<インタビュー>『おかあさんがおかあさんになった日』作者・長野ヒデ子さん (童心社)
公開日:2023/6/2

絵本『おかあさんがおかあさんになった日』は1993年の刊行から今年で30周年をむかえます。
著者の長野ヒデ子さんにお話を伺いました。
聞き手は、長野ヒデ子さんのご長女・長野麻子さん(東京成徳大学子ども学部教授)です。
おかあさんがおかあさんになった日
作・絵:長野 ヒデ子
出版社からの内容紹介
おかあさんは期待と不安の中、はじめて赤ちゃんを生んだ日、おかあさんに。
第41回サンケイ児童出版文化賞
第4回けんぶち絵本の里びばからす賞
――『おかあさんがおかあさんになった日』は、「あなたが生まれた日のこと……」から始まり「あなた」がどのように生まれてきたのか入院から出産までを、おかあさんがわが子へ語りかける形で描かれた絵本です。
この作品は、ヒデ子さん自身のことを描かれたものですか?
自分には子どもを産んで「おかあさん」になった、という経験があったので、おかあさんってことをテーマに絵本を描いてみたいなと思ったんです。
それで、いろいろ調べたら、子どもを産む本はたくさんあったんです。でもそうじゃなくて、おかあさんが主人公の絵本はなかったんですね。おかあさんが子どもを産むってことは、おかあさんがおかあさんとして生まれるっていうこと。そういう絵本を描きたいって思ったんです。
その視点が読者にも新しいって言われたんです。
――読者からの反応はどうだったのでしょう?
この本を出したいって編集者に言ったとき、編集者が「小学校なんかで、性教育の導入部分に使えると思うので、ぜひ出版しましょう」と言ってくれたんです。でも私は、これはもっと小さな子が読んでくれるんじゃないかと思っていたんです。
絵本が出たら、愛読者カードから、字が読めないような小さな子がなんどもなんども繰り返し読んでくれていること、図書館でも、小さなお子さんを持つ家庭で、なんどもこの本を借りてくれていることを、図書館の方からも教えていただきました。
でも、それはなぜなんだろうと不思議に思うようになりました。
関連書籍
おとうさんがおとうさんになった日
作:長野 ヒデ子