赤ちゃんにも「読み聞かせ」ってした方がいいの? 【0歳と絵本】
公開日:2023/5/12

最初の絵本離れは0歳の時!?
慣れない赤ちゃんとの生活がスタート! あれもやってあげたい、これもやってあげたい。でも、やらなきゃいけないこともたくさんある。
「あ、そうそう。絵本の読み聞かせもしてあげなきゃ。」
めまぐるしく過ぎていく時間の中、やっと思い出して絵本を棚からひっぱりだしてくる。はじめての読み聞かせ、ドキドキしながらも何とか最後まで声に出して読んでみる。さあ、反応はどうかな、 喜んでくれるかな。
「……あれ?」
なんだか反応が薄い。ぼーっとしているだけのようにも見えるし、表情だってあんまり変わらない。やっぱり赤ちゃんへの読み聞かせなんて、意味ないのかな……。
赤ちゃんの立場になってみると…
こんな風に、最初につまづいてしまうのは大人の方だったりします。無理もありませんよね。なにしろ赤ちゃんは感想を言ってくれるわけでもないですし、大きな反応だってまだまだなのです。
では、赤ちゃんの立場になって考えてみるとどうでしょう。まだまだ視力も弱く、感覚だって未成熟。ぼんやりと目の前に広がる世界を見つめ、どこから聞こえてくる不思議な音を聞き、よく知った声がしたと思えば、温かい手で抱き上げてくれる。とんとんと心地よいリズムに浸っていると、見覚えのある顔がこちらを見て笑っている。そんな時、目の前に突然現れるのが、絵本。きょとんとしちゃいますよね。
でも、赤ちゃんというのは、私たちが思っている以上に刺激を欲しているのです。目の前にある色や形の変化に驚き、音をしっかりと聞き分け、手や足や口を使って感触を確かめる。どの年齢よりも感覚的に絵本を味わっている、とも言えるのではないでしょうか。つまり、反応がわかりにくくても、赤ちゃんは案外しっかりと絵本を楽しんでいるのです。

赤ちゃんに読み聞かせをする5つのメリット
赤ちゃんは絵本を楽しんでいる。そう思っていても、大変なのは読み聞かせを「続けること」ですよね。いつの間にか数か月経っていた、なんてこともあるでしょう。そんな時は、明快に「赤ちゃんに読み聞かせをするメリット」を考えてみるのも有効な方法です。たとえばこんな5つのメリットを挙げてみます。
1.赤ちゃんとのコミュニケーションをスムーズにしてくれる
赤ちゃんにどうやって話しかけたらいいかわからない。喜んでもらいたいけど、何をしたらいいのかわからない。そんなとまどいがある時に大活躍してくれるのが、絵本。ただ声に出して読んでいるだけでも、赤ちゃんは声をかけられていると感じ、喜んでくれるはずです。
2.心の安定
大好きなお父さんやお母さんの声を聞いているだけで、赤ちゃんの心は落ち着きます。なにしろ赤ちゃんは、お腹の中にいる頃からしっかりと声を聴いていますからね。顔も見せてあげるのも、同じ効果があります。歌ってあげたり、スキンシップをしながら、なんていう合わせ技にも挑戦してみてくださいね。
3.刺激によって感覚的な成長発達を促す
変化する色や形を目で追う、ページをめくるたびに驚き心が動かされる、言葉のリズムの楽しさを知る、手で触ってみる、読んでくれている人の表情を見る。世界に生まれたばかりの赤ちゃんにとって、これらの全ての事が脳への刺激になり、成長発達を促してくれます。
4.成長をしっかりと観察
毎日すごいスピードで成長していく赤ちゃん。なんとなく見ていると気がつかないこともあるでしょう。でも絵本を読み聞かせていれば、赤ちゃんの顔の変化や、その反応の違いをよく観察しますよね。この頃の赤ちゃんの可愛さをしっかりと記憶に刻みつけておける……親にしてみれば、これ以上のメリットはありませんよね。
5.その後に続く絵本生活がスムーズに
「あ、笑った!」
初めて絵本を見ながら笑った時の喜びは、きっと格別のもの。その体験があれば、きっとその後の我が子との絵本生活はスムーズに始められるはずです。1歳、2歳、3歳……その先もずっと。その時々の我わが子の表情を見逃さないように、読み聞かせの時間を楽しんでくださいね。

