酸辣湯、タルト、アヒージョ… 「おもち」をあらゆる料理で楽しむ本【作ってみた】
公開日:2016/1/2

お正月に食べたいもの、といえば、おせちやお雑煮、おもちを思い浮かべる人が多い。しかしお正月が過ぎると、なぜかおもちを食べる量は減り、冷蔵庫や冷凍庫に眠ったまま、なんてことになりがちだ。
そこで、お正月メニューとしてのおもちにとどまらない、おもちの魅力を改めて発見できる本、『おもち The MOCHI recipe book おもちの食べ方発見!』(入江亮子/成美堂出版)をご紹介しよう。世界一もち好きな編集者のもと様々なおもちレシピと情報を集めている、ちょっと珍しいレシピ本だ。
煮ても焼いても揚げてもおいしいおもちをさらに楽しめる本、と言われたら、これは試してみるしかない! そこで、本書のレシピの中から4品、実際に作ってみた。
「トマトチーズもち」(P.26~P.27)

このレシピのおもちはもち米から自作しているのだが、実際作ってみると、おもちってこんな簡単に作れるのか! と驚く。水に浸したもち米を炊飯器で炊飯し、ボールに移してすりこぎでつくだけ。簡単だが、米の味がしっかりとしていてとても美味しい……!
「トマトチーズもち」は、お米の粒がなくなってきたところにドライトマトを刻んだものを混ぜ込むだけ。パルミジャーノ(もしくはパルメザンチーズ)とオリーブオイルをかけ、バジルを添えれば完成! 和の食材とイタリアンは相性が良いとよくいうが、おもちもドライトマトやバジルとぴったり。見た目もおしゃれで、ぜひとも繰り返し食べたい味。
「酸辣湯風雑煮」(P.78~P.79)

続いて、おもち×中華。「お雑煮」というと、お正月の食べ物だと思ってしまいがちだが、要はもち入りスープ。全国各地の様々なお雑煮の他にも、この「酸辣湯風雑煮」や「オニオングラタンスープ」など、世界各国のどんなスープ料理とも相性抜群!
酸辣湯は、豚ひき肉、生姜、たけのこを炒め、中華風だしや醤油、塩コショウ、酢などで味付けして卵を加えた、酸味と辛みのあるスープ。ラー油とチンゲン菜をトッピングすれば、彩りも綺麗で嬉しい。とろみのあるスープがおもちと絡んで、体の芯から温まる一品だ。
「もちタルトフランベ」(P.90~P.91)

タルトフランベとは、玉ねぎとベーコンのシンプルな味を楽しむ、フランスのアルザス地方の郷土料理だそう。パン生地の代わりに薄いしゃぶしゃぶ用のおもちを敷き詰め、スライスした玉ねぎと厚切りベーコンを散らしてオーブンで焼くだけ。あとは黒コショウをふれば完成。オーブンがなければ、オーブントースターで作ることもできる。
パリッモチッとしたおもちの甘みが、ベーコンと玉ねぎの旨みと非常にマッチしている。手で持って食べられるのもありがたい。
「もちのアヒージョ」(P.102~P.103)

最後は、大人気のスペイン料理、アヒージョ。食材をオリーブオイルとニンニクで煮込む料理で、揚げもち好きとしてはこれをやらないわけにはいかない! 本ではシンプルにおもち、ニンニク、鷹の爪だけを煮ていたが、今回はアヒージョの定番、きのこと海老とアンチョビも加えてみた。食材の出汁がたっぷりのオリーブオイルの中で、もちっと、そしてカリッとしていくおもち。見ているだけで涎が……!
グツグツいっているオリーブオイルからおもちを直接食べられるのは、アヒージョならでは。残った油におもちを追加したくなるくらい美味しかった。
この『おもち The MOCHI recipe book おもちの食べ方発見!』には、バリエーション豊かなおもちレシピはもちろん、美味しいおもちの作り方、お雑煮に使う出汁のとり方、市販のおもちをつきたて風に変える方法など、おもちをこれでもかというくらい楽しめるアイデアが詰まっている。
おもちは醤油かきな粉がほとんどで飽きてしまう、という人は、ぜひ本書を参考にして、いろいろなおもちレシピを試してみてほしい。
文=月乃雫