ウエストランド・井口浩之「悪口を言ってワクワクしたい」単著『悪口を悪く言うな!』発売インタビュー
公開日:2026/1/10

このほど初の単著『悪口を悪く言うな!』(Gakken)を出版したウエストランドの井口浩之さん。日常の違和感や気付きを面白おかしく綴った一冊は、漫才さながらの井口さんのグチが冴える。刊行にあたってお話をうかがった。
言っているのは毒舌ではなく「世直し」
――初単著ですが、実際に出来上がっていかがですか?
僕がいろんなところで喋ってきたのをまとめた一冊で、特別これのために話をしたというわけでもなくて。僕の稼働としては杉並区の公園で写真撮っただけなんで、「急にできたな」って感じですね。多分この世の本の中で一番メッセージ性のない本じゃないですか。最近はコスパとかタイパとか「これってやる意味あんすか?」とか言われますけど、意味ないことも必要なんで「この本、本当に意味がなかった」と思ってもらえばいいかと。
――この本で井口さんがグチることって「それおかしくない?」という問題提起みたいで、ある意味常識人だと思いました。
「世直し」ですからね。実は僕自身は毒舌みたいなこと一回も言ったつもりはなくて、M-1で優勝したら毒舌漫才みたいに言われて「そうなんだっ!」って。僕としては正しいことを言ってるというか、「これ変じゃない? これおかしいだろ」っていうのをずっと言ってるつもりなんで、誰かを傷つけたいとか、誰かを貶めたいみたいな気持ちもありません。
――たとえば「使いにくい」という消費者目線のグチもあれば、ご自身の居酒屋バイト経験が活きるお店側からのグチもあっていろいろです。
居酒屋バイトのとき「お客さんには必ず従わなきゃいけない」みたいなのがずっと変だと思ってて。何かあって「あいつら(注:お客のこと)おかしいだろう」ってバイト仲間と盛り上がることもあったんですけど、真面目な人とかバイトリーダーには怒られました。でも現場は僕がいることですごく回るんですよ。「一気!一気!」とかも行き過ぎると「それはダメです」って止めたり無理なことにははっきりNOと言ったりしてたんでバイト仲間には感謝されました。現場に出ないエリアマネージャーから「なんだあいつは?」って言われてクビになったのは最悪でしたけど。でもそういう体験をテレビで話したときはめちゃくちゃ共感されました。
――ただの年寄りのグチにならないというか、若い世代に共感してもらう難しさはある?
僕は若い人にどう思われても別にいい。なんか逆に最近世の中が若い人をあがめすぎてるのが気になりますよね。若い人が「こういうのはやりません。意味ないんで」とか言ったりすると、「新しい感覚だなぁ」とか言ったりする人いますけど、「いや、ただのイヤな奴だろ、そいつ」っていう。そいつが二十歳だろうが四十歳だろうが「イヤな奴」なわけで、そこに惑わされないでほしいって思います。

ツッコミ気質に気がついたのは小学生の時
――「これ、おかしい」をはっきり言うのって昔からですか?
小学校の時くらいからそうですね。高校の時、身体測定で「なんで義務教育を終えたのに今さら身長測るの? それでちっちゃくていじめられたらどうすんだ」って身長測定を拒否したりしてました。
――そのまま育ったのは、周りが受け入れてくれたからですかね。
いやあ、どうなんすかね。中学校の寄せ書きには三人の先生から「なんかグチグチいろんなこと言ってないで」みたいに書かれてましたけど。中3の時に机がすごいガタついてたんで先生に言ったら「その机はもう捨てて、(ちゃんとしたものに)変える」って言われたのにそのままにされたんで、じゃあもういっそ、と友だちと競馬のシールとかいろいろ机に貼ってたんですね。卒業の時に剥がせって言われて「あの時捨てるって言ってたんだから汚していいはずだ」って。ムカついたでしょうね、先生。
――先生でもなんでも、違うと思ったら言ったわけですね。
ただ僕は本当に怒られるのが一番嫌いなんで、怒られないようにうまく…。実はその机には先生の子どもの写真とかもちょっと貼ったりして、バランスをとってたんで、そこは若干汚い(笑)。怒られないような根回しというか、なんでもかんでも反発したら怒られるからわきまえつつ…。
――そういう自分の性質を自覚したのって何歳ぐらいの時ですか?
小学校の時のサッカーチームでふざけてる友だちをめっちゃ注意してたら、お笑いに詳しいチームメイトから「お前すごいツッコむなー」みたいに言われて、その時「ツッコみ?」みたいな気づきがありました。高校の時もすごくツッコむ奴として有名でしたね。
――その性質が、そのまま芸風に?
芸人始めた頃は「漫才とはこうだ」みたいに凝り固まってどうにもならなかったんです。「ちょっと違うことやってみるか」ってなったときに、結局自分が持ってるものしか出せないんでこうなったという。地元の友だちにしたら昔のままだし、「やっぱり芸人になったか」って思ってると思います。