赤ちゃんの好きな絵本
赤ちゃんに絵本を読むときには、「どんな感覚を楽しんでもらうか」と考えてみると絵本を選びやすくなるかもしれません。テーマ別に絵本をピックアップしてみます。こちらを参考にしながら、更に自分の感覚にしっくりくるものを探してみてくださいね。
感覚を刺激してくれる絵本
じゃあじゃあびりびり
作:まつい のりこ
いっしょにあそぼ しましまぐるぐる
絵:かしわら あきお
もこ もこもこ
作:谷川 俊太郎絵:元永 定正
がたん ごとん がたん ごとん
作:安西 水丸
もいもい (あかちゃん学絵本) 0歳、1歳、2歳児向け 絵本
絵:市原 淳監修:開一夫
ごぶごぶ ごぼごぼ
作:駒形 克己
なーんだ なんだ
作:カズコ・G・ストーン
お?かお!
作:ひらぎ みつえ
声かけにもなる赤ちゃん絵本
いないいないばあ
文:松谷 みよ子絵:瀬川 康男
だるまさんが
作:かがくい ひろし
くっついた
作:三浦 太郎
ぴょーん
作:まつおか たつひで
手に取りたくなる絵本(ボードブック)
ボードブック はらぺこあおむし
作:エリック・カール訳:もり ひさし
ころりん・ぱ!
作:ひらぎ みつえ
あかちゃん
作:tupera tupera
どうぶついろいろかくれんぼ
作:いしかわ こうじ
好奇心を刺激してくれるのは?
くだもの
作:平山 和子
はなび ドーン
作:カズコ・G・ストーン
でんしゃ
作・絵:バイロン・バートン訳:こじま まもる
どうぶつのおやこ
作・絵:やぶうち まさゆき
おすすめガイドブック
父母&保育園の先生おすすめの赤ちゃん絵本200冊
監修:絵本ナビ
みどころ
本書の監修は「子どもに絵本を選ぶための情報を集めた参加型絵本紹介サイト」をコンセプトに掲げる、絵本ナビ。赤ちゃんが夢中になる絵本は、どんな絵本なのでしょうか? その絵本は、どうして赤ちゃんがよろこぶのでしょうか? 赤ちゃんとふれあってきた絵本ナビユーザーと保育園の先生にアンケートを実施。およそ200名の声の中から「本当に良い」赤ちゃん絵本を厳選して紹介します。
はじめての絵本 赤ちゃんから大人まで
著:磯崎 園子
みどころ
「子どもはどんなふうに絵本を読んでいるんだろう?」
絵本ナビ編集長・磯崎園子が、その年齢にしか味わえない「絵本の楽しみ方」を紹介。赤ちゃんから大人まで、絵本と年齢の関係についてわかりやすく解き明かします。
いかがでしたでしょうか。「読み聞かせをしなきゃ!」と自分を追い込んだりはせず、絵本を「育児の心強い味方だから利用してみる」くらいの気持ちで試してみてくださいね。少しずつ反応も見えてくると思いますよ。
磯崎 園子(いそざき そのこ)
絵本情報サイト「絵本ナビ」編集長。著書に『はじめての絵本 赤ちゃんから大人まで』(ほるぷ出版)、『ママの心に寄りそう絵本たち』(自由国民社)、監修に『父母&保育園の先生おすすめの赤ちゃん絵本200冊』『父母&保育園の先生おすすめのシリーズ絵本200冊』(玄光社)がある。