みそ汁の常識がひっくり返った。レバー、納豆、豆乳まで具材になる『薬膳みそ汁』を読み、実際に作って感じたこと【書評】

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PR 公開日:2026/2/13

納豆×薬味の清涼感。みょうが納豆みそ汁のバランスに驚く

 次に作ったのは「みょうが納豆みそ汁」。ひきわり納豆1パックと、たっぷりのみょうが、細ねぎを使うみそ汁だ。

 その味はというと、納豆のまろやかさがベースにありながら、みょうがとねぎの薬味が加わることで、清涼感とシャキッとした食感が一気に立ち上がる。納豆の存在感はしっかりあるのに主張しすぎず、全体として非常にバランスの取れた味わいだった。

 本書で納豆は「温中食材(お腹の中から温める食材)」として紹介されており、みょうがやねぎも巡りの悪さを改善し、体を温める助けになる食材だそうだ。

 栄養面で見ても、みそ汁としてたんぱく質をしっかり取れるので、ご飯とこれだけでも十分な満足感があった。薬味たっぷりの納豆がみそ汁になったようなレシピは、今後も食べる機会が多くなりそうだ。

丸ごと玉ねぎ×ベーコン。洋風みそ汁の満足感

 最後は、丸ごと玉ねぎのみそ汁。

 にんにくやベーコン、パセリなどが使われており、みそ汁でありながらどこか洋風の風味があるのが特徴だ。玉ねぎは切り込みを入れて10分ほど煮込むことで、しっかり甘みが引き出されており、丸ごと1個食べられ、一品料理としての満足度も高い一杯だった。

 本書は玉ねぎについて、体表の寒さを散らし、汗として発散させる効能を紹介。さらににんにくにも、お腹の中から全身を温めるとの解説があったが、確かに食べたあとは体の中心からじんわり温まる感覚があった。

「薬膳」と聞いて身構えなくていい理由

 このように、本書のレシピは見るからに身体に良さそうな雰囲気があり、実際に食べても「身体が労られている」という感覚を味わえた。

 なお本書の冒頭では、「生薬を煎じて飲むように、薬膳で最も重要なのは湯(たん)=スープ。日本人にとっての湯は、みそ汁である」という親しみやすい考え方が示されている。江戸時代の文献では、みそ汁はその健康効果の高さから「医者殺し」と呼ばれていた……というエピソードも紹介されていた。

 つまり本書では、みそ汁が「日々の食事で体を整える存在」として提示されているのだ。

「薬膳」と聞くと、特別な食材や難しい理論、日常からは少し遠いものを想像する人も多いかもしれないが、本書は中国伝統医学(中医学)の視点をベースにしつつも、レシピの食材はスーパーで手に入るものばかり。五臓(心・肝・脾・肺・腎)や体のバランスといった薬膳の基礎も、レシピを理解するための最低限の説明にとどめられている。

 またレシピは「温める」「潤わせる」「流す」など、小さな不調に寄り添う7つの効能別に整理されており、みそやだしにも厳しい指定はない。

 身近な「身体に良い食材」を使いながら、驚くようなレシピを提示してくれて、その背景も教えてくれる。昔から体が知っていた感覚を、今の暮らしに合う形で思い出させてくれる1冊だ。

調理・文・撮影=古澤誠一郎

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