・スレッグ。彼はハサウェイのライバル的存在ですが、彼の「大人」な部分や人間的な魅力についてどう感じましたか?

 最後まで大人で、割り切っていて尊敬しました。自分より他人の気持ちや立場を考えてやりたくないことも引き受けたりと、とても人間味のある強い人だなと思いました。

Q10. この物語は、ハサウェイ、ギギ、ケネスの奇妙な三角関係も見どころです。この3人の関係性について、特に心に残ったやり取りやセリフはありましたか?

 3人で食事をするシーンは特に印象に残っています。ハサウェイは気が気じゃなくて、ギギは楽しんでいる感じがして、ケネスは信用して好意的に接していて。バラバラな3人の心情がおもしろかったです。

Q11. 主人公たち以外で、気になったり、お気に入りのキャラクターがいれば教えてください。

 ケリアです。短い登場時間のなかでもとても印象に残りました。

 それと、質問の意図と逸れるかもしれませんがクワック・サルヴァーもとても気になります。

Q12. 作中では、腐敗した政府高官が地球の自然を独占している状況が描かれます。こうした社会の矛盾や格差といったテーマは、現代を生きる私たちにとっても他人事ではないように感じますが、読んでいて何か感じたことはありましたか?

 どの世界にも不満や不平等があって、不満を持つ側の人間は抱え込んで諦めるか、危険を顧みず行動にうつすかしかないのかと悲しくなりました。

 そして、一握りの勇気ある人間が行動にうつしてもうまくいかないことが大半という現実を突きつけられ、さらに悲しくなりました。

Q13. 「人の革新」や「ニュータイプ」といった概念が背景にありますが、難しいことは抜きにして、ハサウェイやギギが持つ「不思議な感性」は、佐々木さんの目にはどう映りましたか?

 なんとなくこう思った、とかもその人が今まで生きてきたなかでの統計で判断していると思うので、結構理にかなっていると個人的には思います。

 2人の「不思議な感性」までいくと、格が違いますが……。

Q14. 小説ならではの魅力として、戦闘シーンの描写や、キャラクターの心理描写が細かく描かれています。特に「情景が目に浮かぶようだった」と感じたシーンや、「このセリフは胸に刺さった」という箇所があれば教えてください。

 ハサウェイがギギを手放すまでにいたるシーンは、感情的になりつつも内側でかなりの葛藤があったんだなと思いました。その後のハサウェイの感情や結果を含めると、とても大きな決断だったと思います。

Q15. 物語の結末は、非常に衝撃的でビターなものとして知られています。ネタバレにならない範囲で、この結末をどう受け止めましたか?

 世の中なにが正しいとかはないけど、悪いものはハッキリしていて、その悪いものがどうにもならなかった、というのはやるせない気持ちでいっぱいです。

Q16. 小説の文章から、モビルスーツが戦うシーンを想像するのはいかがでしたか?「カッコいい」と感じた描写や、逆に「兵器としての怖さ」を感じた部分はありましたか?

 文章なのにスピード感があって、戦うシーンは自然と読むペースが上がりました。とはいえ自分のペースで読めるので、アニメでみる時より今なにがおこっているのか理解できて、とても楽しめました。モビルスーツももちろんかっこよかったのですが、人間の判断力にもかっこよさを感じました。

Q17. 今回、原作小説を読んだことで、ご自身の「ガンダム」に対するイメージは変わりましたか?

 やはり歴史のある作品だなと思いました。

 小説と映画どちらもみたうえで変わったイメージは、ガンダムが作ってきた基盤は大切にしつつ、現代の方も楽しめるようアップデートし続けているんだなと感じました。

Q18. 佐々木さんのファンの方々をはじめ、これまでガンダムに触れてこなかった方々へ。「こんな人にこそ『閃光のハサウェイ』を読んでほしい!」というメッセージをお願いします。

 本を読むのが好きな方に是非読んでほしいです。「閃光のハサウェイ」はガンダム作品ではあるのですが、小説としておもしろいと私は感じました。なので、本好きの方に読んでみてほしいなと。それをきっかけにガンダムにも興味を持ってもらえたら嬉しいです。

Q19. 原作を読んだ今、公開が予定されている映画「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケーの魔女」に期待することは何ですか?

 戦闘シーンの派手さや登場人物の表情だったり、映像ならではの魅力が増す部分が楽しみです。

 ギギとハサウェイやケネスのやり取りが好きなので、会話の雰囲気も楽しみにしています。

Q20. 最後に、これから小説『閃光のハサウェイ』を手に取る読者へ、メッセージをお願いします!

 ガンダムの小説は難しそうと思っていたのですが、実際に読んでみると予想よりかなり読みやすく、物語もおもしろかったです。なので、みなさんも身構えずにご自身のペースで楽しんでいただけたらと思います!

文=佐々木琴子