ひみつのお話、おしえてあげる。『よつばのおはなし』【NEXTプラチナブック】
公開日:2023/7/1

絵本ナビがおすすめする「NEXTプラチナブック」(2023年5月選定)から、ご紹介する一冊はこちら!
あなたはよつばを見つけたこと、ある? よつばのひみつのお話、こっそり教えてあげる。毎月発売される新作絵本の中から、絵本ナビが自信をもっておすすめする「NEXTプラチナブック」。今回ご紹介する絵本は、『よつばのおはなし』。きっと、そのまんまの自分を好きになれるはず。どんなお話なのでしょう?
NEXTプラチナブックとは…?
絵本ナビに寄せられたレビュー評価、レビュー数、販売実績など、独自のロジックにより算出された人気ランキングのうち、上位1000作品を「絵本ナビプラチナブック」として選出し、対象作品に「プラチナブックメダル」の目印をつけてご案内しています。
そして、毎月発売される新作絵本の中からも、注目作品を選びたい! そんな方におすすめするのが「NEXTプラチナブック」です。3か月に一度選書会議を行い、「次のプラチナブック」として編集長の磯崎が自信を持って推薦する作品を「NEXTプラチナブックメダル」の目印をつけてご案内します。
ひみつのお話、おしえてあげる。『よつばのおはなし』
よつばのおはなし
作:かとう まふみ
みどころ
あなたはよつばを見つけたこと、ある?
もんしろちょうから聞いたよつばのひみつのお話、こっそり教えてあげる。
「あれ? きみの はっぱは ぼくと ちがうみたい」
「あたしたち、みんな さんまいよ」
みんなと違うからと、ひとりぼっちになってしまったよつばの子。でも、よつばの子は自分ではよくわからない。そんなある日、もんしろちょうがふわりとやってきて、言います。
「あら、あなたの はっぱ、かわいい。おはなみたい」
水たまりにうつった自分の姿を見たよつばの子は、(ああ、とっても かわいい)と心から思い、嬉しくなったのです。よつばの子にはあたたかな笑顔が浮かんでいます。すると、ふしぎなことが起こります。よつばの子のまわりには、友だちがどんどん集まってきて……。

よつばを見つけるのが得意な女の子を通して語られるのは、もんしろちょうから聞いた、しろつめくさのふんわり優しい「ひみつの」お話。

「わたし、このよつばが すき。」
よつばの子の気づきをきっかけに、他の子にもだんだん自分の不安が見えてきて、それでも少しずつ自分が好きになっていくのです。
作者のかとうまふみさんが描く舞台は、淡い色彩ではかなげな雰囲気に包まれたしろつめくさの原っぱ。けれど、そこはいつも笑顔でいっぱいです。地面に生えているしろつめくさの葉っぱを眺めながら、私たちはいつでもその話を思い出すことができるのです。
編集長のおすすめポイントは……

耳を傾けてみれば……
一面に生えている青々としたしろつめくさの葉っぱ。普段なにげなく眺めていたけれど、このお話を読んだ後に見ると、途端に物語が浮かびあがってくるようです。小さい葉っぱ、色の薄い葉っぱ、折れまがった葉っぱ、そしてよつ葉! それぞれが「わたしを見て、わたしの話をきいて」と言っているみたい。たまには、じっくりのんびり耳を傾けてみるのもいいですよね。しろつめくさも、きっと喜んでくれるはずです。

磯崎 園子(いそざき そのこ)
絵本情報サイト「絵本ナビ」編集長。著書に『はじめての絵本 赤ちゃんから大人まで』(ほるぷ出版)、『ママの心に寄りそう絵本たち』(自由国民社)、監修に『父母&保育園の先生おすすめの赤ちゃん絵本200冊』『父母&保育園の先生おすすめのシリーズ絵本200冊』(玄光社)がある。